Photo by Craig Garner on Unsplash 以前、某ITベンダーで資格試験の企画運営を担当していたことがあった。 IT製品のビジネスはベンダー、インテグレータ、販売パートナーなどから成るエコシステムに支えられているが、資格試験業界もまた独自のエコシステムとして対策本関係者やスクール、試験配信業者などを抱えている。 さらに資格試験はIT製品のプロモーションツールとしての一面を持つ一方で、取得人数が多いものほどビジネスとして独立した収益が要求されるなど、外からは中々窺い知れない世界であった。 自分自身が資格試験業界に身を置いていると、担当している資格試験の受験に制限がかかることがあるし、そもそも受験しようという気持ちが沸いてこない。 そんなことを言い訳にして、30年近くもIT業界で仕事をしながら資格を一つも取得してこなかったのだが、さすがに恰好がつかないので、いくつかの資格に挑戦してみることにした。 とは言え、IT関連の資格と言っても様々なベンダーが提供しているものから、経済産業省などの公的機関が実施しているものまで数多くある。 今更年齢的に特定のベンダー製品のエンジニアとして仕事をするわけでもないので、公的でマネジメントの要素を持つ資格を選択することにした。 またスクールに通う費用や時間を節約するために自学自習が前提である。 天に唾するような方針だが仕方がない。 そんなわけでまず選んだ資格が、ITIL試験である。 ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、英国政府がITサービスのマネジメントのためのベスト・プラクティスを体系的にまとめたもので、2017年5月現在、Version 3になっている。 既に世界中の情報システム部門やシステム・ベンダーなどがITサービスの企画、設計、運用、管理のために活用しており、日本でも総務省による自治体CIO向けのトレーニングで利用されている。 ITILの資格は、基礎となるFoundationから最上位のMasterまで4つのレベルがある。 まずFoundationの試験に合格してから、いくつかのコースを積み重ねながら上位レベルへ上がっていく構造だ。 上位レベルの資格取得は、大学の単位制度に近しいものがあるが、とにもかくにもまずFoundationを取らなければ話にならない。 ITIL Foundationの試験は日本の場合、認定試験機関のEXINが運営しており、さらに指定配信会社になっているプロメトリックやピアソンVUEの会場でオンライン受験することになる。 このため最寄りの試験会場でいつでも受験することが可能で、要するに合格できそうな状況になって申し込めばよいため、非常に便利である。 しかし問題は受験料の26,000円だ。 日本独自の公的な試験であるIPAの情報技術者試験は5,700円、中小企業診断士でも13,000円である。 CCNCやオラクルマスターなどベンダーの資格試験とほぼ同じ価格レンジではあるが、やはり高い。 言葉を変えれば、自腹で再受験はしたくない。 勉強のためのテキストは、大体2,000円から3,000円前後のものが殆どなので、こちらは費用的な問題はない。 私はマイナビ出版の「ITILの基礎 -ITILファンデーション(シラバス2011)試験対応」を使ったが、他にもいくつか出版されているので、好みのものを選択すればいいと思う。 ところでITILのベスト・プラクティスは大きく5つのテーマに分かれており、ITサービスを企画、設計、移行、運用するプロセスが、それぞれストラテジ、デザイン、トランジション、オペレーションに相当する。 また全体を通して継続的サービス改善のプロセスが必要になる。それぞれのプロセスの細かい学習に入っていくと、この全体像を見失いがちになるので、常に5つのプロセスを俯瞰する意識を持つことがコツの一つかと思う。 また、テキストを読んだだけで判ったつもりになりがちだが、これは危険だ。
一回や二回読んだ程度では2日も経てば忘却の彼方へ消えるのが当たり前である。 そのためインプットした知識を定着させるべく、模擬試験でアウトプットする工程が非常に重要になるのだが、残念ながらITIL Foundationの過去問題は市販で出回っていないし、またテキスト巻末の問題も微々たる量である。 そこでお世話になったのがping-t.comで無償提供されている問題集だ。 これは本当に有難かったし、心から感謝したい。 受験される方には是非利用してみていただきたい。 さてITIL Foundationの試験当日だが、全40問を一時間でこなすことになる。 問題は4択で、1分半で一問を片付けなければならないから、悩んでいる暇はない。 しかし合格ラインは65%で、40問中の26問に合えばいいのだから、落ち着いて肩の力を抜いた程度でちょうどいい。 またオンライン試験であっても、気になる問題にはチェックをつけて後から見直すことができる。 本番ではとにかく全部解答して、再度見直すくらいのペース配分がちょうど良いと思う。 そしてオンライン試験だからこそ、提出ボタンをクリックした瞬間に合否を確認することもできる。 合格証はEXINのサイトからPDFでダウンロード可能で、また別途申し込めば硬い紙に印刷されたものを取り寄せることもできる。 その後上位レベルを目指すのであれば、コースの積み重ねとなるが、さすがにここからは自学自習という訳にはいかない。
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Photo by William Iven on Unsplash 私自身がFacebookページの運用を開始してから凡そ6年になる。 Facebookページに多くの「いいね」を集めるためには効果的なFacebook広告を出稿することが重要になるが、開始当初からFacebook広告出稿のためのガイドとなる書籍は殆ど無かったし、さらに具体的な結果の数値はまったく見当たらなかった。 前者についてはFacebookの仕様が頻繁に変更されるため、書籍では追いつかないからであろう。 最近も「広告マネージャ」が大幅に変更になったばかりだ。 また後者に関しては企業ユーザーの場合、広告出稿金額やその効果などのデータは重要な機密に当たるので、外部に公表されないのは当然と言える。 しかし私が運営しているFacebookページ「ロックっていいね!倶楽部」は一切の利潤を考えない単なるコミュニティに過ぎないので、様々なデータを公表することに何の差支えもない。 そこで、まず最新の「広告マネージャ」による広告ターゲットの絞り込み方を、続けて広告効果の具体的な数値を提供してみたい。 「広告マネージャ」によるターゲットの絞り込み まず「広告マネージャ」を立ち上げると、デフォルトの設定として、地域は日本全国、年齢は18才以上、性別は男女双方になっている。右上にオーディエンスサイズが表示されているが、デフォルトの状態では3,200万人が対象になってしまい、ターゲティングの必要性が痛感される。 そこで評価ターゲット設定に「ロック」と入力してみると、キーワードとして「ロックミュージック」の他、「オルタナティブロック」など各ジャンルが自動表示される。 取り合えず「ロックミュージック」を選択してみる。オーディエンスサイズは480万人に絞られるが、まだまだ大きすぎて話にならない。 当Facebookページにて最近はプログレ系のネタが多かったので、対象のキーワードを「プログレッシブ・ロック」に変更。 これでもまだ26万人もいて、絞り切れない。他のジャンルでもだいたい同じくらいである。 そこで最近来日したばかりで、当Facebookページでも取り上げた「ポール・マッカートニー」をAND条件で加えてみると、3万4千人にまで絞られる。 まあいい感じではある。 要するに日本のFacebookユーザーのうち3万4千人が、プログレとポールの両方好きと表明しているわけだ。 なお余談だが、キーワード「プログレッシブ・ロック」上にカーソルを置くと、全世界で4,945万人ものプログレ愛好家がいることがわかる。 同様にポール・マッカートニーのファンは685万人である。 さて、ここでもう少しターゲットの絞り込みを行ってみたい。当Facebookページのインサイトを見ると、圧倒的に男性の率が高い。 このため今回はターゲットを女性のみに絞ることにする。 また「プログレとポールが好き」な女性の多くは、ある年齢以上と推定されるので、年齢も「35才から64才」の範囲に設定する。 ここまで絞るとオーディエンスサイズは4,200人。 あとは広告の原稿を「プログレとポールが好きな女性」向けにチューニングすればよい。 最後に気を付けなければならないのは「つながりの種類」の設定である。 今回はFacebookページへの「いいね」を集めることを主眼としているので、既に「いいね」していただいている方へ広告表示しても意味がない。 そこで ”あなたのページに「いいね!」した人を除外” することにする。 これで設定は完了だ。 Facebook広告の結果 ところで、当Facebookページの広告出稿は2014年を最後に停止しており、現在はすべてオーガニックな増加のみである。 しかし広告の仕組みの変更や効果の確認のため、年に一度は少額で広告出稿をしている。 下記の表の上の行が2016年度、下が2015年度の結果である。 「結果の単価」は、ひとつの「いいね」を獲得するために使用された金額である。 Facebookの広告の場合、入札制度を取っているので、同じターゲットに対する広告が競合した場合、入札金額が高いほうが優先して表示される。
当Facebookページの場合、立ち上げ当初で競合の少なかった2012年前後には、「いいね」獲得の単価は2円から3円くらいだった。 その時点の数値と比較すると、現在は高くなったとは言える。 しかしアカウント属性が全く不明なTwitterや、ターゲティングすらできない一般のバナー広告と比べ、きめ細やかなターゲット設定が可能なFacebook広告は、引き続き有効なツールであることに間違いない。 広告を主要な収入としているSNS各社の中で、TwitterがFacebookに水をあけられるのも、これでは仕方があるまい。 3月21日に行われた、内閣府の「クールジャパン人材育成検討会(第1回)」での提出資料が公開された。 All the presentation materials have been publicized that were provided for 'Cool Japan Human Resource Development Study Committee #1' of Cabinet Office, Government of Japan held on March 21. 以下、中村委員による資料から画像を拝借し紹介。 The followings are the images from one of the committee members, Pofessor Nakamura of Keio University. 言葉を失う。
Nothing to say. Meanwhile I don't wanna be 'Cool'. 私は、まったく別のテーマで複数のブログを運営しているが、最も長いものが「ロックっていいね!倶楽部」で、ロックに関するその時々の話題を紹介している。 もともとは同じタイトルのFacebookページから派生したものだが、Facebookページでの投稿が日々流れてしまうフロー型の性質であるため、コンテンツをストックするために並行してブログの運用を開始した。 ブログ開設が2011年8月だから、そろそろ6年が経つ。 この間、時々休んだりもしたが、2014年には何の根拠もなく「一年間で記事数を1,000にする」という目標を立てて、ひたすら書きまくった。 最も多い時には一日に3記事、一か月で90近い記事を書いたこともある。 その結果、現在では記事数の総計が1,200を超えており、個人のブログとしては異常とさえ言える規模になっている。 ところで、各コンテンツの賞味期間は決して長くはない。 下記のグラフは2017年4月に投下した記事のPV数を日々トラッキングしたものだが、どんなテーマであっても3日目には完全に陳腐化する。 しかし記事数のストックが多いことが幸いし、一日に一回しか見ていただけないような記事の積み重ねによって、結構な数のPVが生み出されている面もある。 下記の表は2017年1月のデータで、一番右側がPV数、その左側がユニークユーザ数を示している。 実はこの月は新規の記事を一本も書いていない。 すべて過去記事へのアクセスだけだが、それでも一日あたり200前後、ひと月で6,000以上のPVをいただいている。 また陳腐化が速いとは言え、過去記事でもリンク切れなどをメンテナンスし、テキストも多少修正することによって、「使いまわし」は十分可能である。 例えばこの4月でも、数年前に書いた記事が一日で多くのPVを叩き出しているケースがある。
2017年4月は、スティーヴン・タイラーやポール・マッカートニーなどの来日が相次いだため、久しぶりに10本ほどの記事を書いた。 これくらい書くと一か月あたり50,000を超えるPVに達する。 過去最大のPVは12万くらいだったので、この辺りが実力なんだろう。 さて、各ブログ記事にはアフィリエート・バナーを張っているのだが、そこで生み出される金額をお見せしたい。 この表はアマゾンのアフィリエートの結果だが、右端の数字が月額の累計値である。 アマゾンの場合は1,000円を超えると支払われる仕組みになっているので、昨年5月に一度支払があったものの、その後は毎月100円にも満たない額であり、もう一年近く支払に至っていない。 ちなみにアマゾンの他にはアフィリ大手のA8のバナーを張っていたこともあったが、こちらについては遂に一円にもならなかった。 アマゾン分を時間給に換算すれば10円にも満たないだろう。 しかもセットリストを書くネタ集めにライブを観に行けば完全に大赤字である。 ところで、このブログの特異な点は、同名のFacebookページと連結することによって、多くの流入をいただいているところにある。
非常にコアな層から多くのアクセスを集めて、十分ターゲティングした商品のバナーを張っても、ご覧の通り収支的には散々な状態だ。 Facebookページには13,000名以上参加いただいており、投稿によっては10,000リーチを超えることもあるが、これを開封率10%のメールマガジンの発行数に換算すると、10万通に相当する。個人はもちろんのこと、企業でもこれだけのリストを構築するのは並大抵のことではなかろう。 そして誘導先のブログでの収益につながらない。 はっきり言ってブログを「アフィリエートの道具」と考えるのは愚の骨頂だ。 何の意味もない。 ブログを書くことで自分が楽しみ、更に誰かに楽しんでもらうことができれば、それで十分なのではないか。 長時間勤務による過労死や残業代未払いなど、所謂「ブラック企業」の問題が指弾されて久しい。 大手企業の場合、労働基準法を熟知しながら敢えて違法すれすれの運用をしたり、組織的に記録を改ざんするなど意図的で悪質な例が後を絶たないが、中小企業の場合は、違法行為であるという自覚すらないケースがある。 今まで経験した事例から考えてみたい。 経営戦略がない このタイトルを見て、意味がわからない方も多いのではないだろうか。 意味がわからないが、実はこれが多くの中小企業の実態である。 中小企業庁が毎年発行している「小規模企業白書」の2016年度版によると、小規模事業者の法人のうち、実に36%が「経営計画を作成したことがない」とアンケートに答えている。 小規模事業者の定義は「常時使用する従業員数20名以下の事業者」であるが、もう少し規模の大きい中小企業でも、経営計画を立案せず、経営戦略がないまま突っ走っているケースがあることは容易に想像がつく。 さて某周辺機器メーカーのケースは、正にこの典型的な例であった。 営業へ配属されると、いきなり利益のノルマを課され、そして顧客リストらしきものを渡される。 このリストがとんでもない代物で、3年前の展示会で集めた名刺だったりするのだ。 こんなところへ電話を掛けたって先方は覚えているはずもなく、例え記憶があっても「何で今頃電話してきたんだ」と怒られるのがせいぜいである。 当たり前だ。 通常、予め申込者が把握できている自社イベントであればイベント翌日には参加者と不参加者に分けて一斉メール配信などを行うし、一般的な展示会で収集した名刺でも遅くとも2週間以内には精査してコンタクトを開始する。 リード・ジェネレーションの基本中の基本である。 ところがこの企業ではすべての施策がやりっぱなしであった。 PDCAサイクルのうち「D」だけを延々と繰り返している。 投資対効果もあったものではない。 そして利益ノルマだが、例えば月100万円の利益を粗利20%で出すためには、月額500万円の売上が必要になる。 500万円の売上を毎月継続的に作るためには、パイプラインでその10倍の金額、すなわち5,000万円くらいの案件は持っていなければならない計算になる。 こうした数字はSalesforceのようなCRMツールを使って管理するのが理想的だし、そうでなくても最低限Excelで管理して毎月見直すことぐらいは行うはずだ。 そしてリードをきちんとナーチャリングしていれば、パイプラインはできあがっていく。 しかし、ここではリードが放置され、まったく根拠のない利益ノルマだけが与えられる。 現代の竹槍。 根本的に、この企業では経営計画も経営戦略もなく、結果として日々の戦術に展開されることもない。 だから意味のない作業が延々と強要され、金を産まない長時間残業だけが繰り返される。 会社側も従業員も誰一人幸せになることはない。 こんなことに付き合うだけ人生の無駄である。 労働関連法を知らない これも驚くべきことであるが、労働基準法などを敢えて踏みにじるというレベルではなく、守るべき法規を本当に知らないので、平然とめちゃくちゃなことをやる。 件のメーカーでは、新卒や中途に関わらず、入社後の半年間は就業開始の40分前に出社してデスクの雑巾がけをすることになっていた。 この作業の分は賃金として支払われない。 いわゆる「サビ残」の一種で、完全に労働基準法違反だ。 悪質な企業の「サビ残」の場合、証跡が残らないようにやるものだが、ここはある意味違っていた。 この件を就業規則に堂々と記載していたのである。 しかも日々の「掃除チェック表」まで作成してオフィス内に吊るしていた。 全部コピーを取って労基署へ持っていってくれと言わんばかりだ。 そして当然ながら労基署へ持っていかれることになった。 また退職に対する対応もでたらめだった。 民法上は、従業員側からの退職の申し出は2週間前までで構わないとされている。 しかし引き継ぎなどがあるし、常識の範囲として一か月前までには会社側へ提出するのが一般的だろう。 ところが退職希望の一か月前に退職届を出したところ、会社側は「では退職日を今月末にする」と言ってきた。 一か月分の給与を払いたくないからだ。 これについても労基署行き。その結果労基署の指導が入り、「来月は出社しなくてもいいから給与は満額支払う」と掌を返したような対応になった。 コンプライアンスに無頓着
法的にグレーゾーンであっても、ダメなものはダメである。 例えば、採用時の圧迫面接。非常に威圧的な態度で応募者の対応を見る手法だが、強い立場を悪用したある種のパワー・ハラスメントとも言える。 こんなやり方を許しているような企業は、入社してもどんな環境が待っているのか推して知るべしだ。 そもそも入社しない限り、応募者と会社は赤の他人に過ぎない。 むしろ採用で縁が無かったからこそ、その応募者がいつ取引先になるか分からないし、ましてやコンシューマ向けの製品を扱っている企業であれば、もう二度とその企業の製品は購入されないという深刻なネガティブ・インパクトに直結することを肝に銘じるべきだろう。 また社内においても、人事管理の基本的なルールが判っていないケースもある。 例えば、部下を何等かの理由で叱らなければならない時は通常、個室で他人に見えないようにするものだ。 ところが逆に、社長が社員を叱る際、相手が役員だろうが一営業だろうが、できるだけ多くの人を集めて吊るしあげる企業があった。 さらに酷いことに、「お前もそう思うだろう」と周囲に同意を求めるのだ。 文革の紅衛兵かよ。 ここは社員の定着率が極めて悪く、早ければ三か月、長くても二年で多くの人が去っていった。 愚かなことだ。 我が町、東京都町田市。東京都から半島状に神奈川県に突き出しており、「神奈川県町田市」とか「神奈川領」などと言われることが多いが、実際1893年まで神奈川県であったし、都心への通勤もいったん神奈川県横浜市と川崎市を経由するので、まあ仕方がない。 (なお以下、地図はすべてGoogle Mapからキャプチャ) 町田市と神奈川県の西の境は、文字通り「境川」によって隔てられている。 基本的には境川の西が神奈川県相模原市や大和市、東が町田市に当たる。 この境川は過去蛇行が激しく、大雨が降るとしょっちゅう氾濫していた。 そのため改修工事が進み、まっすぐな流れに改造されたのだが、行政区分は過去のまま残ってしまい、東西に東京都と神奈川県が点在する事態になってしまった。 この極端な例が、JR町田駅に隣接するヨドバシカメラさんである。 なんと立体駐車場のど真ん中を県境が走っている。 カーナビを付けた車で入場すると、東京都と神奈川県を何度も行き来してメッセージがうるさいというのは有名な話。 境川の西側から立体駐車場を臨んだ風景。この手前は神奈川県、左裏1/4ほどが東京都になると思われる。 こちらはヨドバシカメラさんの店舗正面。 店舗自体とガチャは東京都町田市。 左手に見えるワゴンはたぶん神奈川県相模原市。 町田市の南東地域は、基本的に国道246号線が県境になるが、これも一筋縄にはいかない。 特につくし野エリアに入ると住宅地のど真ん中を県境が走っているため、隣接する家屋が東京都と神奈川県に分かれたりもする。 こちらは東京都側から神奈川県を向いた場合の一例。 手前の家屋までが東京都町田市で、標識から向こうが神奈川県横浜市。 神奈川県横浜市から東京都を臨む例。 この場所では、標識から先が東京都。 県境を示すものは特に何もない。 東急・田園都市線のすずかけ台駅もまた県境に隣接している。 東京工業大学の大学院がある場所。 駅自体は東京都側なのだが、東工大は神奈川県。 さらに近隣地区は複雑な様相を呈している。 東工大の入口を東京都側から撮影。 この門を一歩入ると、そこは神奈川県横浜市緑区になる。 なお正面に見える国道246号線の橋梁下はコウモリの繁殖地になっており、夏場に飛び交う姿を観察できるが、それでも東京都と横浜市である。 東工大入口の右手の道路。国道246号線から降りてくるための一方通行となっている。 この右側が東京都町田市。 左側は神奈川県横浜市。 東工大入口の左手はさらに複雑になる。 左側が東京都町田市、右側が神奈川県横浜市だが、びっくり寿司さんの看板がある辺りだけ町田市に属している。 この道路で事故を起こすと、管轄が警視庁なのか神奈川県警なのかで、非常に面倒なことになると某経験者から聞いた。 くれぐれも交通安全には気を付けておきたい。 Photo by Sarah Vilardo on Unsplash
外資系での勤務を続けていると、一度や二度どころか、5回くらい転職経験があっても別に珍しい話ではない。 それでもさすがに私のように二桁の大台に乗っている人はそうそういないだろう。 これだけ転職の回数があると、あれこれ様々な出来事に出くわす。 また在職期間も、最長で11年、最短では2か月と様々である。 長期に働かせていただいた所はやはり居心地が良かったし、短い場合は短い理由がある。 特に最短2か月のケースは、入社した瞬間に「ヤバい」と気づいてしまった。 数多い転職の中でも滅多にない経験だったので、記憶が薄れる前に記録しておきたいと思う。 なおこの会社は現在、登記上は残っているものの既に実体はなく、またネットでの検索で私との関係は一切現れないことを確認している旨、予めおことわりしておく。 既に何回かの転職を経験していた私は、前職で酷いパワハラに悩んでいた。 このパワハラの内容を露わにすると社名が簡単に特定できてしまうくらいIT業界内では有名な話なので、これ以上の詳細は別の機会に譲ることにする。 そんなわけで、また何回目かの転職をすることになった。 実はこの時、転職先の企業からは1年ほど声を掛けられていた。 社長や会長を含む経営陣にも何度か会っていたし、仲介してくれていたヘッドハンターからのコンタクトも続いていた。 オファーのあった転職の条件は二択だった。 一つ目は前職の給与と同等だがストックオプションは無い、二つ目は給与が若干下がるがストックオプションを付与するというものである。 ここで欲をかいたのが全ての間違いの始まりだった。 この企業は設立してまだ間もない所謂スタートアップで、未上場だった。 某ミドルウェアに欠けていた機能の追加でデファクト・スタンダードを狙っていた。 ヘッドハンターからは「今すごい勢いで売上があがっているからストックオプションを貰うのがいいよ」と聞かされていた。 また経営陣やインベスターの話も勢いがあるように感じていた。 しかし未上場であるため詳細な財務状況のデータは公表されていなかったし、私自身もそれを求めることを怠ってしまった。 はっきり言って我ながらバカである。 そして給与は下がってもストックオプションを貰うという選択をした。 出社初日、どうも社内の様子がおかしい。 30名ほどの社員の殆どがエンジニアで、営業は3人、マーケティングは社長が兼務していた。 どう見ても歪な構成である。 まず初日のオリエンテーションで業績の話になり、衝撃を受けた。 売上の本当の数字。 月額でわずか数百万円しかない。 しかもパイプラインも殆ど無い。 は? すごい勢いで売上があがっているって話ではなかったのか? この会社は大丈夫なのか? 確認の計算は簡単だ。 資本金に売上を足した金額を、家賃や給与などの固定費の想定額で割るだけでいい。 売上がまったくあがっていないのに社員が30名。 あと半年で資金が完全にショートする。 そもそもこんな事態に陥ったのは、目先の営業に製品戦略が振り回された結果だった。 某ミドルウェアのプラットフォームが複数あり、営業は別々のプラットフォームの案件へすべて対応していた。 そのためエンジニアのリソースは分散し、製品として最低限必要な共通機能の開発が進まない。 その結果、さらに売れなくなるという悪循環。 この時点で特定のプラットフォームに集中すれば打開できる可能性はまだあったと思う。 しかし経営陣はまったく聞く耳を持たなかった。 さらに驚いたのは、株主構成のデータを見た時だ。 件のヘッドハンターは大株主の一人だった。 この財務状況を知り抜いていながら「今すごい勢いで売上があがっている」と言っていたのだ。 やられた。 直ちに脱出するしかない。 こうして転職と同時に、また転職活動を開始するはめになってしまった。 しかしなぜこんな状況の中で、このヘッドハンターは私をここへ送り込もうとしたのだろう。 ヘッドハンティング業界の慣例では、紹介した転職者の勤務が半年以上続けば、その年収の三割くらいが企業から支払われる仕組みになっている。 たとえ傾いている企業でも、数百万円は懐に入ると踏んだのだろう。 即刻呼び出して事情の説明を求めた。 「昼休みにちょっと体育館の裏までこい」というような気分である。 彼は全ての経営状況を知った上で紹介したことを認め、謝罪をしたものの、もはやそれでどうにかなる話ではない。 幸い、付き合いの長かった他のヘッドハンターからの紹介があり、何とか時間を空けずに次の職を見つけることはできた。 しかしこの経験で、転職側と経営戦略の両方の視点から大いに反省をすることになった。 転職側としては、欲に目がくらんではいけないということだ。 未上場のストックオプションなんて、上場しなければ鼻紙にもならない。 事前に財務状況くらい調べておくのは、転職にあたっての最低限のプロセスである。 またIT系の企業戦略として得た教訓は、リソースを分散させないこと、そして特定の他社の技術や製品に依存した製品戦略にしてはいけないことである。 この企業の場合、資金のショートもさることながら、さらに致命的だったのは某ミドルウェア・ベンダー自身がその欠けている機能開発に乗り出したことである。 これで完全にトドメを刺された。 私が予測した半年は何とか持ちこたえ、一年近くは生き延びたようであったが、結局事実上の操業停止状態になってしまった。 世の中に美味しい話はない。 当たり前だが、そういう事だった。 残念ながらこの週末は雨になってしまったが、近所の桜の名所を巡ってみた。 Unfortunately it has been raining this week end, but I visited the sights of cherry blossoms in my neighborhood. 成瀬駅からすぐ、鶴見川支流の恩田川。 Very close to JR Naruse station, along with Onda River. Cherry blossoms on both sides. 成瀬からつくし野へ抜ける街道。 ここも桜のトンネル。 雨なので花見の車で渋滞。 Route from Naruse to Tsukushino. Here is a tunnel of cherry blossoms. Because of raining, traffic jam with cherry-blossom viewing cars. つくし野小学校裏。誰もいない秘密の名所。 Back of Tsukushino elementary school. A secret place no one comes. つくし野セントラルパーク。 大きな桜が数本あり、晴れていればピクニックの家族でにぎわう。 Tskushino Central Park. If it is sunny, it is crowded with families of picnic under the trees. おまけ。自宅の桜もちょうど見ごろ。
And cherry blossoms in my own garden. 今週の東京は、桜が満開。 上野、代々木、目黒川など、都内に桜の名所は多い。 You can enjoy full bloom cherry blossoms in Tokyo this week. We have many famous places for cherry-blossom viewing such as Ueno, Yoyogi and Meguro river. 目黒川、中目黒 Meguro River, Nakameguro しかし何処も人、人、人。 Meanwhile too many people…. 中目黒駅改札 Ticket gate at Nakameguro station しかし都心でも静かに桜を楽しめる場所はある。 例えば中目黒から一駅先の恵比寿駅東口下車、明治通り沿い。 広尾方向に約1kmに渡って桜のトンネルになっている。 この季節、沿道の多くの飲食店はオープンカフェ。 However you can avoid so many people as packed trains and find better places. For example, try the eastern district from Ebisu station, just a few minute train ride from Nakameguro. Meiji dori street is just like a half mile ‘tunnel of cherry blossoms’. In addition, you can enjoy open cafes. そして隣の広尾エリア。
ここの秘密スポットは大使館街にある愛育病院。 たくさんの桜に囲まれているが、ほぼ誰もいない。 当然だが、飲食や宴会は禁止。 And visit Aiiku Hospital in Hiroo area, very close to Embassies of Germany, China, Korea, Finland & Pakistan. It is surrounded with many cherry trees, but no visitors for cherry blossoms. Of course, no drink, no food and no boisterous parties. Just enjoy seeing cherry blossoms. Photo by Thomas Kvistholt on Unsplash 昨今のクラウド・サービスの動向について調査する必要があったため、いろいろな資料を検索している間に、自分自身で作ったプレゼンテーション資料がネット上の残骸として存在していることを発見した。 表紙は2001年5月の日付になっている。 サン・マイクロシステムズ(以下、サン)に勤務していたころに、業界団体「iDCイニシアティブ」のプロモーションの一環として作成したものだ。 「iDCイニシアティブ」とは、2001年10月に設立されたインターネット・データセンターの事業推進団体である。 当時ASCII.jpに掲載された記事「ついに動き始めた国内インターネットデータセンター」にその詳細が残されている。 サン、オラクル、シスコシステムズが中心となって、ハードウェアやソフトウェアのベンダーからデータセンター事業者自身、果てはゼネコンまでおよそ140社がこの団体に集まった。 私自身、「iDCイニシアティブ」の立ち上げに奔走した張本人の一人であり、今回発見した資料や様々なプロモーション活動で言質を流した責任があるので、16年経過した今、資料の内容を検証してみたい。
そして14年後にあたる2015年の市場規模は実に1兆7,585億円に達している(富士キメラ総研調査)。ITの世界で10年以上先の出来事を予測するなんて不可能なことであるが、「ITインフラは自前で持つものでなくなる」という見通しは完全に正しかった。
当時はまだ「クラウド・コンピューティング」なる言葉も無かったころである。 ちなみに「クラウド・コンピューティング」との言葉は、2006年にGoogleのCEOだったエリック・シュミットが初めて使ったとされており、それに5年も先んじていたことになる。 現在、クラウド・コンピューティングは、主にIaaS (Infrastracture as a Service)、PaaS (Platform as a Service)、SaaS (Software as a Service) に分類される。
この階層モデルの図では、Global Carrier / Local Carrier からHardware VendorまでがIaaS、SI / ISVのうちOSやミドルウェア・ベンダーまでがPaaS、ISVの中でアプリケーション・ベンダーまでがSaaSに相当すると思われる。
現在は個人のレベルでも大容量の光回線を利用することが可能になったうえ、専用線に替わってVPNが安価に活用できるので、データセンター事業と関係なくほぼ解消された課題と言える。 むしろ並行して指摘していた「ピークアワー対応の無駄な投資を避ける」ためにデータセンターを利用することが有効だったのが、その後のAWSの躍進から裏付けられる。 また「信頼できる設備と契約」として列挙しているセキュリティや安定稼働、そのための様々な冗長化、そしてSLAなども完全に当たり前のものになってしまった。「柔軟な拡張性」も前述の通りである。 ところで思惑が大きく外れたのが、最後の「ビジネスモデルの展開」に関する考察だ。 ビジネス階層モデルで示したように、インターネット・データセンターには様々なプレイヤーが集まるため、その中から新たな繋がりが生まれビジネスモデルに発展すると考えていたが、実情はそんな生易しい規模のものではなかった。 またサーバ・ベンダーとしてのサンの思惑も、残念ながら外れてしまった。 当時の当事者として本音をぶちまけると、「インターネット・データセンターが普及すれば、サーバを大量に購入してくれる新たなチャネルができる」という点に尽きてしまう。 実際、iDCイニシアティブを立ち上げてから、サンのデータセンターに対するサーバ・ビジネスは好調だった。 しかしその後、データセンター事業者が選択したのは、高価なUNIXマシンではなく、安価でコモディティ化されたx86サーバと、無償で手に入るLAMP (Linux, Apache, MySQL, PHP/Perl/Python) だった。 残念ながらサンはここで出遅れてしまい、大きな投資をつぎ込んで築き上げた市場を失ってしまう。 さらにAmazonやGoogleのようなプラットフォーム業者は、自前で大量のサーバを開発・調達する体制を取るようになり、もはやサーバ・ベンダーにとっての市場ですらなくなってしまったのが現状だ。 16年前のインターネット・データセンターの市場動向に対する読みの95%は正しかったと自負している。 しかし5%外したために、結局今となっては何も手元に残らなかった。 ビジネスの結果は残酷だ。 |