Photo by Ian Espinosa on Unsplash 突然の衆議院解散と選挙が行われた2017年もまもなく終わろうとしている。 しかし森友・加計疑惑、レイプもみ消し疑惑、年末に突如表ざたになったスパコン疑惑など、列挙しきれないほどの疑獄のどれ一つとっても、解決どころか、まともな説明さえ為されていない。「あんな人たち」発言も記憶に残るところだ。自民党が震源となった不祥事があまりにも多かったのが2017年であった。 ここでは、森友・加計以外でも数多い不祥事を忘れないために、時系列で整理しておく。 なお、このリストはあくまでも国会議員によるものだけであり、地方首長や地方議員の不祥事は含まれていないことにご留意いただきたい。 また、不祥事の内容は各メディアが報じたものを引用させていただいた。 1月 高橋克法・参院議員、回覧板で名前入りカレンダー配布 公選法は選挙区内の有権者への寄付を禁じており、不特定多数への配布は同法に抵触する可能性がある。(福井新聞) 3月 務台俊介・政務官「長靴業界はだいぶ儲かった」と失言し辞任 台風10号に伴う豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた際、同行者に「おんぶ」されて水たまりを渡ったことを岩手日報などが報じ、物議を醸した。都内で開催した自身の政治資金パーティーの中で、この件を振り返り「たぶん長靴業界は、だいぶ、儲かったんじゃないか」と話した。(ハフィントンポスト) 4月 今村雅弘・復興大臣、不祥事三連発 東京電力福島第1原発事故の自主避難者が帰還できないことについて「基本的には自己責任」などとした今村雅弘復興相の発言に抗議する動きが5日、各地で広がった。(毎日新聞) 今村雅弘復興相が東日本大震災について「これは、まだ東北で、あっちの方だったから良かった。もっと首都圏に近かったりすると、莫大な甚大な被害があったと思う」と述べた。直後に撤回したが、辞任する意向を固めた。(朝日新聞) 今村雅弘氏 政治資金で高級たまごを「爆買い」していた。(日刊ゲンダイ) 4月 中川俊直・経済産業政務官、「ストーカー登録」「重婚」で辞任 中川氏は不倫女性と2011年から交際を始め、「年に300日は一緒」にいる仲で、ハワイで「結婚式」まで挙げたという。同時進行で自民党の前川恵議員にも近づき(=前川議員は否定)、不倫女性にそのことがバレて修羅場に。中川氏は警察から「ストーカー」として登録された、という。(産経新聞) 5月 大西英男・衆院議員、不祥事二連発 自民党厚生労働部会で「(がん患者は)働かなくていいんだよっ」とのヤジが飛び、波紋が広がっている。(ハフィントンポスト) 「(がん患者は)働かなければいいんだよ」と発言し、自民党東京都連の副会長を辞任した大西英男衆院議員が、元格闘家の須藤元気氏から「推薦文」を書いていないのにホームページに掲載された、と抗議を受けた。(朝日新聞) 6月 豊田真由子議員・衆院議員、「このハゲー」 埼玉県警捜査1課は27日、元秘書の男性に対する暴言暴行疑惑で自民党を離党した豊田真由子元衆院議員(43)について、傷害と暴行の疑いで書類送検した。(日刊スポーツ) 6~7月 稲田朋美・防衛大臣、職務不適任連発、情報隠蔽で辞任 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補の応援集会で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」と演説で述べた。自衛隊を率いる防衛相が組織ぐるみで特定候補を支援するかのような発言である。(毎日新聞) 九州北部の記録的な豪雨で自衛隊が災害対応に当たる中、稲田朋美防衛相が6日、防衛省を一時不在にした。自民党の石破茂前地方創生担当相は6日夜、BSフジの番組で「あり得ないことだ。なんで起こったかきちんと検証しないと、本当に国民に対して申し訳ない」と述べた。(時事) 自衛隊日報隠ぺいを知っていたのは稲田防衛相だけじゃない、安倍首相と官邸が指示していた疑惑が浮上(エキサイトニュース) 稲田朋美防衛相は7月27日、破棄したとする南スーダンに派遣された国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を陸上自衛隊が保管していた問題をめぐり、防衛大臣を辞任(ハフィントンポスト) 6~7月 下村博文・幹事長代行、職権でやりたい放題が次々発覚 下村博文氏らを告発 加計学園側から200万円、入金不記載容疑で(ハフィントンポスト) ビザ発給、下村氏が働きかけか 民進が文書公表 (日本経済新聞) 8月 鈴木俊一・五輪相に架空計上疑惑、政治資金1658万円に領収書なし 「清鈴会」の政治資金収支報告書を仔細に検証すると奇妙な記載に突き当たる。支出の備考欄に記された「徴難(ちょうなん)」の2文字だ。徴難とは、収支報告書を提出する際に、「領収書等を徴し難かった支出」を指す。(ライブドアニュース) 8月 今井絵理子・参院議員、「ビール券」違法配布 今井絵理子・参議院議員(33)も人知れず、違法な「ビール券」配布に手を染めていて――。(デイリー新潮) 11月 神谷昇・衆院議員、市議に現金配布 自民党の神谷昇衆院議員=比例近畿=が衆院選前の9月下旬に自身の選挙区内の大阪府和泉市と岸和田市の市議14人に現金計約210万円を配っていたことが24日、分かった。(産経新聞) 12月 懲りない山本幸三・前地方創生相、今度は差別発言炸裂 前地方創生相の山本幸三・自民党衆院議員(福岡10区)が、23日に北九州市内であった三原朝彦・自民党衆院議員(同9区)の政経セミナーで、アフリカ諸国の支援に長年取り組む三原氏の活動に触れ「何であんな黒いのが好きなんだ」と発言していたことが分かった。(毎日新聞) こんな政治は一日も早く終わらせなければならない。
0 コメント
Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash ここ数年、国内外のミュージシャンを問わず片っ端からライブを観に行っているが、2017年は全部で20件を超えていた。 いくつかの大規模なライブについては、「ロックっていいね!倶楽部」でセットリストなどを紹介してきたが、この際全部洗い出してみることにした。 基本的に自分用の備忘録でもあるので、適当に流していただけるとありがたい。
一年の最初のライブがこれである。 キワモノと言えばその通りなのだが、非常に楽しかった。 JOJO広重氏の「ノイズに間違いという言葉はない」というMCと、畑中さんの温泉ホテルでの歌謡ショー宣伝がひとつのステージから発せられるカオス感。
畑中階段が強烈過ぎて、記憶から飛んでしまっている。残念。
ガンズは1988年にサンプラで観て以来、およそ30年ぶり。アクセル・ローズの風貌はすっかり変わってしまったが、ダフはスリムでまったく変わっていない。 スラッシュのギターも健在。 本来は客層が違うであろうヘッドライナーのBABYMETALにも大きな歓声があがっていた。よい事だ。
最新アルバム "LOUD HAILER" の曲を中心に "The Revolution Will Be Televised" からスタート。 トラメガと抗議と左翼が先端である。 何となく、ざまあみろだ。 ところでこの数年、タル・ウィッケンフェルドをはじめ女性プレイヤーを起用することが多かったジェフだが、今回も女性ギタリストのカルメン・ヴァンデンバーグがきれっきれのサイドワークを聴かせてくれた。
キング・クリムゾンとして来日してさほど時間が経っていないのに、スティック・メンとしてトニー・レヴィンとメル・コリンズが再来日。 クリムゾンのナンバーも "Lark's Tongues Aspic PartII" などを演奏。 本家と比べるのは酷だが、カバーはどうしても音が薄くなってしまう。
たまには、まったく気分を変えて、こうしたライブに出かけるのもよいものだ。 ゴーゴーズの曲も盛りだくさんで贅沢なステージだった。
最近のブルーノートはどうしたのだろうか。 年に何回か、ジャズ本流からかけ離れたアーティストを招聘しており、2017年も、レジデンツやジョン・ケイルなどがプレイしている。 今回は残念ながらステージでの目玉の被りものはなし。 3日間のライブはすべて満席だったもよう。
2017年度のベストの一つ。 詳細は「スティーヴン・タイラー来日 武道館セットリスト」をご覧いただきたい。
残念ながらクリス・スクワイアは鬼籍に入ってしまったが、まさか2017年になってジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンをひとつのステージで観られるとは思わなかった。 こうしたライブは今のうちに、できるだけ観ておくしかない。 セットリストなどの詳細は「Anderson, Rabin and Wakeman 初日セットリスト」にて。
鈴木茂さんの "LAGOON" は40年を超える愛聴盤になっており、最近は毎年ビルボードでの彼のライブへ通っているものの、このアルバムからの演奏がないのが寂しい。 ローウェル・ジョージを思わせるような絶妙なギターワークと比べ、ボーカルが細すぎるが、それも含めて彼の持ち味なのであろう。
実はフィル・マンザネラをライブで聴くのは初めてであった。 もともとキューバ出身の彼らしく、ラテン系のミュージシャンで固めていた。 この編成で聴く "More Than This" もまたよし。 なおライブ演奏をそのままCDに収めたパッケージの予約を、ライブ当日に受け付けるという商法が取られていた。 既に数年前からピーター・ガブリエルなどが同様の方法でライブ音源をリリースしていたが、ブート対策とファンへの還元を兼ねたものとして支持したい。
初日は雷雨だったので屋内に避難し、二日目は朝からスタジアムの席に陣取り、ビールを飲みながらだらだらと過ごした。 今回の目当ては、二年前にフジロックでも観たフー・ファイターズ。 それからフジロックではフー・ファイターズと重なってしまって観られなかったロイヤル・ブラッド。 また十数年ぶりになるスティーブ・サラスも楽しみだった。 そしてまたしてもBABYMETAL。 あとは全然知らなかったザ・ストラッツが最高なロックンロール・バンドで、こうした発見もフェスならではある。 なお一日中スタジアムから見下ろしていた感触では、Man With A Mission の動員が最大だったと思われる。 フー・ファイターズの詳細は「サマソニでフー・ファイターズが大炸裂」に記載させていただいた。
普段はEDM系はまったく聴かないのだが、80年代にリアルタイムで彼らのオーケストラヒットを体験していたので、どうなっているのか観に行った次第。 気さくな人達であった。
デュラン・デュランも30年ぶり。オープニングアクトのシック共々、2017年のベストのひとつに挙げておきたい。 こちらも詳細は「デュラン・デュラン 武道館セットリスト」で紹介している。
テリー・ボジオ目当て。数年前に川崎のクラブCITTAで観た時は、ボジ夫のドラムキットがフル装備だったので、狭いブルーノートのステージでどうなるのかが最も気になるところだったが、さすがに櫓のようなドラムを持ち込むことはできず、通常6発あるバスドラも3つに抑えていた。 軽く40は超えるタム類も20個くらい。それでも他のドラマーと比べれば異常な多さではある。 ボジ夫は生音がでかいので、PAを通さなくても十分に爆音であった。
最高のアメリカン・ロック・ショー。こちらも詳細は「Mr.Big 武道館セットリスト」で。
レジデンツに続く、ブルーノートによる謎の招聘。 "Monday Morning" などヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲も多数演奏してくれたが、残念ながら客席は半分も埋まっていなかった。
2017年のラウドパークの目的はアリス・クーパー。 さすが長年築き上げてきた最高のパッケージ・ショーだった。 ニタ・ストラウスばかり観ていたわけではないが、結果的にそうなってしまったと言われても仕方ないので「ニタ・ストラウスを観た」もご覧いただきたい。
2017年にもなって、こんなハコで、こんなバンドを拝めるとは。これも最高だった。 こちらの詳細も「スパークス 4年ぶりの単独来日ライブ」にて。
"Cupid & Psyche 85" が長年の愛聴盤だったので、来日を待ち望んでいたアーティストのひとつ。 打ち込みが基本になっているものの、グリーンがギターを弾きまくり、また往年の高音ボイスも健在だった。 ところで「スクリッティ・ポリッティ」とはイタリア語で「政治的文書」という意味だが、グリーンはMCで共産主義者であったことを明かしている。さすがだ。
2017年ライブ行脚の最後は、ビルボード東京での岸谷香さん。
震災翌年に行われたプリンセス・プリンセスの復活ライブ以来であった。 バックはチェロとドラムだけで、本人もピアノやギターで八面六臂の大活躍。 今年50才になったとのことであるが、同じ時間を生きてきた人が元気に頑張っている姿は、本当に嬉しい。 しかし畑中階段で始まり、〆は岸谷香さんとなった2017年。カオスな一年であった。 Photo by Alain Pham on Unsplash このところ仮想通貨に関しては、ビットコインの価格急騰やアメリカでの先物取引開始など、何かと話題に事欠かない状況が続いている。 日本でも12月12日、GMOインターネットが従業員の賃金の一部をビットコインで支払うという制度導入を発表し、報道で大きく取り上げられた。 ところで、ビットコインに代表される仮想通貨での賃金の支払いは、日本において法的に問題はないのだろうか。 まず賃金に関する原則を定めた、労働基準法第24条一項を確認しておきたい。 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。 労働基準法においては、賃金は「通貨」で全額を支払わなければならないという「通貨払いの原則」が定められている。 したがってビットコインによる賃金支払いの論点の出発点は、ビットコインが「通貨」に相当するのかというところになる。 ここで、2017年5月25日に成立した改正資金決済法第2条五項での、ビットコインをはじめとする仮想通貨に関する定義を確認しておく。 1. 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの 非常にわかりにくい文言だが、資金決裁法における仮想通貨は、日本銀行と日本政府が発行する「法定通貨」に換金可能な財産的価値をもってはいるものの、仮想通貨自体は「法定通貨」ではないということだ。
これについては金融庁も、仮想通貨に関するパンフレットで「仮想通貨とは、法定通貨又は法定通貨建ての資産ではない」と明言している。 では再度、労働基準法に戻ってみたい。 労働基準法によれば、賃金は「通貨」で支払わなければならない。すなわち「法定通貨」と認められない仮想通貨による賃金の支払いは、原則として違法ということになる。 なお、第24条一項の後半で「労働協約に別段の定めがある場合、通貨以外のもので支払うことができる」とされているため、労働協約が締結された限りにおいて、仮想通貨による賃金の支払いは合法と認められる。しかし労働協約とは、労働組合と使用者との間で団体交渉を行い、労使間で合意に達した事項を書面にし署名や記名押印した文書であり、そもそも相対的に弱い立場の労働側を守るためのものである。 激しく価格が乱高下するビットコインのような仮想通貨が、たとえ労働協約があったとしても賃金の支払いとしてふさわしいのか、労働側の生活を守る観点から十分に議論・検討する必要があるだろう。 Photo by Piotr Cichosz on Unsplash アメリカに遅れること丸二年、ようやく日本でもAIスピーカの市場投入が始まった。 しかし「Google Homeでハードロックを試す」や「Amazon Echo Dotでハードロックを試す」で書いたように、音楽用デバイスとしての Google Home は音質が劣悪、Amazon Echo Dot は選曲能力が余りにも低く、マニアックな満足度を満たすレベルには程遠い状態であった。 では AIスピーカの先進国、アメリカではどのような使い方をされているのだろうか。既に Amazon Echo だけで1,000万台以上も売れているので、大いに参考になると思われる。 ここでは、ギーク系ニュースサイト "Chatbots Magazine" がアメリカのAIスピーカ・ユーザーを対象に行った調査の結果を見てみたい。 2017年11月22日発表のデータなので、12月時点では恐らく最新のものだろう。 まず一日に何回 AIスピーカを使用するかという質問に対しては、複数回と回答した人が57%、一回の人が17%となっている。 実に4分の3の人たちが一日に一回以上は使用していることになる。 また AIスピーカを何のために使っているかとの問いでは、トップの答えが「音楽」、ついで「天気」「情報検索」との順になった。 興味深いのは、日本で鳴り物入りとなっている「ホーム・オートメーション」が最下位になっている点だ。スポーツのスコア確認やゲームにすら負けている状態である。 この調査では、音楽のためにAIスピーカを使っている人の63%が、一日に複数回聴いていることも判明している。 おそらくラジオを流すような感覚で、気軽に音楽を楽しんでいるのだろう。 アメリカのAIスピーカのシェアは、Amazon Echo が 70% と圧倒的な数字を押さえているため、音質もそこそこ担保されているはずである。 要するに、私のマニアックな評価とは裏腹に、アメリカでの AIスピーカのキラー・コンテンツは「音楽」であることが示されているわけだ。 さらに日本でも、11月17日に富士経済研究所が発表した「住宅分野、業務分野、エネルギー分野向け AI搭載機器、AI活用サービスの国内市場調査」によると、特に音楽関係についてはこのように結論付けられている。 オーディオ機器としては、これまでスマートフォンとアクティブスピーカーをワイヤレス接続して音楽鑑賞に利用していたユーザーからの切り替えも進むとみられる。 折しも「アップルの AIスピーカ発売は2018年に延期」との報道が流れてからちょうど一か月後の12月12日、アップルによるShazamの買収が確認された。 恐らくアップルはこの買収の結果を最大限に活用して、Google Home や Amazon Echo Dot 以上に「音楽」へフォーカスした製品をラウンチしてくるのではないか。 ここまでは消費者サイドからの観点であるが、次に事業者、特にメーカーの視点から考えてみたい。参考資料は「新興テクノロジーのハイプ・サイクル」である。 ハイプ・サイクルは、新興テクノロジーに対する期待度が時間の経過によってどのように変化していくかを表したもので、1995年から毎年夏にガートナーが発表している。 ハイプ・サイクルの基本的なコンセプトによれば、新興テクノロジーに対する期待度は短期間で一気に高まり、その後過大な期待は失望に変わって一転、暴落する。この幻滅期を乗り越えることができたテクノロジーが、実態を伴ったニーズに支えられて、回復し安定的に成長するとされている。 2017年度の「新興テクノロジーのハイプ・サイクル」の特徴の一つは、AIに関する様々なテクノロジーがマッピングされているところにある。
特に Connected Home や Deep Learning、Machine Learning といったAIスピーカに直結したテクノロジーが、いま正に過大な期待のピークにあると考えられている。 ところが、残念ながら Google Home も Amazon Echo も、先行しているアメリカにおいてさえ、こうした期待と乖離した使われ方になっているのが現状である。 カジュアルに「音楽」を聴くデバイスとしては一定の位置を得ているが、それ以外の用途、特に「ホーム・オートメーション」のコントローラとしては散々な有様だ。 これは、早くもハイプ・サイクル上の期待度が急速に萎む兆候が現れていると見るべきだろう。 そして過大なピークから下落した後、萎んだままで終わるのか、ハイプ・サイクルの回復期・成長期に乗ることができるのかは、バズワードのバブルに振り回されることなく、堅実な利用シーンを想定したAIスピーカ対応機器の品ぞろえを充実させることにかかっていると思われる。 翻って、いまやすっかり元気を失ってしまった日本の家電や自動車などのメーカーにとっても、これから半年くらいの間が最後の起死回生の機会になるのではないか。 AIスピーカ対応というプロダクトアウトでありながら、消費者視点での利用シーンを充足させる製品やサービスを短期間で企画・開発しなければならない、非常に難しい局面に私たちは立たされている。 AIスピーカも、このままでは「ちょっと賢いラジオ」くらいで終わってしまうぞ。
Google Homeに続いて、Amazon Echo Dotを入手した。
Amazon Echoは、アマゾンから「招待」されないと購入することができない。 そして「招待」されるためにはまず「招待」の申込をしなければならないという手順になっているが、実際にやってみた人でなければ何を言っているのかさっぱり判らないだろう。 本当に訳が判らないが、申し込まないことには入手できないので仕方ない。 私の場合、11月の中旬に申し込んだところ、2週間くらいで「招待」のメールが飛んできた。 ネット上のブログやニュースなどでは、アマゾンのプライム会員なのに何週間も待たされたり、逆に非プライム会員でも数日後には招待されたりといった情報が飛び交っており、この辺りの基準もさらに訳が判らない。私自身はプライム会員であるので、「招待」のメールさえ貰えれば、翌日には実機を届けてもらうことができた。 さて何とか入手したAmazon Echo Dotだが、筐体は掌に乗る程度で、直径はCDよりも小さい。 諸々のスペックやセットアップの詳細については、既に多くの記事で報じられているので、ここでは全て割愛し、ひたすら「ロックを聴くためのデバイス」としてどうなのかという視点でのみ追及してみたい。 まずAmazon Echo Dotに先んじて入手したGoogle Homeと異なる点は、音声の外部出力ができることである。 内蔵スピーカで聴く限りでは昔のトランジスタラジオのような音だが、外部出力端子に直接ヘッドフォンのジャックを刺して聴くことができるし、アンプを通して外部スピーカを鳴らすことも可能だ。 この点は大きい。 楽曲はAmazon Musicから配信されるが、ストリーミングのビットレートが最大256kbpsあり、ファイルサイズに換算すると一曲5MBほどに当たる。 CDのサイズからはかなり圧縮されているが、MP3のように明らかに楽器の線が細くなるような音質劣化は感じられなかった。 音声外部出力ができず、本体からの音質も劣悪なGoogle Homeは、この点において、Amazon Echo に相当に遅れを取っていると言わざるを得ない。
そして音質の次は、楽曲の選曲能力の確認である。
あらかじめGoogle検索で「Amazon Echo 選曲」と入力してみたところ、何故か的確な情報が全くヒットしない。 何か嫌な予感がする。もしかしたら業界的に敢えて触れてはいけない部分なのかも知れない。 ならば益々自分で掘り下げてみるしかないではないか。 では公平を期して、Google Homeでの実験と同様に、まずレッド・ツェッペリンをキーワードにして試してみる。 アレクサ、レッド・ツェッペリンをかけて。 「レッド・ツェッペリンの楽曲をシャッフル再生します」と答えた後は、順不同で曲を流してきた。一曲しか返してこないGoogle Homeよりは、まあましか。 続けて、「アルバム名」を加える。 アレクサ、レッド・ツェッペリン ファーストをかけて。 またも「レッド・ツェッペリンの楽曲をシャッフル再生します」で始まり、しかもファーストではなくサードの曲からであった。 どうも「バンド名とアルバム名」の組み合わせをうまく認識できない様子である。 仕方ないので、若干方針を変えて、「曲名」で挑戦。 アレクサ、「ステアウェイ・トゥ・ヘブン」 をかけて。 「ステイカン・トゥ・ヘブンという曲を見つけられませんでした」。 もはや何が何だかわからない。 「バンド名と曲名」を組み合わせて「レッド・ツェッペリンのステアウェイ・トゥ・ヘブンをかけて」では音声での回答すらなく、謎のノイズ音で停止してしまう始末である。 そこで「曲名」を邦題にしてみることにした。 アレクサ、「天国への階段」をかけて。 「渡辺香津美、天国への階段を再生します」。 いや、それ全然違うし。 「曲名」での指定もかなり怪しい。 さらに方針を変更し、さすがにこれを認識しなかったらまずいだろうと思われる鉄板曲を投入。 アレクサ、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をかけて。
回答は、何と「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が聴きたければ、有償の Amazon Music Unlimited に加入しろとのことである。
「ホテル・カリフォルニア」でも同じ。 この辺りでちょっと日本のバンドにも挑戦してみることにした。 外道や頭脳警察はまったく認識されなかった。まあ仕方ない。 そして「プリンセス・プリンセスのダイヤモンドをかけて」と要求したところ、またしても Amazon Music Unlimited に加入するよう勧められた。 ご丁寧に、30日無料、4000万曲が月380円との説明付きである。 仕方ないので受け入れることにした。 手続きそのものは、Amazon Echoからの「購入しますか」との問いに「はい」と応えるだけで、あっという間に完了した。 曲を出し渋ったうえで有償サービスへ誘導するとは、さすが「AI」である。 しかし「AI」と言っても、実際はバックエンドで動いている決済システムへのトリガーが、マウスのクリックから音声入力に替わった程度のことだ。 横道に逸れてしまうが、鉄道の運行状況の確認なども、既にスマホ用に動いているビジネスロジックをキックして答えを持ってくるだけなので、現時点での「AI」はしょせんがこの程度と達観し、過大な期待はしないほうがよいのだろう。 さて、選曲の能力の話に戻る。 「曲名」や「バンド名と曲名」での指定の多くは Amazon Music Unlimited に加入することが前提になっているようだ。 既に加入手続きを済ませてしまったので、これで多少は改善されただろう。 再度「スモーク・オン・ザ・ウォーター」に挑戦。 アレクサ、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をかけて。 Amazon Music Unlimited に加入後は、無事認識するようになった。 「ディープ・パープルのスモーク・オン・ザ・ウォーター」でもOK。 「ホテル・カリフォルニア」や「イーグルスのホテル・カリフォルニア」でも大丈夫になった。 ところが「ディープ・パープルのマシン・ヘッド」のように、「バンド名とアルバム名」では相変わらず認識してくれない。 レッド・ツェッペリンの「ステアウェイ・トゥ・ヘブン」はやはりダメ。 ところが「レッド・ツェッペリンのコミュニケーション・ブレークダウン」ではなぜか認識した。 謎である。 取り合えず気を取りなおして、振り出しに戻り、「バンド名」をどこまで認識するか試してみることにした。 アレクサ、ビートルズをかけて。 「ビートルズの楽曲をシャッフル再生します」と答えて、延々とビートルズを流し始めた。 「ビートルズのヘイ・ジュード」など「曲名」を付けても、今回はほとんど大丈夫。 さすがにビートルズではある。 しかしプログレで試したとたん、まさかの事態が発生した。 アレクサ、ピンク・フロイドをかけて。 いくら何でも「ピンク・フロイドの楽曲を見つけられませんでした」となるとは思わなかった。 キング・クリムゾンやEL&Pもダメ。 Google Homeではソフト・マシンやホークウィンドも認識したのに、トホホとしか言いようがない。 結論。結局のところ、Amazon Echo では、ある程度メジャーな「バンド名」しか認識されないようである。 さらにメジャーなものでも「バンド名とアルバム名」の組み合わせはほとんど認識されず、「曲名」や「バンド名と曲名」の指定では、ほぼ有償サービスの加入が前提になる。 そういう訳で、なぜ「Amazon Echo 選曲」で検索をかけてもヒットしないのか、その理由が判った気がする。 もっとカジュアルな使い方しか想定されていないのだろう。 「朝らしい曲かけて」みたいなやつだ。 申し訳ないけど、そんな使い方は、私には要らない。 「外道の香りをかけて」との指示に対して、高音質で確実にかけて欲しいのだ。 Amazon Echo はGoogle Homeよりもはるかに音質がいいのに、楽曲の認識能力の点で「ロックを聴くためのデバイス」としては結局いまひとつであった。 実に残念である。 Photo by Koby Kelsey on Unsplash iPhoneは4から、5、6、7 Plus と四世代続けて使用してきた。我ながらヘビー・ユーザーである。 まだ iPhone 7 Plus に機種変更してから一年半しか経っていないが、8 と X がリリースされたからには、やはりハイエンドの X を使ってみるしかあるまい。 そんな訳で、iPhone X Plus がソフトバンクから到着した。 予め 7 Plus の中味を iCloud でバックアップに取り、続けて SIM を抜いて X に挿入。一番緊張する物理的プロセスである。 その後、設定作業を続けていくと、X に表示された二次元コードを 7 Plus に近づけて読み取れとの指示が表示され、指示通りに読み取らせたらあっという間に設定の移行が完了。 また顔認証の登録も、指紋認証よりも短時間でスムーズだった。機種変更作業の段階で、すでに大きく改善されていたのには正直驚いた。 そしてリブート後にiOSをアップデートし、さらにiCloudからアプリを復元、また iTunes から音楽を復元して全作業は完了。ここまで二時間も要しなかった。 あとは SNS など認証の必要なアプリの幾つかにパスワードを入力して、機種変更の全工程は終了した。 さっそくだが、最初に 7 Plus と大きさを比較してみる。 X はホームボタンが無くなり、全画面をフルに使用できるため、筐体は 7 Plus から一回り小さいのに表示域がはるかに広い。7 Plus は胸ポケットに入れるには大きくなりすぎていたので、これは非常に助かる。 また顔認証の速度も全くストレスがないし、眼鏡を複数掛け替えてみても認識エラーは発生しなかった。 しかし、ホームボタン操作に長年にわたって慣れてしまっているため、いくつかの基本操作に戸惑うことがあった。 特によく使う機能はスクリーンショットだが、今まではサイドボタンとホームボタンの組み合わせだった。これが X ではサイドボタンと「音量上」ボタンでの操作に替わっている。 また実メモリーからアプリを消去する操作は、従来はホームボタンのダブルクリックで開始できたが、若干複雑になっている。 まず、いずれかのアプリが立ち上がった状態で、上へフリックする途中で指を話すと、バックグラウンドで立ち上がっているアプリが一覧表示される。 以前はこれらを下へフリックすれば削除されたが、X では単にホーム画面に戻ってしまう。 その代わり、いずれかのアプリを長押しすると、左上に赤い丸が表示されるので、そこをクリックすれば消去が可能となっている。 さらに、今まで常時表示することができた電池残量が、消えてしまった。 電池残量を確認するためには、右上から斜め下にスワイプして、コントロールセンターを表示させるしかない。 ちなみに、こうしたホームボタンに替わる操作の一覧は、KDDIのサイトが詳しいので参考にしていただければと思う。 なお、X の電池の持ち時間は 7 Plus と比較すると、若干長くなっているようである。 正確なベンチマーク・テストを行った結果ではないが、通勤の片道で弄り倒した場合の電池の残量は 6S で70%、7 Plus で85%くらいだったのが、X では90%程度になった。 X を分解してみた人の記事によると、2,716mAhの電池が搭載されているらしい。 なお、サードパーティ製の電源が必要とはなるが、X からワイヤレス充電がサポートされるようになったのも大きい。 ワイヤレス充電の仕様は、既にAndroidでは数年前からサポートされている Qi(チー)だが、使ってみると非常に便利である。 オフィスなどで移動のたびにケーブルを抜き差しする手間が全く無くなったのが有難い。 これは一度使ってしまうと、元に戻れなくなってしまう。 私が購入したのはANKERというブランドのものだが、プラスチック製のケース越しでも特に問題なく充電できている。 今まで iPhone 7 Plus を特に大きな不満もなく使っていた。しかし iPhone X は様々なところでユーザー・エクスペリエンスに大幅な改善がされており、トータルな満足感がさらに大きくなった。
特にメーカー側の立場でユーザー・エクスペリエンスを考える職務の人にとっては、その研究材料としても一度触ってみると良いと思われる。
Photo by Ben Blennerhassett on Unsplash
この一週間、日本が人権問題に関して、完全に後進国であることを世界中に知らしめてしまうような恥ずべきことが幾つも起こった。 This week, several issues happened showing that Japan is an unopened country for human rights.
女性蔑視 Female Contempt
自民党参院議員・元参院副議長の山東昭子、「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と発言。 Akiko Santo, a LDP member and the former vice chair person of the House of Councilors, said "How about considering recognition of woman who give births for more than four children with the Ministry of Health, Labor and Welfare?"
子連れで議会出席した緒方熊本市議、退去を命じられる。 Ms.Ogata, a member of Kumamoto Municipal Council, attended a parliament with a child and ordered to leave.
Reference: CBC News: Politician's baby banned from municipal assembly in Japan The Washington Post: A Japanese politician took her baby to work. Male colleagues made a fuss. NPR: Japanese Lawmaker's Baby Gets Booted From The Floor BBC: Japanese politician brings baby to assembly sparking debate The Guardian: Japanese politicians force colleague with baby to leave chamber なお、こちらがグローバル・スタンダード。 Anyway the followings are the global standard.
人種差別 Racism
前地方創生相の山本幸三・自民党衆院議員が、三原朝彦衆院議員のアフリカとの交流について「何であんな黒いのが好きなんだ」と発言。 Kozo Yamamoto, a former Local Creation Minister and a LDP member of House of Representatives said "Why do you like such a black one?" as a mention about friendship exchange with Africa.
Reference: Japan News: Ex-minister Yamamoto makes verbal gaffe over Africa Japan Times: Ex-Abe Cabinet minister makes discriminatory remark about Africans
LGBT差別 LGBT discrimination
自民・竹下亘「宮中晩餐会、国賓のパートナーが同性なら出席に反対」。 Wataru Takeshita, a member of LDP, said "If a state guest's partner is the same sex. I will oppose against his/her attendance at the Imperial Banquet.
戦争犯罪否認 War crime denial
大阪市 少女像問題でサンフランシスコとの姉妹都市解消を表明。 Osaka municipal government announced the elimination of sister city with San Francisco on the issue of comfort women.
Shame on you, for denying what happened. Shame on you, personal attacks on this woman." Reference: Reuters: Japan's Osaka to snap sister city link with San Francisco over 'comfort women' statue SFGate: Japanese mayor says he’ll end SF sister city status over comfort women statue The New York Times: ‘Comfort Women’ Statue in San Francisco Leads a Japanese City to Cut Ties ABC: Japan protests San Francisco's 'sex slave' statue decision CBS: Japan protests San Francisco's "sex slave" statue decision NBC: San Francisco to Unveil Statue Honoring World War II-Era 'Comfort Women'
改めて言う。恥を知れ。
Again. Shame on you.
追記 (20:30 27/11/2017)
カリフォルニア州は9月、大戦中の日系人強制収容に関する教育プログラムの強化を発表した。大阪とカリフォルニア、どちらが真摯に戦争での誤った行為に向かい合っているのか、自明である。 California state announced expantion of education programs about Japanese-American internment camps during the WWII. It is very clear which, Osaka or California, is seriously facing own wrong actions in the war. Reference: Sun Francisco Chronicle: California expands Japanese internment education to current rights threats 追記 (23:50 27/11/2017) 米国市民、議員、議会への卑劣なメール爆弾の指令元を突き止めることに成功。 I caught the original sources of sneaky mail bombs to US citizens, lawmakers, and Congress. Reference of Japan Alt-Right Sites: http://nadesiko-action.org/?p=8510 http://nadesiko-action.org/?p=9043 8月に先行予約しておいたCD "Yardbirds '68" が到着した。 jimmypage.comに直接オーダーしておいたので、アマゾンなどの一般流通に先駆けての入手だ。 CDは二枚組で、一枚目はライブ、二枚目は未発表のアウトテイク集になっている。 ライブ音源は1968年3月、ニューヨークのアンダーソン・シアターでのもので、過去に本人たちの許可なくリリースされた曰く付きの "Live Yardsbirds!" と同じ内容である。 ライブのメンバーは、ジミーのほか、キース・レルフ(ボーカル、ハープ)、ジム・マッカーティ(ドラム)、クリス・ドレヤ(ベース)の計四人。 "Live Yardsbirds!" についてはジミー・ペイジが激怒して回収させたという逸話が残っているが、この件について相当腹に据えかねたのであろう。 今回のリリースはジミー自身がプロデューサーを担当している。 新しいCDの音質はクリアで、各楽器はステレオにミックスし直されているが、ドラムは一塊になったままなので、恐らくマスター・テープもそれ以上分離されたものがなかったのだろう。 またギターは鋭角的な音に改善されているが、ベースの輪郭がはっきりしないままだ。 ジミーの作業をしての結果であるから、これが限界と思われる。 なお、ライブのセット・リストは次の通り。
このメンバーでのライブは1968年7月7日が最後になっており、同年10月15日、英サリー大学にて、後にレッド・ツェッペリンとなる4人のメンバーでニュー・ヤードバーズを名乗った初のライブを行っている。 さらに、レッド・ツェッペリンとして10月にファースト・アルバムを録音しており、結果的にその半年前の "Yardbirds '68" は、ツェッペリン移行へ向けたヤードバーズの最後の姿を捉えた形になった。 ところで、一曲目の "Train Kept A Rollin" では "Dazed and Confused" のブリッジで知られるリフから開始され、続く "Mr, You're A Better Man Than I" ではジミーのワウ・ペダル全開のソロが展開される。後にレッド・ツェッペリンのライブでも定番となる "Dazed And Confused" では、既にジミーがバイオリンの弓を使用したギター・ソロをとっているが、当たり前ながらロバート・プラントと繰り広げたようなギターとボーカルの絡みはない。 ジミーの溢れんばかりのアイデアが詰め込まれているが、キース・レルフの力量がまったく着いていっていないことが明確にわかる。 さらにジム・マッカーティのドラムもよれており、ライブ全体を通じてスネアがもたつきまくっている。音質がクリアになるほど、ジミー以外のメンバーの演奏力の欠如が目立ってしまうのも、残酷なものだ。 後半の "White Summer" はジミーの独壇場で、後のレッド・ツェッペリンの楽曲として既に完成した姿を見せている。またCD 二枚目に含まれる "Tangerine" の原曲 "Knowing That I'm Losing You" も、ロバートのボーカルを加えれば、レッド・ツェッペリンのバージョンだと言われても納得してしまう完成度である。 はっきり言って、この二枚組は誰にでもお勧めできるような代物ではない。 しかし初期のレッド・ツェッペリンの音が、どのような経緯を経てできあがってきたのかを確認するためには、貴重な記録である。
このところAIスピーカーが注目を集めているので、早速Google Home を入手してみた。Google HomeのセットアップやIoT連携などは様々なメディアで報じられているので、ここでは割愛する。逆に音楽コンテンツに触れたものは全く見当たらないため、これは自分で試してみるしかないと考えた。
ところでGoogle Homeは力ずくで引っ張ると、スピーカーが露出する。
スピーカーは2発内蔵されているが、はっきり言って音質は良くない。イコライザーで不自然に低音を強調し、中音域はカットしたような音になっている。もう少し言ってしまうと、スネアがフロアタムのように聴こえるのだ。
しかも外部スピーカー端子がないので、もっとましなオーディオ機器につなぐこともできない。Google Homeの現時点での利用法の大半が音楽試聴であると考えれば、これはハードウェアとして早急に改善すべきポイントであろう。今現在、この点はまもなく発売となるAmazon Echoに期待するしかない。 まあ何はともあれ、Google Homeの音楽コンテンツに対する処理能力を試してみることにする。コンテンツ・ソースとして、セットアップの際にGoogle Play MusicとSpotifyを選択することができるが、今回はGoogle Play Musicだけにしてみた。要するにGoogle HomeのAIエンジンによる音声認識能力と、Google Play Musicのデータ量ということだ。 そして今回の実験は、特にハードロックに焦点を当ててみた。
実験1 アルバム名の認識
まず有り体のところから。 OK Google、レッド・ツェッペリンをかけて。 “Stairway To Heaven” とは、あまりにも凡庸で残念。 そこで次はアルバム名を加えてみる。 OK Google、レッド・ツェッペリン ファースト(注:「I」)をかけて。 レッド・ツェッペリン「アイ」? どうやら「I」を誤読した模様。 そしてIIは認識せず、「レッド・ツェッペリン イー・リマスタードという曲はありませんでした」との謎の返答をしてきた。このまま続ける。 OK Google、レッド・ツェッペリン サード(注:「III」)をかけて。 レッド・ツェッペリン「アイアイアイ」。「I」を「アイ」と認識していることが確定。 OK Google、レッド・ツェッペリン フォー(注:「IV」)をかけて。 レッド・ツェッペリン「アイヨー」??「I」が「アイ」になるのは判ったが、「V」がなぜ「ヨー」になるのか。 次はアルバム名と曲名が同じ場合、どうなるかをテスト。 OK Google、レッド・ツェッペリン House of the Holy をかけて。 曲名ではなく、アルバムの邦題「聖なる館」として認識。頭がいいのか、悪いのか。
実験2 曲名と演奏者の認識
まず ”God Save The Queen” をどう捉えるのか確認。 OK Google、God Save The Queen をかけて。 何だ、この長い紹介は。 仕方ないのでバンド名を追加してみる。 OK Google、ピストルズのGod Save The Queen をかけて。 完璧。 続けてモーターヘッドで試してみる。 OK Google、モーターヘッドのGod Save The Queen をかけて。 またも完璧! 実験1と実験2の結論。 バンド名と曲名を指定すれば、ばっちりである。
実験3 オタク度の深さ
バンド名と曲名を指定すればほぼ認識することが判明したので、どこまでマイナーな物に対応できるのか確認してみることにした。 まずは古いものから。 OK Google、ブルーチアーのSummertime Blues をかけて。 すげぇ。 LAメタル系はどうか。 OK Google、ラットのWay Cool Jr. をかけて。 「Jr.」を「ジェイ・アール・ドット」と読み上げてきたが、ツェッペリンの「アイ」問題と同じであろう。 こうなったら日本の70年代物で試してみるしかない OK Google、頭脳警察の「銃を取れ」をかけて。 ライブ音源(笑。 OK Google、外道の「香り」をかけて。 またもライブ音源!!(笑笑。 コンテンツ的にはかなり使えることが判ったが、つくづく惜しむらくはやはり音質の悪さである。
おまけ
Google Homeに 1から100万まで数えるように指示するという、有名な実験の追試をやってみた。
Photo by Ty Williams on Unsplash
米トランプ大統領の来日の結果は、日本にとって散々なものだった。 まず到着場所は米軍の横田基地である。これは、米軍基地であれば入管手続きを経ることなく日本へ入国できる日米地位協定のデモンストレーションであろう。戦後70年を経て、未だに日本の主権は完全に回復していないことを見せつけられたわけだ。なお2016年、オバマ前大統領は中部国際空港から入国している。 そして離日に際してトランプは堂々と「日本に大量の武器とエネルギーを売りつけてやったぜ」とツイッターで言い放つ有様だ。
ここまでコケにされた日本側が接待ゴルフに精を出すのも情けない話だが、接待ゴルフでもバンカーに転げ落ちるとは、接待としても大失敗である。なお、この姿は英BBCや米NBCなどでも報じられてしまった。
そして極め付けは、アメリカのテレビ番組 The Late Show の司会者、スティーヴン・コルベア氏のコメントだ。ここでは書き起こした音声の翻訳を紹介してみたい。
I’m for Trump to meet with Japanese Prime Minister and guy who really thought he would be talking to Hillary Clinton right now.
しかし、まさか21世紀になって、報道はBBCに頼らざるを得ない状況が日本にも来るとは、十数年前には夢にも思わなかった。
|