Photo by Mike Petrucci on Unsplash
1972年のファミリーマート1号店、1974年のセブンイレブン1号店が開店して以来、既に50年以上が経過し、コンビニは日本の小売業の有力な業態として全国津々浦々、完全に定着した。
現在では、各種公共料金の支払いや証明書発行、ATM設置、宅配便の集荷など、小売業の枠を超えた社会インフラとしても重要な機能を担っている。 さらに震災や豪雨などの大規模な天災が発生した際には、ヘリによる食料供給といった、本来的には政府が担うべき役割まではたすようになった。 また、まだ広くは知られていないが、現在のネット社会における民主主義を支えるためのインフラとしても、重要な位置を持ち始めている。 いわゆるネットプリントのことである。 ネットプリントは、PCやスマホから文書や写真を登録し、全国のコンビニ店舗のマルチコピー機で簡単にプリントアウトできるサービスだ。 単価は一枚20円程度なので大量印刷には割高であるが、数枚印刷する分には非常に便利である。 元々はスマホで撮影した写真を印刷するなど、プリンターを個人で所有しない人たちが利用することを狙ったものと思われる。 各コンビニチェーンのうちセブンイレブンは富士ゼロックスと、ファミリーマートやローソン、サークルKなどはシャープとパートナーシップを組んでいる。 一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会の調べによると、2017年5月時点での全国のコンビニ店舗数は54,999軒に及ぶため、複合機メーカーにとってもネットプリントは重要な市場となっていると言えよう。 さて、ネットプリントがなぜ民主主義のプラットフォームになっているのか。 一言で言えば、プラカードの印刷である。 7月1日の秋葉原における安倍首相の演説に対して、「安倍辞めろ」「帰れ」との大コールが沸き起こったのは記憶に新しい。 そしてそこでは、巨大横断幕と共に、数多くのプラカードが掲げられた。 この場所で同じようなプラカードが並んだことに対して、組織的な工作ではないかとの陰謀論までSNSに書き込まれたが、何のことはない。 デザインに長けた人たちがプラカードを制作してネットプリントにアップロードし、その情報がツイッターなどで拡散され、多くの人がコンビニでプリントアウトして持ってきただけの話である。 そして7月9日、森友疑惑や加計疑惑から逃げるかのように欧州へ飛び立った安倍首相の不在の間、日本全国で一斉に「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」が企画された。 この行動では更に数多くのプラカードが「勝手」に作成され、SNSとネットプリントを通じて拡散、共有されていった。
なかには、作家で法政大学教授の中沢けい氏自ら作成し共有したものもある。
2011年のチュニジア民主化では、FacebookやTwitter、YouTubeなどのSNSが大きな役割を担ったと伝えられている。 さらに現在の日本では、SNSにコンビニという社会インフラが複層的に絡み合うことになった。 政府与党側は先の参院選で巨額の費用を投じ、リアルタイムでSNSを分析する外部のサービスを利用したとの報道があった。 しかしそんな費用を持たない民衆は、自らの知恵をもって容易に乗り越えていく。 為政者には有権者を「あんな人たち」などと舐めてかかる余裕などない。
追記 (22:00 9/7/2017)
事前の予測を遥かに上回る大規模なデモになった。 朝日新聞:「安倍1強」の政治に反対、新宿で抗議デモ 8千人参加 毎日新聞:緊急デモ「安倍内閣は退陣を」新宿に「8000人」集う 神奈川新聞:「安倍政権にNO!」新宿で大規模デモ
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Photo by Glenn Carstens-Peters on Unsplash PCで作業をしていて、フォルダー内のファイルのリストをExcelなどで作成しなければならない場合がある。 ファイルの数が少なければ、ファイルを右クリックして「名前の変更」にしておいて、Ctrl+C と Ctrl+V でコピペを繰り返すという地道な人力作業で何とかできるが、ファイルの数が数十、数百となるととてもやっていられない。 また、コマンドプロンプトを立ち上げて、dirコマンドでリストする方法もあるが、一文字違わずパスを記述しなければならないし、Windows 10以前ではコマンドプロンプトにペーストできないのでお勧めしかねる。そもそもWindows 3.1のconfig.sysの編集みたいこと、今更やってられるかよ。 しかしフォルダーとファイルの紐づけは、WindowsがOSとして必ず持っているはずなので、何等かの手段はあるはずだと思い、いろいろ弄っていたら、ほとんど裏メニューではあるが非常に簡単な方法を見つけてしまった。 1. まず対象となるフォルダーを開く。 2. 次に名前をリスト化したいファイルを、Shiftと右クリックで選択。 3. ここでShiftを押しながら、右クリックすると、メニューが表示される。この中から「パスのコピー」をクリック。 これで、必要なファイル名がパスと共にコピーされるので、ひとまずテキストファイルにペーストすればよい。
その後はExcelでCSVファイルとして開けば、パスなどファイル名以外で不要な情報は簡単に編集、除去できる。 実は冒頭に記載した方法で何時間も掛けていた作業が、30秒もあれば完了してしまったので、正直かなり脱力してしまった。 無意味な機械的作業は出来る限り省力化しましょう。 Nishi Shinjuku,Tokyo - Bootleg, HeavenPhoto by Josh Wilburne on Unsplash 3月に「ブートレグ流通の変遷」というタイトルでブート流通について書いたが、過去のブートの扱いは今ほど堂々とはしていなかったはずだとの記憶が、もやもやと燻り続けていた。 そこで手元に残っている古雑誌で、いくつか確認してみることにした。 これは、1984年のFool’s Mateでの広告。この雑誌はいつの間にかビジュアル系専門誌になってしまったが、当時はプログレやポスト・パンクが中心だった。 メジャーレーベルの広告は表紙裏くらいで、あとはほとんどの広告がブート屋である。 その中でブートに対して「プライベート盤」という表現が使われていた。 次に同じ1984年のDOLL。 こちらはパンクに焦点を当てた月刊誌で、広告は自主制作盤が中心。なかには手書きのものまである。 ここで見つけたのは「プライベート・ビデオ」なるブートの広告。 「プライベート盤」の派生語みたいなものだろう。 更に12年経過した1996年のrockin’ on。今でこそメジャーな音楽誌になっているが、当時の広告はグラビアのカラーページを除けば、他は全部ブート屋といってもいい状態だった。 もう1996年ともなれば媒体は完全にCDへ置き換わっているため、ここでは「コレクターズCD」という言葉が使われている。 「プライベート盤」といい「コレクターズCD」といい、後ろめたさが醸し出されていて趣き深い。 やはり今ほど開き直った商売ではなかった。 さて、ここから本題。これまでブートのような著作権侵害は親告罪だったので、権利者が訴えなければ摘発されることはなかった。
ところが著作権侵害は、この度成立した共謀罪(いわゆるテロ等準備罪)に含まれているので状況が一変した。 ブート制作・販売は明らかに不法行為である。 とは言え、さすがにどう見てもテロ行為の準備とは思えない。 しかし二人以上の集団が準備行為を行えば、それだけで共謀罪の構成要件を十分満たすのである。 しかも共謀罪は親告罪とは到底考えにくいので、捜査当局がその気になればいつでも摘発できる。 では共謀罪の対象となりえるのはブート屋だけなのだろうか。 共謀罪における「組織的犯罪集団」の定義は結局曖昧なままで可決されてしまった。 ブート屋はもとより、音楽ファンが二人以上で無断録音や撮影の計画を相談すれば、たとえ実際に録音や撮影を行わくてもそれだけで法的には共謀罪として摘発可能になっているのである。 実際のところ、共謀罪の運用は暴対法に近いような形で、ある程度国民世論に受け入れられるようなところから開始されるだろう。 しかし共謀罪は、到底テロとは無縁な様々な分野で、いつでも権力者が恣意的に運用できる。 そしてこのような法の成立を許してしまったのは、他でもない自民党に投票した有権者自身である。 実はブート屋の間抜けぶりを笑っている場合ではない。 ライブ会場で写真を撮ってSNSにアップしたいなら、そのたびに自分の投票行動をよく思い返しておくべきである。
6月15日早朝、「共謀罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が参議院本会議で可決され成立した。
「組織犯罪とは何か」など、法の適用要件が明らかにならないまま、しかもテロとの直接的な関係もない多くの刑法を含むという内容の酷さ。 さらに参議院法務委員会での審議継続や公聴会を省略する一方、緊急事態でもないのに中間報告を行って直ちに本会議決議に持ち込むなど、70年かけて積み上げてきた国会の民主的手続き・運営を悉く踏みにじるものであった。 すべてがデタラメと言わざるを得ない。 こうした刑法の体系を根本から変えるものであるにもかかわらず、日本のメディアは一部を除き、まったく腰が引けたものであった。 では、対して海外のメディアはどのように報じたのか。共謀罪可決直後の報道を追ってみる。 アルジャジーラ Alijazeera 見出しでは「オリンピック開催に不可欠との政府の主張に対し、人権侵害の懸念」と伝えている。 さらに日本の反差別団体C.R.A.C.のツイートを引用し、連日数千人が国会前で抗議を繰り広げたことを紹介している。.
記事中では、共謀罪の権力による濫用や、表現の自由に対する憲法違反の攻撃との批判と併せ、著作権違反や森林の違法伐採まで含まれる法令のいい加減さが指摘されている。 後半は、国連人権理事会特別報告者のケナタッチ氏の懸念が大きなスペースを取って引用されている。 ブルームバーグ Bloomberg 見出しから「安倍、監視能力を増加する法案を推進」と名指しである。 本文でも「共謀罪は安倍の長年の野望である平和憲法の変更に道を開いた」と、政権の本質をばっさりと喝破。 そして後半は、やはり国連の懸念について大きく紹介している。 ドイチェ・ヴェレ Deutsche Welle こちらの見出しも「日本の共謀罪は民主主義に手錠をかける」と、法令の真の目的を突いている。 そして、抗議の市民の大きな写真。 また安倍の「オリンピックまで三年しかない」との発言を引用して、政府がオリンピック開催を政治利用していることに言及。 さらに、共謀罪によって277もの犯罪を「共謀」として起訴する権力を捜査当局に与える一方、法令はテロ対策と直接関係する内容がほとんどなく、キノコ狩り、切手偽造、デモでの座り込み、無許可の競輪などを含むデタラメなものであることを暴いている。 また共謀罪は、安倍の「連合軍に押し付けられた」とする憲法の書き直し策動に直結していることを明確に指摘し、さらに日弁連や国連からの批判も大きく取り上げている。 ガーディアン Guardian 見出しでは、「市民の自由に対する懸念に反し、野蛮な反テロ法成立」と表記。まさに野蛮としか言いようがない。 ガーディアンも、安倍政権がオリンピックを言い訳にしているものの、法令にはテロや組織犯罪とまったく関係ないものが多数含まれており、マンション建設反対の座り込みや、音楽のコピーなども対象となると指摘している。 またケナタッチ氏の懸念に対し「極端にバランスを欠いている」とする安倍政権の不誠実な対応も紹介されている。 アイリッシュ・タイムス Irish Times アイリッシュ・タイムスは、日本について「殺人は10万人に0.3で世界でも最も安全な国であり、大きなテロは20年以上発生していない」のに、なぜ共謀罪が今必要なのか疑問を呈しており、また日本政府がさっそくマンチェスターのテロ事件を口実としていると批判している。 記事の後半はケナタッチ氏の懸念と併せ、デヴィッド・キー氏による「メディアへの脅威の懸念」を紹介している。 ストレート・タイムス Strait Times 管理社会の先鋒であるシンガポールのエスタブリッシュ・メディアでさえ、抗議の市民の写真と併せ、共謀罪が著作権違反や森林の違法伐採などテロ対策と無関係なものを多数含んでいることを報じている。 ワシントン・ポスト Washington Post ワシントン・ポストの見出しも「懸念の高い反共謀法案を首相が先導」と、いきなり名指しである。 記事本文では共謀罪が改憲の動きと連動していることに触れ、中野晃一氏の「安倍の傲慢さと弱さを示すものだ」との発言を引用するとともに、可決へ向けての拙速な動きは籠池や加計の不正問題から関心をそらすものと断じている。 さて、国会での審議の中継すらまともに行わず、メディアとしての役割を放棄したNHKが、共謀罪成立当日の15日夕方、共謀罪で何が変わるのか詳細に解説する報道を行った。日本経済新聞も同様である。なぜ審議中にこうした解説を行わなかったのか憤るよりも、むしろ「共謀罪が成立してこうなったんだから、お前ら黙っていろ」との恫喝としか思えない。 しかし、こんなことで委縮し沈黙するわけにはいかない。既に私たちは海外報道に頼らざるを得ないところまで来ているのだ。そして私たちの未来は、まともな民主主義国家の運営を取り戻すことにしかないのである。 Photo by Damian Zaleski on Unsplash 1、2年ほど前にデジタル・マーケティング業界で盛んに喧伝されていた「マーケティング・オートメーション」や「コンテンツ・マーケティング」なるバズワードを最近すっかり目にすることがなくなってしまった。 マーケティング・オートメーションについては、数年にわたってB2B用途のツールを使っていた経験があるので、いま改めて振り返ってみたい。 まずB2Bでのマーケティング・オートメーションで最初に試行されるもの、あるいは最も典型的なものは、セミナーの案内であろう。 ここでは既存顧客にセミナーの案内メールを送信し、さらに一回目のメールを未開封の場合に絞って二通目を送信するケースを想定してみる。 ここで最初の壁となるのがメールの形式だ。
メールの開封の有無を取得するためには、テキストメールではなくHTMLメールである必要がある。 技術的な話としては当たり前だからなのか、あるいは他に意図があってなのか判らないが、「マーケティング・オートメーションではHTMLメールが前提」ということが、ベンダーからもメディアでもなぜか余り聞こえてこない。 一方、ビジネスの現場でのHTMLメールの利用状況はどうなのか。 折しもこの6月2日、一般社団法人日本ビジネスメール協会が「ビジネスメール実態調査2017」を発表した。 この資料によると、仕事での送受信に使用しているメールの形式は「テキスト形式」が68.27%になっている。 また「HTML形式・リッチテキスト形式」を利用しているユーザーの中には、その装飾性に批判的な人もいると考えられる。 当たり前であるが、ビジネスの現場でイメージをべたべた張ったメールを送られても迷惑なだけだし、イメージに仕込まれたリンクはフィッシングの可能性もあるので、クリックは躊躇されるであろう。 送り手側の裏技としては、イメージを一切使わず、テキストのみのコンテンツに留めたHTMLメールを作るという手もあるが、これもメーラーによってはブロックされてしまう。 そもそもB2BでHTMLメールを前提にすること自体、現場のメール利用の実態との乖離があるのだ。 こうなると、先の例では二通目の送信の判断すらできなくなる。 またHTMLメールを作るにしても、その手間も考慮しておくべきである。 某マーケティング・オートメーション製品で、HTMLメールを簡易に作成するためのリッチ・エディターを備えておらず、スクラッチでHTMLのコードを作らなければならないものがあった。 いまどき無料のブログでさえ備えている機能だが、これもこの業界の実態のひとつである。 当たり前の機能が無いとか驚くべき事態だが、製品選定にあたっては十分注意していただきたい。 また、メールから誘導したWebでの個々のアクティビティを取得するためには、リンクをパラメータ付URLで記述する必要がある。 しかしパラメータ付URLの複雑な書き方に習熟することが、マーケティング部門の仕事なのか? 先のHTMLメールの作成と併せて、疑問に思わざるを得ない。 さてマーケティング・オートメーションの本来的な意義は、このような単純なメール配信だけでなく、リードがホットになった時点で営業へ引き渡すためのリード・ナーチャリングを行うという点にある。 しかしリード・ナーチャリングもまた、ベースとなるスコアリングが一筋縄にはいかない。 例えば、スコアリングとしてWebアクセスに2ポイント、資料請求に10ポイントを設定するケースを考えてみよう。 この場合、Webアクセスを5回行ったユーザーは、2ポイントx5で10ポイントとなるが、これを資料請求の10ポイントと同等に扱っていいのだろうか。 このようにスコアリングの設定は非常に厄介であり、明確な正答は得にくい。むしろWebアクセスに何ポイントを付与するかというような不毛な議論を続けたり(もしくはAIや機械学習まで持ち出したり)するよりも、ひとこと「資料請求のあったユーザーは営業がフォローする」と言い切ってしまったほうがよほどすっきりする。 数百万件から数億件のデータを扱うB2Cでの自動化の必要性と比べ、せいぜい数万件程度のB2Bのリストであれば、高額なマーケティング・オートメーション・ツールを導入するまでもなく、安価なメール一斉配信サービスでも十分対応可能な場合が多いのではないか。 またシステム化よりも、「過去に売ってくれたパートナーからこの2年間は実績がない営業を抽出し、自社の担当者の実名で新製品説明依頼のメールを出す」といった、アナログな手段のほうが何倍も効果的となる可能性もある。 マーケティング・オートメーションの導入にあたっては様々な落とし穴があるので、製品やサービスの価格のみならず、習熟に要する手間や代替可能性も含めて十分な費用対効果の検証を行っていただきたい。 はじめにお断りしておくが、「採用選考を受ける」側ではなく「採用選考を実施する」側に対する注意事項なので、よろしくお願いします。
さて今年も経団連加盟企業の2017年度採用選考が6月1日に解禁になった。各メディアの報道によると久しぶりの売り手市場で、しかも短期決戦であるため、各社の人事は大忙しの真っ最中であろう。 さらに現場に裁量を持たせたライン人事の導入が進んだこともあり、人事部門だけでなく、各事業部門からも採用選考に参画しているケースが多いと思われる。 ここで注意いただきたいのは、採用選考で絶対に守らなくてはいけない基準があることだ。 これは単にマナーやコンプライアンスの話ではなく、明確に法令で定められているので、違反した場合「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という罰則が待っている。 これら採用選考の基本的な考え方については、厚生労働省が明確に打ち出している。
要は本人の適性や能力に関係がない事柄で選考を決定してはいけないということだ。 なぜなら、こうした事柄で判断するのは就職差別につながるからである。 さらに厚生労働省では、選考で配慮すべき事柄について具体的に列挙している。
こうした事柄に留意するため、選考面接で訊いてはいけない具体的な質問例を、大阪労働局や熊本労働局が理由と共に明示しているので、参考にしていただきたい。 例えば「あなたのお父さんやお母さんの出身地はどこですか」のような本籍に関わる質問は、歴史的に不当な差別を受けてきた同和関係の方や在日韓国・朝鮮人の方に不安を抱かせ、就職差別として彼ら、彼女らを排除してしまうことになる。 また「あなたのお父さんはどこの会社に勤めていますか」「あなたの住んでいる家は一戸建てですか」といった家族構成や資産に関する質問も、本人の適正や能力と何の関係もないばかりか、選考に当たって意味のない主観的予断と偏見を与えてしまう。 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問も、憲法で保障されている個人の自由権に抵触するので厳禁である。 これは職業安定法違反だけでなく、日本国憲法違反。学生運動や労働組合に関する考えを訊くことは当然禁じられているし、「尊敬する人物」「将来、どんな人になりたいか」「どんな本を愛読しているか」といった質問も、形を変えただけの禁止事項なので、この辺りは十分理解しておきたい。 「結婚、出産しても働き続けられますか」といった男女雇用機会均等法に抵触する質問も当然厳禁である。 ではこうした公正な採用選考が、現在どこまで徹底されているのだろうか。 2016年に日本労働組合総連合会が加盟組合を対象に調査を行ったところ、いまだに一割近くの企業で「本籍地・出生地」や「家族構成・家族の職業や収入」に関する質問が行われていることが明らかになっている。 さらに男女雇用機会均等法の理解については、「未婚・既婚や結婚の予定」を質問する企業が一割以上。 女性排除につながる「残業や休日出勤ができるか」「転勤できるか」という質問は実に四割もの企業で行われており、惨々たる有様だ。 冒頭にも書いたが、近年は採用選考に当たって人事だけでなく多くの部門が関与するようになっている。 選考にあたっての注意事項に関しては、人事系のコンサルティングファームからトレーニング・プログラムが提供されているので、こうしたプログラムを活用して関係者全員に対する研修を実施するのも手であろう。 そして何よりまず企業人全員の人権意識向上をお願いしたい。 それが公正な社会を作り、また自社の事業活性化にも繋がるはずだ。 ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の50周年記念エディションが到着した。 予約していたアマゾンからの発送だが、いつにも増して厳重な梱包。段ボールで二重になっている。それにしてもでかいし重い。 1987年の20周年記念エディションと比べてみる。CDがアナログを凌駕し始めた1987年には、歌詞通り '20 years ago today' がプロモーションの合言葉に使われたのを今でもはっきり覚えているが、そこからさらに30年もの年月が経過した事実にも改めて驚愕。 さて開梱してみると、まずはマスターテープのケースを捩った仕様。 さらに中味は、重量級ブックレット(重い原因はこれだった)、ポスター数点、そしてアナログ盤当時のサイズで制作されたジャケット。当然裏面には歌詞が掲載されている。涙。 ジャケットを開くと、CD 4枚にBlu-RayとDVD。どこから手を付けるべきか悩んでしまうが、そりゃまずオリジナル音源にリミックスを施した一枚目からでしょう。 このリミックス、とにかく凄い。 40年以上聴き続けてきたオリジナル盤の問題点をすべて解決し、完全に21世紀仕様として蘇らせている。 オリジナル盤では、楽器やボーカルを完全に左右へ振り分けた疑似ステレオだった。 例えば一曲目のタイトル曲ではポールのリードボーカルを右へ寄せ切っていたし、リンゴのドラムも塊となって片チャンネルにまとめられていた。 新しいリミックスでは、定位が完璧に修正されている。 まずタイトル曲のポールのリードボーカルが完全にセンターに移動されていることに気づく。 リンゴのドラムも、タムやハイハットなどが分離され、定位し直されている。 オリジナルの録音では8チャンネルしかないためドラムは塊になっていたはずだが、どうやって分離したのだろう。 現在のデジタル技術の粋なのだろうが驚くしかない。 リンゴのドラムの改善が特に顕著なのは2曲目の 'With A Little Help From My Friends' で、スネアがセンター、ハイハットがやや左側に寄せられており、ドラムがクリアに分離されたため今まで聞こえにくかったコーラスでのタンバリンまではっきり聞き取れるようになった。 なお 'A Day In Life' では、ピアノなどが左側でリズムを刻んでいるため、敢えてドラムは右側へ寄せたままになっている。 'Lucy In The Sky' のイントロではハープシコードがパンポットで微妙に左右に動くことで全体に広がりを持たせているし、アルバム全体を通じてコーラスの広がりも圧倒的。 またポールのベースの音質の改善も顕著で、輪郭がはっきりしたうえに、重い音になっている。 2枚目以降のアウトテイク集にまで辿り着くにはまだしばらく掛かりそうだが、これはとにかく「買い」である。 追記 (21:00 28/5/2017)
NPRでのジャイルス・マーティン(ジョージ・マーティンの息子)のインタビューによると、オリジナル制作当時は4トラックを重ね続けて音を作っていったので、今回の50周年記念エディションにあたっては最初のテイクを含むテープに遡って音源としたとのこと。 それらはヒスノイズもなく極めてクリアな音だったとも証言している。 音質改善はデジタル技術に頼ったわけではなく、全て原音の良さにあった。 ますます恐るべしである。 前記事「自学自習で資格を取る ITIL Foundation編」にて取り上げたIT資格試験は海外のものだったが、日本でIT資格試験を語る上では独立行政法人情報処理推進機構(以下 IPA)が提供している情報処理技術者試験を避けては通れないので、今回はIPAの情報セキュリティマネジメント試験対策について紹介する。 情報セキュリティマネジメント試験は2016年度春期から実施されるようになった新しいもので、IPAによれば「情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験」とされている。 試験はすべて四肢択一のマークシートで、午前中は小問50題、午後は長文のケーススタディ3題が出題される。 2016年度春期の最初の試験の合格率はなんと88%の高さに達したため「セキュリティ関係者が挙って受けたからではないか」と語られたものだが、秋期分も併せた2016年度年間の合格率も79%と発表されているので、そういうものなのであろう。 実際に2016年度秋期の試験を受けてみた自身の経験で結論を先に言ってしまうと、「セキュリティの実務経験があれば努力なしで合格できるが、セキュリティやITの経験がなければ範囲が広すぎて手が付けられない」ということになる。身も蓋もないが、受験した人は同じ感覚を持つだろう。 例えば、2016年度秋期の午前の問題の一つはこんなものである(ただし大幅に短く改題)。
これを見て「あほちゃうか」と思った人は100%合格できる。 何のことか判らない方は膨大な勉強時間が必要だし、それに見合う試験とも思えないので止めておいたほうがいい。 試験の範囲はIPAがシラバスとして公開している。 これによると、出題範囲は情報セキュリティ全般から、DBやネットワークの基礎、プロジェクト・マネジメント、法務など多岐に渡る。したがっていくら簡単とは言っても、何も準備しないでよいという訳にはいかない。 合格率80%の試験で落ちたらさすがに恰好悪いでしょ。 しかし幅は広くても深くはないので、セキュリティやITのベンダー、もしくはIT部門での業務経験がある人であれば、対策本を一冊買って通勤の行き帰りに読めば十分合格できると思う。 先ほどはスマートフォンに関する実際の問題を挙げてみたが、
なお私自身はリックテレコムの「情報セキュリティマネジメント完全対策」を使った。 実は暗号化に対する知識が甘くて、共通鍵・公開鍵・秘密鍵の位置づけを整理して頭に叩き込む必要があったが、その程度で済んだ。 また前述したように、午後の試験はケーススタディとなっているため、実務経験で判断するしかない、言い換えると実務経験があれば悩まず解答できる内容である。
例えば2016年秋期の概要は次の通り。
こうして眺めてみても、冒頭で指摘したように「セキュリティの実務経験があれば努力なしでも合格できるが、セキュリティやITの経験がなければ範囲が広すぎて手が付けられない」という試験の特性をご理解いただけるのではないかと思う。 受験料は5,700円だし、IT業界の皆さんは「もぐり」と言われないよう取得しておくべきだろう。 2017年5月現在国会で審議が続いている「組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案」、いわゆる「共謀罪」に対して、国連人権理事会のプライバシー権特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏から、日本政府に対して懸念の書簡が届けられた。 原文は国連人権理事会のWebサイトでPDFにて公開されている。 また弁護士の海渡雄一氏らのグループの努力により、早速日本語による全文翻訳も作成された。 なお、ケナタッチ氏による懸念のポイントは次の通り。
これに対して日本政府はどう応えるつもりなのだろうか。 追記 (2017/05/21) 各メディアでの関連記事
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先週世界各地で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」が、週明けの日本でも問題になっている。 被害の状況やランサムウェアの挙動などについては、IT専門メディアから一般紙に至るまで広く報じられているが、Windowsクライアント側での具体的な対応については全然見当たらないので、ここにまとめておきたい。 セキュリティ更新プログラムMS17-010は、既に3月10日にリリース済。 マイクロソフトのセキュリティ情報のページで提供されているので、基本的には最新の更新プログラムが適用されていれば対策がなされている。詳細はこちらを参照されたい。 Windows 10での確認 なお、セキュリティ更新プログラムMS17-010がWindows 10に適用されているかどうかは、次の手順で確認できる。 左下のWindowsマークをクリック ⇒ Windowsシステムツール ⇒ コントロールパネル⇒プログラム ⇒ プログラムと機能 ⇒ インストールされた更新プログラムを表示 これで下記のいずれかが当っていればOK。詳細はこちらを参照。
Windows 7での確認 Windows 7での確認手順も同様である。 左下のWindowsマークをクリック ⇒ コントロールパネル ⇒ プログラム ⇒ プログラムと機能 ⇒ インストールされた更新プログラムを表示 下記のいずれかが当っていればOK。これについても詳細はこちら。
なおWindows 10や7以外については、 セキュリティ更新プログラムの展開に関する情報: 2017年4月12日 2017年3月のマイクロソフト セキュリティ情報の概要 を参照されたい。 またウイルス対策ソフトが最新になっているのは当然の前提である。 |