久保田直己 不撤不散
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海外報道に見る共謀罪成立

18/6/2017

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6月15日早朝、「共謀罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が参議院本会議で可決され成立した。
「組織犯罪とは何か」など、法の適用要件が明らかにならないまま、しかもテロとの直接的な関係もない多くの刑法を含むという内容の酷さ。
さらに参議院法務委員会での審議継続や公聴会を省略する一方、緊急事態でもないのに中間報告を行って直ちに本会議決議に持ち込むなど、70年かけて積み上げてきた国会の民主的手続き・運営を悉く踏みにじるものであった。
すべてがデタラメと言わざるを得ない。
こうした刑法の体系を根本から変えるものであるにもかかわらず、日本のメディアは一部を除き、まったく腰が引けたものであった。
​では、対して海外のメディアはどのように報じたのか。共謀罪可決直後の報道を追ってみる。
 
アルジャジーラ Alijazeera
 
見出しでは「オリンピック開催に不可欠との政府の主張に対し、人権侵害の懸念」と伝えている。
さらに日本の反差別団体C.R.A.C.のツイートを引用し、連日数千人が国会前で抗議を繰り広げたことを紹介している。.

#Tokyo youngsters shouting #NoPasaran right now at 23:55 in front of the Diet bldg to protest new conspiracy bill. #Antifa #Public4Future pic.twitter.com/CucmkuPPfZ

— C.R.A.C. (@cracjp) 2017年6月14日

​
​記事中では、共謀罪の権力による濫用や、表現の自由に対する憲法違反の攻撃との批判と併せ、著作権違反や森林の違法伐採まで含まれる法令のいい加減さが指摘されている。
後半は、国連人権理事会特別報告者のケナタッチ氏の懸念が大きなスペースを取って引用されている。

 
ブルームバーグ  Bloomberg
 
見出しから「安倍、監視能力を増加する法案を推進」と名指しである。
本文でも「共謀罪は安倍の長年の野望である平和憲法の変更に道を開いた」と、政権の本質をばっさりと喝破。
そして後半は、やはり国連の懸念について大きく紹介している。

 
ドイチェ・ヴェレ  Deutsche Welle
 
こちらの見出しも「日本の共謀罪は民主主義に手錠をかける」と、法令の真の目的を突いている。
そして、抗議の市民の大きな写真。
​また安倍の「オリンピックまで三年しかない」との発言を引用して、政府がオリンピック開催を政治利用していることに言及。
さらに、共謀罪によって277もの犯罪を「共謀」として起訴する権力を捜査当局に与える一方、法令はテロ対策と直接関係する内容がほとんどなく、キノコ狩り、切手偽造、デモでの座り込み、無許可の競輪などを含むデタラメなものであることを暴いている。
また共謀罪は、安倍の「連合軍に押し付けられた」とする憲法の書き直し策動に直結していることを明確に指摘し、さらに日弁連や国連からの批判も大きく取り上げている。

 
ガーディアン  Guardian
 
見出しでは、「市民の自由に対する懸念に反し、野蛮な反テロ法成立」と表記。まさに野蛮としか言いようがない。
ガーディアンも、安倍政権がオリンピックを言い訳にしているものの、法令にはテロや組織犯罪とまったく関係ないものが多数含まれており、マンション建設反対の座り込みや、音楽のコピーなども対象となると指摘している。
またケナタッチ氏の懸念に対し「極端にバランスを欠いている」とする安倍政権の不誠実な対応も紹介されている。

 
アイリッシュ・タイムス  Irish Times
 
アイリッシュ・タイムスは、日本について「殺人は10万人に0.3で世界でも最も安全な国であり、大きなテロは20年以上発生していない」のに、なぜ共謀罪が今必要なのか疑問を呈しており、また日本政府がさっそくマンチェスターのテロ事件を口実としていると批判している。
記事の後半はケナタッチ氏の懸念と併せ、デヴィッド・キー氏による「メディアへの脅威の懸念」を紹介している。

 
ストレート・タイムス  Strait Times
 
管理社会の先鋒であるシンガポールのエスタブリッシュ・メディアでさえ、抗議の市民の写真と併せ、共謀罪が著作権違反や森林の違法伐採などテロ対策と無関係なものを多数含んでいることを報じている。

 
ワシントン・ポスト  Washington Post
 
ワシントン・ポストの見出しも「懸念の高い反共謀法案を首相が先導」と、いきなり名指しである。
記事本文では共謀罪が改憲の動きと連動していることに触れ、中野晃一氏の「安倍の傲慢さと弱さを示すものだ」との発言を引用するとともに、可決へ向けての拙速な動きは籠池や加計の不正問題から関心をそらすものと断じている。
 
 
さて、国会での審議の中継すらまともに行わず、メディアとしての役割を放棄したNHKが、共謀罪成立当日の15日夕方、共謀罪で何が変わるのか詳細に解説する報道を行った。日本経済新聞も同様である。なぜ審議中にこうした解説を行わなかったのか憤るよりも、むしろ「共謀罪が成立してこうなったんだから、お前ら黙っていろ」との恫喝としか思えない。
しかし、こんなことで委縮し沈黙するわけにはいかない。既に私たちは海外報道に頼らざるを得ないところまで来ているのだ。そして私たちの未来は、まともな民主主義国家の運営を取り戻すことにしかないのである。
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