Photo by Caleb Woods on Unsplash あまり褒められた話題ではないが、誰も書かないと思うので敢えて書く。 ブートレグの流通の歴史。 いわゆる海賊版である。 著作権など権利者の権利を一切無視して製造・流通される非合法な商品。 古くからのロック・ファンの間では「ブート」と呼ばれることも多い。 PCの違法コピーとは異なり、ブートレグのコンテンツは正規盤を不法コピーしたものより、ライブ会場で勝手に録音したもの、あるいは正規盤に収録されなかったアウトテイクを集めたものが殆どである。 アーティスト側からすれば権利から本来得られるべき収益が横取りされるだけではない。 ライブでの演奏ミスが修正されないまま拡散されるし、アウトテイクも作品として世に出すには十分なクオリティではないと判断したものである。 堪ったものではない。 しかし少しでもレアな音源に触れたいというファンの心理を突いたものではあるため、闇商品として現在も存在し続けている。 70年代はアナログの時代だったので、ブートレグもLPの形態を取っていた。 正規盤のように凝ったデザインを施したジャケットのものもあれば、白いボール紙にモノクロのチラシのような印刷物を貼り付けただけのものもあった。 ジャケットと音質は必ずしもシンクロしておらず、ジャケットは凝っているのに最悪の音質だったり、ボール紙のジャケットでも「ブートの名盤」と呼ばれるようなものもあった。 また当時、東京のブートレグ専門店は西新宿に集中していた。しかし多摩地区でも主要な駅周辺には数店舗存在していたので、恐らく全国的にブートレグ取り扱い店があったのだろう。 そんな統計は残っていないだろうが。 80年代にはいりアナログLPがCDに駆逐されると、ブートもまたCDに替わっていった。 アナログ時代に知られていたLed Zeppelinの ‘Blueberry Hill’、Jimi Hendrixの ’Paper Airplanes’ や ‘Diamonds in the Dust’ などが正規盤並みの装丁で流通し始めたのもこの頃である。 ブートレグ専門店もCD取り扱いへ変わっていった。 90年代には、プリンスの未発表音源 ‘Black Album’ がまるごとブートレグで流通するという事件が発生した。 ミックスダウン作業も完了した所謂「完パケ」状態であったため、音質は完璧だった。 その後プリンスは、このブートレグ対策のために ‘Black Album’ を正規盤としてリリースすることになる。 正規盤はただ真っ黒なジャケットなのに、ブートレグのほうがきちんとデザインされているのは、いやはや何ともである。 90年代半ばになるとインターネットの普及に合わせて、世界規模でのブートレグの闇流通網が構築されていった。 従来のブートレグ流通が「ビジネス」であったのに対し、こちらはマニアの間での音源交換である。 インターネットの普及といっても、まだSNSが開発される以前のことなので、主要な連絡手段はメーリングリストだった。 例えば、Jimi Hendrixに関するメーリングリストは、アメリカとユーゴスラビアに在住する人物たちによって運営されていた。 メンバーの中でブート音源が発掘されると入手希望者を募り、カセットテープで配布される仕組みである。 しかしながらカセットの孫コピー、曾孫コピーなので、とてもまともに聴けるような音質の代物ではない。 なおこのグループは、ユーゴスラビア内戦勃発後、NATOによるベオグラード空爆を契機にして、音楽とはまったく別の次元の諍いで空中分解し、消滅してしまった。 ところで、アーティスト側もブートレグに対し、決して静観していたわけではない。
Frank Zappaは、よく知られたブートレグの装丁や音源をそのままコピーしたものを「ビート・ザ・ブート」シリーズという正規盤にしてしまった。 先のJimi Hendrixについても、遺族が立ち上げた会社 Experience Hendrix が、「正式ブート」シリーズとしてライブ音源をいくつも販売開始している。 ライブ会場で音源のCDの予約を受け付け、後日販売するという手段も考案された。 Peter Gabrielは2014年のヨーロッパ・ツアー全16か所でこれを実施しており、すべての公演を収録した16枚ボックス・セットまでリリースした。 先日来日しビルボードで公演したStick Menも、来場者限定で当日のライブCDの予約受付をしている。 さてここまで書いてきたブートレグは恐らく海外で製造され輸入したものと思われるが、最近はどうやら日本公演専門のブート業者がいるらしい。 宣伝コピーにある「この1日を完全再現」とか「サウンドボード・レベルのクオリティ」なんていう煽り文句は昔からあるものなので、まあそんなもんだろうとは思う。 しかし「イヤーモニター・ソースによるライン音源」って、これワイヤレス・モニター用の電波を勝手に受信・録音したってことでしょう。 いくら何でも、さすがにこれはやり過ぎではないか。
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英語習得について何か書こうと画策していたところ、日本語から英語への変換の難しさを示す絶好のサンプルが飛び込んできた。 大阪・森友学園の籠池理事長による、日本外国特派員協会での記者会見の件である。 この一連の大疑獄について改めてここで詳述はしないが、極めて日本的な事件であり、また記者会見で飛び交った数々の言葉もこの国特有のものであった。 記者会見用に用意された文章は主語と述語が明確で、構文としては英語にし易い体裁だったが、使われていた単語が、ベテランによる逐次通訳ですら途中で何回も停めざるを得ないほど苦労を要するレベルのものであった。 翻訳が比較的スムーズだったものとしては
「事務方」については、全体のコンテクストを掴んでの翻訳だ。 また英語表現は失念してしまったが、「断腸の思い」なる日本語も、良くこなれた英語へ転換されたことに驚愕した記憶がある。 一方、どうもすっきりしなかったのは、籠池氏の口から何度も発せられた「お国」の訳だ。 英語では即座に’the government’ とされた。 確かに「お国」の中核は政府なのだろうが、この日本語にまとわりつく語感は、何とも得体のしれないジメッとしたものである。 単純に一つ、二つの単語で代替できるようなものではなかろう。 そして極め付けは「忖度」だ。 広辞苑によると「他人の心中をおしはかること。推察。」とのことだが、もう少し書き加えるとすれば「頼まれるに先んじて、自ら空気を読み、上の立場の者に媚びへつらった態度や行動にでること」くらいの感じであろうか。 この「忖度」が、日本外国特派員協会での記者会見でどのように英訳されたかは、The Huffington Post紙の記事に詳しい。 私がストリーミングで聴いた時には ‘between the lines’ と訳されていたが、「行間を読む」では「阿り」「媚びへつらい」の感触が出ない。 そもそも「忖度」なんて事態が英語圏では考えられない故に、英訳が極めて困難なのである。 もはやSushiやTenpura同様に、Sontakuを英語化するしかないのではないか。 ところで森友学園の件からは離れるが、英語から日本語への翻訳も一筋縄にはいかない場合がある。 2006年に制作された映画「ナイトミュージアム」を観ていた時に気が付いたのだが、主人公の警備員ラリーの「南部にはオールマン・ブラザースがいるじゃないか」というセリフが、日本語の字幕では「南部には素晴らしいバンドがいるじゃないか」と表記されていたのである。 オールマン・ブラザースと言えば70年代に人気を博したバンドだが、2006年時点の日本で翻訳の仕事をされた方が、オールマン・ブラザースを知っていたかどうかは分からない。 ご存知なくて調べた結果、「素晴らしいバンド」と意訳したのかもしれない。 あるいは直訳しても日本の観客には何のことだか通じないからという深い配慮の故かもしれない。 いずれにせよ英語のヒアリング能力というより、米国では当たり前に通じるネタに反応できるかという話である。 そして映画やテレビの英語はこんなものが満載だ。 森友の件からかなり脱線してしまったが、結局のところ日本語の英訳も、英語の和訳も、単純な言葉の置き換えでは済まないということだ。 言葉が元々持つ意味や文化的背景を理解したうえで一旦解体し、瞬時に他国語へ再構築する作業が必要になる。 よくある外国語を「聞き流すだけで聞き取れるようになる」なんてことはあり得ない。 Photo by Lewis Ngugi on Unsplash Javaは1990年代にサン・マイクロシステムズ(以下サン)が開発、公開したプログラミング言語である。 ちょうどそのタイミングで1996年、私はサンに転職した。 担当した職務は、Javaとほぼ同時に市場へ投入された大型UNIXサーバで小売業界での汎用機市場を奪い取ること、そしてクライアント側を席巻していたマイクロソフトの牙城をJavaで切り崩すことだった。 当時Javaの最大の売り文句は「コードを書き直したり、コンパイルをし直す必要がなく、全てのプラットフォームで稼働する」という点にあった。 折しも小売業界独特のクライアントであるPOS端末は、ほぼ100%、マイクロソフトのWindowsが搭載されており、独占市場であるが故、POS一台あたりに占めるWindowsのコストは結構な高さの比率だった。 そこをJavaとLinuxで置き換えればかなりのコスト・セービングになるはずだと考えたのである。 また、POSの周辺装置であるスキャナーやドロワーなどのデバイス・ドライバーや、アプリケーション・ソフトを開発するために標準化されたAPIが「OLE POS」として提供されていた。 これらはあくまでもWindowsをプラットフォームとすることに限定されていたため、Windowsを切り崩すためのJavaの標準化が必要だった。 サン入社翌年の1997年、アメリカでJavaPOS committeeが組織された。 メンバーにはサンの他、POSメーカーとしてIBMやNCR、ユーザーとしてシアーズやホーム・デポなどが参加し、会合はアトランタのNCR、ラーレーのIBM、パロ・アルトのサンのオフィスで持ち回りで行われた。 アメリカでのJavaPOS committee発足からおよそ半年後、日本でもJavaPOS研究会を設立することになり、まず最初のメンバーとして、アメリカで参加いただいていたIBMやNCRなどにお声がけした。 しかしなにしろ日本のサーバ市場では完全に競合相手である。 よく話を聞いていただいたものだし、参加をいただけたものだ。 次に狙ったのは国産のPOSベンダーと、ユーザーである小売業のシステム部門だった。 小売業の方々の参加は「ユーザーの声を反映する」という建前のために必要だったし、「こういう方々がコミットしてるんですよ」と世の中に示すという営業的な本音のうえでさらに必要だった。 こちらも百貨店、専門店、コンビニエンスストアの各業態から代表的な企業に快く参加いただくことができた。 当時の関係者の方々には深く感謝するしかない。 さてここから日米で歩調を併せて、各周辺機器ごとのAPI策定と標準化ドキュメント作成の作業が始まった。 全部で20あった周辺機器をそれぞれ各POSベンダーに担当を割り振らせていただき、700ページを超える「Programming Guide」として形になったのは、POS業界を挙げての努力の賜物である。 蛇足ながら私自身も序章や用語集などを執筆させていただいた。 なお現在でもWebサイトが残っており、2001年の日本語最終版v1.5がダウンロードできるようになっている。 標準化が策定された次の作業は、実際の製品化である。 サン自身はPOSを製造しているわけではないため、POSベンダーに製造してもらい、それを小売業に導入してもらうための「仕掛け」が必要だった。 そこで考えたのが、毎年3月に開催される小売業向けのIT展示会「リテールテック」で実務を兼ねたデモを行う作戦である。 敢えて展示ブースではなく、飲食の物販を行っている某ファーストフードチェーンにお願いし、メンバーの各社が開発したJavaPOSマシンを使っていただいた。 これは思いのほか評判がよかった。 この後のJavaPOSであるが、全米小売業協会(NRF)が主体となって、OLE POSとJavaPOSの上位レイヤーに当たるUnifiedPOSが策定されることになった。 言い換えると、UnifiedPOSで策定された標準をWindowsにマッピングしたものがOLE POS、JavaにマッピングするとJavaPOSという位置づけになった。 この直後の2001年に私はサンを退職したので、JavaPOSに直接関わったのはここまでである。 サンを退職した2001年以降、ITのプラットフォームは激変した。
多くのエンタープライズ・アプリケーションは汎用機からUNIXサーバへ移行したが、それが今度はx86サーバ(いわゆるPCサーバ)とLinuxの組み合わせに雪崩を打って移り始めた。 残念ながらサンはUNIXによる成功体験が大きすぎたためであろう、Linux市場への移行に後れを取った。 まさに「イノベーションのジレンマ」のサンプルのような事態だ。 結局2009年、サンはオラクルに買収されることになってしまった。 それ以来、Javaのパテントもオラクルである。 POSもまた大きく変化を遂げた。 ちょうどPC市場がスマホやタブレットの直撃を受けたように、PCをベースにしてすべての周辺機器が一塊になったターミナル型のPOSマシンは、タブレット型に置き換えられていく。 タブレットと周辺機器は直接接続されるのではなく、ネットワークを介して通信する形態になったため、標準化もまたUnifiedPOSに加えてWeb Service POSが制定される。 この流れは今後、IoTの一形態になっていくのだろう。 こうした中でPOSベンダーの顔ぶれも変わってしまった。 2012年にはIBMがPOS事業を東芝テックに売却して事業撤退。 またDSS研究所の調査によると、平成27年度のPOSベンダー別シェアは、東芝テック、NECプラットフォームズ、富士通フロンテックの3社で80%近くを占め、続くシャープと寺岡精工以外のベンダーはほぼ壊滅してしまった状態である。 そしてJavaは組み込み機器からサーバに至るまで幅広く利用されるようになったものの、近年頻繁に脆弱性が発見されるようになってしまい、ブラウザのプラグインからの削除を推奨されるような状況である。 投入初期に先頭に立って旗振り役を務めた立場としては返す返すも残念だ。 Photo by Alesia Kazantceva on Unsplash
外資系勤務経験の無い方々にとって、外資系企業の日本法人で当たり前のように使われている言葉が、理解できないケースが多々あるのではないかと思われる。そもそも組織構造が日本企業と根本的に異なるため、言葉の本当の意味を押さえずに単純な和訳だけで理解したつもりでいると、足元をすくわれることになってしまう。 ここでは、初めて外資系に転職する方や、外資系クライアントを担当することになった代理店営業の方などを想定して、解説してみたい。(外資系の中でもIT業界に特化していることはご容赦ください。) なお表記は、英略語(英フル カタカナ) とする。 Admin (Administrator アドミ) 主に総務系の人たちだが、営業を内勤でサポートするスタッフも含まれる。 Americas(アメリカズ) なぜアメリカなのに複数形なのか一瞬不可思議に見えるが、北米と南米を合わせた南北米大陸地区を指すため。 AP/APAC(Asia Pacific エーピー/エーパック) アジア太平洋地域のこと。日本はビジネスの大きさによって、APに含まれたり含まれなかったりする。APに含まれる場合は、日本とHQとの間にAPが入り三層構造になるので、最終的な承認者がいったい誰なのか混乱する事態も発生する。なお何故かAPのオフィスが置かれる場所はシンガポールや香港の場合が多く、東京のケースは稀である。 Base(ベース) 固定された基本給のこと。これに変動するIncentiveが乗っかって実質的な年収になる。 Budget(バジェット) 辞書的に訳すと「予算」ということになるが、営業が達成すべき目標値として使われる場合と、マーケティング部門などが費用として使用できる金額というまったく異なった意味合いで使われるので要注意。 Chapter 11(チャプターイレブン) 米連邦倒産法第11章。米系の企業で最も聞きたくない言葉のひとつ。いわゆる破産である。90年代のネットバブルの時代に飛び交っていた。 Contractor(コントラクター) 契約社員や派遣社員を指す。正社員としてそのままスカウトされることもある。 Country Manager(カントリーマネージャ) 日本法人の代表。しかし日本の会社法の登記による代表取締役社長と異なるケースも多い。実質的には「日本営業所の営業所長」といったところか。 CxO(シーエックスオー) いわゆるCEOとかCIOとか、各部門の長。CEOと言えども、株主に承認された「経営のプロ」という職制のひとつでもあるので、業績が悪ければ簡単に首が飛ぶ。 Director(ディレクター) ヒエラルキーの中では、Managerの上、VPの下に当たる。ただし日本企業の事業部長クラスであったり課長クラスであったりと、本当にどこまで「偉い」のか社外から判断するのが難しい。 Dotted Line(ドッテドライン) 外資系で働くことに慣れるまでの最大の謎の一つ。日本法人の中での直属の上司は「Solid Line」になる。直訳すれば「直線」。しかし営業の責任者であればHQの営業役員に報告義務があり、マーケティングならHQのマーケティング役員と常に歩調を合わせる必要がある。これがDotted Lineに当たる。こちらは「点線」。しかもAPが間に入るとDotted Lineが二本になって、いったいどっちが太いのか訳がわからなくなる。Dotted LineとSolid Lineの対応を間違えるととんだ地雷と化す、日本法人の社員にとっての鬼門。 EMEA(Europe, Middle East & Africa エミア) ヨーロッパ、中東、アフリカを合わせた地域。なおインドから東がAP/APAC、イランから西がEMEAになるケースが殆ど。 Evangelist(エバンジェリスト) 直訳すると「伝道師」。これもよく判らない職務であるが、新しい技術を世の中に広めていくために、セミナーで講演したり、メディアの取材を受けたりする人。 EVP(Executive Vice President イーブイピー) Vice Presidentはそのまま日本語にすると「副社長」ということになってしまうが、日本企業の部長くらいの場合が多い。このため規模の大きい米系企業ではVPが百人単位でいるような、VPのインフレ状態になる。さらにVPを階層化するために設けられた職位がEVPである。企業によってはさらにその上にSenior Executive Vice Presidentがいたりして、これも本当に誰が「偉い」のか、よく見極める必要がある。 Freeze(フリーズ) PCが固まってしまうことをフリーズというが、これは採用凍結のこと。業績が悪化すると発動される。転職で内定をもらい「さて来月から新天地だ」などという時にフリーズ発動となると悲劇である。フリーズが解除されるまで3か月くらい待たされたり、最悪の場合には内定取り消しになる事態もある。日本法人側も人が足りないので採用するわけだから、いろいろと頑張ってはくれるが、最終的にはHQとの力関係で決まる。 FY(Fiscal Year エフワイ) 文字通り会計年度。殆どの日本企業は4月1日が会計年度のスタートになるが、外資ではカレンダー通り1月1日から開始になる場合が多い。これを「FYとCY (Calendar Year)が同じ」という。なお何故か5月1日とか8月1日とか、中途半端な時期にFYが始まる企業もある。 Head Count(Head Count ヘッドカウント) 社員数のこと。例えば「来期の日本のヘッドカウントは30人」という場合、全社員数は30人までしか承認されない。数字を上げるために営業へヘッドカウントを回してSEが削られるような事態になると悲惨である。 HQ(Headquarters ヘッドクォーター) ご本社様。 HR (Human Resource エッチアール) 人事部門のこと。採用も評価も業務責任者が行うライン人事が一般的なので、規模の小さな日本法人ではHRをおかず、給与計算などをアウトソーシングするケースが多い。 Incentive(インセンティブ) 固定給以外のいわゆるボーナスだが、Incentiveは業績に連動する。さらに個人の業績と、日本法人やHQの売上の組み合わせになることもあり、モチベーションをアップさせるためのIncentiveの設定・運用はなかなか難しい。 Inside Sales(インサイドセールス) 内勤営業。中小規模の顧客に電話やメールで対応する。 IPO(Initial Public Offering アイピーオー) 新規公開株。「スタートアップでIPOできれば、ストックオプションがどかんと上がって人生あがり。」そんな夢を見る時代もありました。 Mar Com(Marketing Communication マーコム) マーケティング部門の中で、イベントや展示会を企画したり、ブローシャを作ったり、年度末に予算があまったらノベルティを作ったり、なにかと楽しい仕事。 Offer Letter(オファーレター) 転職の際の内定書。オファーレターにサインをすると、双方で採用の意思が確定する。オファーレターにサインしたら絶対に行かなければならないと言われているが、実はそんなこともない。またオファーレターが出た直後にフリーズ発動という可能性もある。 Partner(パートナー) 日本で直販のルートを持たない外資系企業にとって、非常に大切な販売パートナーを指すことが多い。欧米でのビジネスモデルが直販主流である場合、むしろHQ側に日本の事情を理解させることが一苦労になる。 欧米の商流が ベンダー → ユーザー と単純なのに比べて、 ベンダー → 一次販売パートナー → 二次販売パートナー → SIer → ユーザー なんていうケースが当たり前のように存在する日本の状況に対して、HQ側での顧客管理システムが対応できない事態も生じる。クレームが生じた場合も「いったいどこの誰が言っているのか」が謎となるが、実はユーザーは全然怒ってなかったなんていうこともある。この商流の長さはそうそう簡単に是正できるものではない。 PR(Public Relation ピーアール) 広報部門。広報はマーケティングの傘下だったり、独立していたり、企業によって様々。 Product Marketing(プロダクトマーケティング) マーケティングの教科書ではプロダクトマーケティングとプロダクトマネジメントは別の機能とされているが、外資系IT企業の日本法人で、組織として二つが分離しているのを観たことがない。要するにプロダクトマーケティングの名を持つ部隊が、新製品ラウンチの準備や価格政策から、プリセールスやサポートなどの営業活動、果ては日本法人内のIT部門まで全部背負い込んでいるのが実情。 Quarter(クオーター) 四半期。第一四半期や第二四半期を1Q、2Qと呼ぶ。四半期ごとに決算になるため、営業は四半期ごとに目標を設定されリセットされる状況に耐えられるタフさが求められる。マーケティングなどコストを使う部門も今四半期に余ったからといって翌四半期に持ち越すことは基本的に認められない。四半期のコスト実績がプランを超えたら当然怒られるし、余らせても怒られる。帳尻を合わせるために、絶妙な職人芸のスキルが必要な世界。 Solid Line(ソリッドライン) Dotted Line参照。 Stock Option(ストックオプション) そんな時代もありました。 SVP(Senior Vice President エスブイピー) EVP参照。 Tele Conf(Tele Conference テレカン) 電話会議のこと。最近では国際電話の料金を節約するために、Skypeなどを活用する企業も多い。シリコンバレー系の企業の場合、現地の午後にテレカンが設定されると、日本時間の朝3時とかになってしまい、まったく睡眠がとれないことにもなる。こうした事態を避けるため、HQ側に日本の事情を良く理解しておいてもらうリレーション作りも重要。 Time Zone(タイムゾーン) 時間帯。日本より2時間早いメルボルンから、2時間遅いバンコクくらいまでを、だいたい同じタイムゾーンとして、テレカンなどが設定される。 VP(Vice President ブイピー) EVP参照。 |