米ミネアポリスでアフリカ系男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に虐殺された事件を受けて、全米で抗議活動が広がっている。
音楽業界でもこの事件が深刻に受け止められ、ツイッターやインスタグラムなどのSNSでハッシュタグ #TheShowMustBePaused (ショーは中断すべきだ)が使われるようになった。 さらにこのハッシュタグを使って、6月2日を音楽業界全体としての抗議のストライキの日とすべく呼びかけが開始され、瞬く間に大手レーベルから個々のミュージシャンまでが参加の意志を表明する状況になった。 ここでは配信プラットフォーム、レーベル、楽器メーカー、音楽誌、そしてミュージシャンらの #TheShowMustBePaused の意思表明をできる限り集め、記録として残しておきたい。 またこれらは「音楽に政治を持ち込むな」などと平然と幼稚な戯言を垂れ流す、この国の間抜け共へのカウンターにもなるであろう。
配信プラットフォーム
iTune、Apple Music、Spotifyなどほぼ全ての音楽配信プラットフォームが通常の配信を停止し、トップページを黒くしたうえで、黒人音楽や抵抗のための曲をプレイリストを流し続けた。
レーベル
著名なレーベルもほぼ全てが抗議を支持する声明を出している。
— Universal Music Group (@UMG) June 1, 2020
— Sony Music (@sonymusic) May 31, 2020
— Def Jam Recordings (@defjam) May 31, 2020
音楽誌
ロック系の音楽誌も全面的に抗議を支持する行動に入った。 通常はラップやソウルなどとは縁の薄い Kerrang! や LOUDWIRE といったメタル系メディアによる強いメッセージが印象的である。 特に LOUDWIRE は数時間おきに一日中、抗議のツイートを流し続けた。
— Loudwire (@Loudwire) June 2, 2020
— Loudwire (@Loudwire) June 2, 2020
— UltimateClassicRock (@UltClassicRock) June 2, 2020
楽器メーカー
ギターの二大メーカー、フェンダーとギブソンも抗議に参加した。
— Fender (@Fender) June 1, 2020
ミュージシャン
ロック・ミュージシャンたちも、ジャンルを問わず幅広い顔ぶれの面々が抗議のメッセージを表明した。 ローリング・ストーンズは公式ツイッター・アカウントに加え、ミック、キース、ロンの三人が抗議のツイートを出している。
— Mick Jagger (@MickJagger) June 1, 2020
ブラック・サバスも、オジー・オズボーンとギザー・バトラーが参加した。
— BlackSabbath (@BlackSabbath) June 2, 2020 — Ozzy Osbourne (@OzzyOsbourne) June 2, 2020 — Geezer Butler (@geezerbutler) June 2, 2020
キッスは、公式アカウントのほか、ポール・スタンレーとジーン・シモンズが抗議を表明している。
— KISS (@kiss) June 2, 2020
ホワイトスネークとデヴィッド・カヴァーデイルの抗議は同一のもの。
ビートルズ関係では、公式アカウント、ジョン・レノン、オノ・ヨーコから抗議が発信されている。
以下、多くのロック・ミュージシャンたちの抗議のツイートをアルファベット順で転載しておく。
日本からは Yoshiki の参加が確認できる。 ピーター・ガブリエルやラッシュのように従来から差別問題に声を上げてきた人たちに加え、差別発言で批判された過去のあるロッド・スチュワートや、アパルトヘイト体制での南アフリカのサン・シティに出演して非難されたザ・フーまで、今回はこの抗議に参加しているのが興味深い。 とにかく、ここに名を連ねている彼らに向かって「音楽に政治を持ち込むな」のような幼稚なことを言えば、徹底的に軽蔑されることは間違いない。
— Bryan Adams (@bryanadams) June 2, 2020
— Cheap Trick (@cheaptrick) June 2, 2020
— Duran Duran (@duranduran) June 2, 2020
— Joan Jett (@joanjett) June 2, 2020
— Red Hot ChiliPeppers (@ChiliPeppers) June 2, 2020
— Rick Springfield (@rickspringfield) June 2, 2020
— Sir Rod Stewart (@rodstewart) June 2, 2020
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Photo by Nicole Baster on Unsplash
5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が無抵抗のアフリカ系男性の首に肘を押し当てて殺害するという事件が発生した。
その現場の動画がSNSで拡散されることによって多くの人々が怒り、アメリカ中に抗議行動が広がっている。 NBCによると、犯行に及んだ警官デレク・ショーヴィンは過去にも、少なくとも10件以上ものヘイト・クライムに関与していたとのことだ。 この残虐なヘイト・クライムに対して、アメリカの多くのミュージシャンたちが抗議の声を上げた。 例えば自らもアフリカ系市民であるレニー・クラヴィッツ。
何人死んだか知ってるか?
そしてリヴィング・カラーのツイートも同じ画像を使用している。
この数年モータウンのカバーに注力しているポール・スタンレーは、ツイッター140文字の制限を超える声明を出すため、画像を使うという手段を執った。
露骨な偏見や人種的プロファイリングの最近の動画や事件、そしてどう見ても黒人男性に対する冷血な殺人としか言いようがないことには、げっそりする。
レイジ・アゲインスト・ザ・マシンのトム・モレロは、逮捕された抗議者を運ぶことを拒否したバス運転手に関するツイートに、「これこそ連帯だ」とのコメントを付けてリツイートした。
またマドンナは、トランプを名指しで非難している。
ジョージ・フロイド虐殺に抗議して、アメリカ中でデモが起きている。
若手も続々と声をあげている。アダム・ランバートは警察機構を強く批判。
法執行機関のトレーニング、規約、心理スクリーニングの全面的な改革を要求する必要がある。警察官として働いているいじめ野郎が多すぎる。我々は行動違反に対する説明責任と法的手段を要求するべきだ。
テイラー・スウィフトは、この事件に対するトランプの政治姿勢を激しく罵倒し、今年の大統領選挙での落選運動を宣言している。
大統領職の間中ずっと、白人優越主義や人種差別をさんざん煽っておきながら、暴力で脅す前に道徳的に優れているふりをする神経くらいないのか。略奪が起きたら銃撃を始める?11月の選挙で落選させてやる。
ビリー・アイリッシュに至っては、インスタグラム上でトランプに対し「お前、本気か?クソ野郎!」と面罵した。
さて、ここで思い出しておきたいのは、日本でも先般、検察官の定年延長を可能にする法案への抗議に、きゃりーぱみゅぱみゅ等をはじめ、多くの芸能人が参加したことだ。
とは言え、ツイッター上で「#検察庁法改正案に抗議します」とのタグを使用する程度のことであり、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュに比べれば極めて穏健なものである。 しかし、これくらいのことに対してすら、一部の幼稚な連中は「芸能人は政治に口を出すな」と喚きたてた。 こうした連中に対するきゃりーぱみゅぱみゅの回答が、こちらのラップだ。
でも私はアニメのキャラじゃない
政治を忌避し、正義を嘲笑する幼稚な日本人はいい加減目を覚ましたほうがよい。
Photo by Matthew T Rader on Unsplash
5月9日にリトル・リチャードが87才で亡くなったことを Rolling Stone誌が伝えた。
リトル・リチャードは、1950年代から活躍したロックの創設者のひとりである。 数々のヒット曲が多くのミュージシャンたちにカバーされてきたが、ハードロックに与えた影響もまた大きかった。 ここではハードロック・ミュージシャンによるリトル・リチャードのカバーを振り返ってみたい。
Long Tall Sally
ビートルズによるカバーが余りにも有名で、ビートルズ解散後もポール・マッカートニーはライブで演奏を続けている。
ジョニー・ウィンターはライブの名盤で知られる "Johnny Winter And" にて、ロックンロール・メドレーで収録。
ジェリー・リー・ルイスの "Great Balls of Fire" に続けて、激しい演奏が展開されている。
レッド・ツェッペリンも初期のライブで演奏していた。
1970年1月9日のロイヤル・アルバート・ホールでは、アンコールが4回も行われたが、そのトップを飾っている。
1971年のカクタスのライブでは、ミドルテンポで重厚なハードロックとなっており、まるで別の曲のようだ。
スコーピオンズも名盤 "Tokyo Tapes" で、日本でのライブを残してくれた。
Lucille
ディープ・パープルが70年代にライブで取り上げていたのが知られている。 1972年の来日の際にも演奏されたが、"Live in Japan" には収録されておらず、後にリマスターとして再発された際に公式に公開された。 改めて聴いてみるとかなり粗い演奏なので、オリジナル盤では収録を見合されたのであろう。
またクイーンも1977年のロンドンでのライブ映像を残している。
Tutti Frutti
さらにクイーンは1986年のウェンブレーでもリトル・リチャードをカバーしていた。
まったく面影が違うが、MC5は独特のガレージ・サウンドでライブ演奏している。
こうして整理してみると、カバーしている側にも鬼籍に入っている人たちが多かった。
合掌。
Photo by Markus Spiske on Unsplash
「コロナウイルスに関するロック・ミュージシャン達のメッセージ」との記事を書いたのはほんの2週間前だったが、それから瞬く間にミュージシャンの間でも感染が蔓延してしまった。
ライブ活動ができず、CDの売上も急減する中、経済的な損失だけではなく、いよいよ健康や命そのものが直撃を受ける事態になっている。 状況は日々刻刻と急激に変化しているので、ここではその記録の整理に努めたいと思う。 なお繰り返しになるが、私自身は医学的知識を持ち合わせていないことを予めお断りしておく。 (最終更新 2020年5月5日 11:30)
3月29日 アラン・メリル死去
ジョーン・ジェットのヒット曲 "I Love Rock 'n' Roll" の制作者で知られているアラン・メリルが71才で亡くなった。 娘のローラ・メリルがFacebookで詳細を報告している。
3月31日 ゲイリー・ホルト陽性
メタル専門誌 Blabbermouth によると、エクソダスやスレイヤーで知られるギタリストのゲイリー・ホルトの陽性が判明した。 ゲイリーは3月中旬から体調不良を訴えており、検査の11日後に結果が出た。 なおテスタメントやデス・エンジェルとヨーロッパ・ツアーを行っていたため、デス・エンジェルのドラマーのウィル・キャロルや、テスタメントのヴォーカリストのチャック・ビリーも感染したことが判明している。 特に症状が重いウィル・キャロルは集中治療室へ搬送された。
4月1日 アダム・シュレシンジャー死去
ファウンテンズ・オブ・ウェインのギタリストのアダム・シュレシンジャーが、52才の若さで亡くなった。 ガーディアン紙によると、3月31日にニューヨークで病院に搬送され、翌日に息を引き取ったとのこと。
4月3日 クリストファー・クロス陽性
クリストファー・クロスが陽性と判定されたことを、自身のFacebookにて公表した。 幸い重篤にはなっていないもよう。
4月4日 サラ・バレリス全快
アメリカのシンガー・ソングライターであるサラ・バレリスが、感染から完全に回復したことを明らかにした。
4月4日 マリアンヌ・フェイスフル陽性
ビルボード誌によると、マリアンヌ・フェイスが陽性と診断されロンドンの病院へ搬送された。 マネージャーのフランソワ・ラバードは「容態は安定している」と話している。 またマリアンヌの友人であるペニー・アーケイドがFacebookで詳細を伝えている。 DEAR FRIENDS OF MINE after giving some thought to this, I have decided to share with you that I tested positive with the Corona Virus almost three weeks ago.
4月9日 マドンナ 従兄らを失う
マドンナがツイッターに投稿した動画で「24時間のうちに、従兄二人とボディーガードの兄弟が亡くなった」ことを明らかにした。
4月11日 ベビーフェイス全快
ベビーフェイスが自分の誕生祝に対する感謝のメッセージと併せて、家族と共に感染し、全快したことをツイートしている。
4月18日 マシュー・セリグマン死去
トーマス・ドルビーやデヴィッド・ボウイのバンドでベーシストを務めたマシュー・セリグナンが、2週間の闘病の後、脳出血の合併症で亡くなった。 トーマスがFacebookで明らかにしている。
4月20日 レックレス・エリック陽性
レックレス・エリックが陽性であることを、自身のブログとFacebookで明らかにした。 3~4週間ほど前から腰や胸などに痛みがあり、咳と微熱が続いていたため、検査を受けたところ陽性だったとのこと。 幸い重篤には至らず、自宅で隔離生活を送っている。
4月22日 マリアンヌ・フェイスフル退院
ロンドンの病院に入院していたマリアンヌ・フェイスフルが21日ぶりに退院した。 今後はしばらく自宅で静養する。
5月1日 マドンナ陽性
マドンナが自身のFacebookとインスタグラムでの動画で "I have the anti-bodies" と語り、陽性で抗体ができていることを明らかにした。
5月3日 デイヴ・グリーンフィールド死去
ストラングラーズのデイヴ・グリーンフィールドが、心臓の問題で入院中に感染し亡くなった。 71才だった。
Photo by ?? Claudio Schwarz | @purzlbaum on Unsplash
コロナウイルスが世界中に拡散し、音楽業界でも大規模なフェスからライブハウスの演奏に至るまで、様々なイベントが延期や中止を余儀なくされている。
こうした中、正面から影響を受けているロック・ミュージシャン達がどのようなメッセージを発信しているか、彼ら・彼女らのツイートから集めてみた。 (なお私自身は医学的知識を持ち合わせていないので、ここで言及されている対策に対しては、肯定も否定もできる立場でないことを予めお断りしておく。)
またエアロスミスは、自分たちがライブの最中に接触している場面を編集した動画を作成し「こういうのは止めろ」と主張している。
その他、モトリー・クルーやジーン・シモンズも「ソーシャル・ディスタンス」を求めている。
マスクを着用した投稿も多い。
例えば、ジャケットのイメージのメンバー全員にマスクを着用させたガンズ・ン・ローゼズ。 — Guns N' Roses (@gunsnroses) March 9, 2020
リンゴ・スターはビートルズのメンバーの中でマスクを着けている。
デフ・レパードやレイジ・アゲインスト・ザ・マシンは「手を洗え」とのメッセージを出すために、自分たちのヒット曲にかけ合わせたツイートを行っている。
そしてまさかのオジー・オズボーン。
— Ozzy Osbourne (@OzzyOsbourne) March 16, 2020
ポール・スタンレーは、医療関係者への感謝を表明。
パリ公演が中止になったブライアン・メイは「あきらめるな」とのメッセージを出している。
「世界のどこにいても気を付けろ」とツイートしているのは、ホワイトスネイクやスコーピオンズ。
カール・パーマーとポール・マッカートニーは、ベテランらしく「互いに助け合え」と主張している。
そして3月20日にマドンナが公開した動画が極めつけであった。
一切の説明を省いた上で、トランプの優柔不断な発言を時系列に並べ、彼の無能無策ぶりを糾弾する内容になっている。 さすがだ。
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新型コロナウイルスの蔓延で、3月中は殆どのライブが中止や延期に追い込まれてしまった。
私がチケットを持っていた分だけでも、マイケル・シェンカーが中止、ホワイトスネークとグリーン・デイは延期になり、また5月来日予定のアヴリル・ラヴィーンまで延期になっている。 8月開催予定で、3月6日にチケット予約開始だったはずのフジロックも、予約そのものが3月17日に延期された。 おそらく状況を判断するために時間を確保したのであろうと思われる。 ライブ自粛は大型のものだけではない。 例えばビルボード東京は3月11日まで営業停止、ブルーノート東京は3月をバーのみの営業に切り替えている。 危機的状況に追い込まれているのはクラシック業界も同様である。
さらに演劇のほとんども公演中止になってしまった。
鴻上尚史氏の悲鳴。
ライブや公演本番に向けてリハや練習を積み上げてきた関係者たちの無念は如何ばかりであろうか。
さらに照明、ミキサー、フロワなどスタッフたちの明日からの生活はどうなるのか。 彼らの多くは非正規労働者であり、ライブや公演の中止は収入を失うことに直結する。 政府は非正規労働者やフリーランスが休業した場合に10万円を融資するとの特例策を発表しているが、彼らに「10万円借金しろ」というのがまともな政策とは思えない。 ところで、ライブハウスの観客から罹患者が見つかったことから、どうやらライブハウスが槍玉に上げられているようである。 前述したビルボードやブルーノートなどのように、一定期間閉鎖するのは防疫上仕方がないとは言え、関係者には大きな痛みを伴っているのだ。 それを観客まで含めて揶揄するような物言い、とりわけメディアでの発信は許されるものではない。
「40代、50代、60代が全国から集まるコンサート」って、例えば最近では何万人も集まったクイーンとか知らないのだろうか。
いったい誰なのかと思っていたら、案の定この御仁であった。
この人物の頭の中は恐らくこんな感じなのであろう。
悔しいので、状況が落ち着いたら、またライブに行きまくってやる。
Photo by Frankie Lopez on Unsplash
2月17日、ロンドンでジンジャー・ベイカーの追悼ライブが行われた。
クリームとブラインド・フェイスでジンジャーの盟友だったエリック・クラプトンが呼びかけたもので、ロジャー・ウォータース、ロン・ウッド、ケニー・ジョーンズ、スティーヴ・ウィンウッド、ナイル・ロジャース、ウィル・ジョーンズ、そしてジンジャーの息子であるコフィがゲストで参加している。 ゲスト以外のバンドのメンバーもベテランで固めており、手堅い顔ぶれとなった。
なおロジャー・ウォータースはライブ当日にポスターのイメージをツイートしている。
setlist.comによると、セットリストは前半がクリーム、後半は主にブラインド・フェイスのものとなっていた。
1曲目は定番の "Sunshine of Your Love" で、いきなりロジャー・ウォータースがベースで参加。
2曲目もロジャー・ウォータースが残り "Strange Brew" を演奏。
もともとこの曲はスタジオ録音にアレンジが固められているため、ライブ演奏されるのは初めてではないかと思われる。
ここでロン・ウッドとケニー・ジョーンズが登場し "White Room" に突入。
ソロはエリックとロンの掛けあいで、ワウペダルを使ったプレイはロンが引き受けることになった。 余談だが、ワウの効果をリズムギター代わりにしてソロを弾くという斬新的なアイデアは、エリックがこの曲で開発したものだろう。
続く "I Feel Free" と "Tales of Brave Ulysses" ではロジャー、ロン、ケニーの3人が抜け、ナイル・ロジャースが登場。
リードボーカルはポール・キャラックが執り、またナイルが切れのいいカッティングを聴かせてくれる。 さらに "Tales of Brave Ulysses" では、珍しくナイルがソロを弾いている。
イギリスのブルース・ギタリストであるウィル・ジョーンズが参加し "Sweet Wine" を演奏。
"Blue Condition" ではエリックが全面に出て歌とギターを披露した。
そして再びロンが登場して、ジョージ・ハリスンとエリックの共作である "Badge"。
前半のソロはエリックで、後半はロンがスライドを炸裂させた。
続く "Pressed Rat and Warthog" は動画の記録が見当たらなかった。
コフィ・ベイカーが近年の持ち曲としているだけに残念である。 さて、ここからスティーヴ・ウィンウッドが参加して、ブラインド・フェイスのカバーに切り替わる。 "Had to Cry Today" ではスティーヴ・ウィンウッドが歌とギターを担当し、さらにナイル・ロジャースもギターで参加。
スティーヴ・ウィンウッド作の "Presence of the Lord" では、スティーヴがオルガンに廻り、エリックと歌を分担。
この曲はエリックのソロ活動ではすっかりレイドバックしたアレンジになってしまっていたが、ここでは原曲に近い激しいアレンジに戻っている。
"Can't Find My Way Home" では、スティーヴ・ウィンウッドが再びギターに戻り、ボーカルも執った。
さらにスティーヴ・ウィンウッドがオルガンに戻っての "Well All Right"。
"Do What You Like" と "Toad" ではコフィ・ベイカーが参加し、父親を彷彿とさせるソロを披露した。
この間、アンコール直前の楽屋では、ロンが寛いだ姿を自撮りしている。
最後は全員揃ってのアンコール "Crossroads" でフィナーレ。
終演後もロンがエリックと並んで写真を撮り、ツイッターに上げていた。
この翌日の18日、ロン・ウッドとケニー・ジョーンズは揃ってロッド・スチュワートのステージに参加し、またロジャー・ウォータースは22日、アサンジ氏強制送還に反対するデモで演説を行っている。
元気な爺さんたちである。 — Roger Waters (@rogerwaters) February 22, 2020 2020年2月7日、新宿ロフトにて "My Voice, My Liberty" と題するライブが催された。
出演は、オーサカ=モノレールとソウル・フラワー・ユニオンのダブル・ヘッダー。 いずれも常日頃から「物申す」ミュージシャンとして知られている。
またバンド転換の時間でDJを務めたのは野間易通さん。 彼もまた反レイシズム運動のC.R.A.C.で知られている人物である。 さて、オーサカ=モノレールは、キレッキレのファンク。
中盤では The Impressions の "Choice of Colors" をカバー。
この曲は「生まれ変わるとしたらどんな色の肌に生まれたいか」と問う歌詞で、中田さんは「選択権なんか無いねん。どんな肌の色、どこの国、どんな親、どんな兄弟に生まれるか、選択権は無いねん。」と、この曲をカバーする意義をMCでぶちかました。
そしてソウル・フラワー・ユニオンは、リクル・マイさんと共に、オリジナリティ溢れるロックを炸裂。
中川さんのTシャツには "This Machine Kills Fascists" の文字。 リクル・マイさんは "Anger Is An Energy" のプラカードを掲げていた。
当然と言えば当然なのだが、対ヘイト・スピーチのカウンターや様々なデモなどでお見かけする多くの面々が観客として詰めかけていた。
さながら反ファシズムの集会である。 このまま近くの柏木公園を出発地にしてデモのひとつもできそうな勢いだ。 デモなら、たぶん3梯団くらいは可能な人数であろう。 また、日本共産党の議員の方々もたくさん来ておられた。 共産党の皆さんも普通にお洒落でロックな出立ちだったのだが、ハイライトは何と言ってもこちら。
日本共産党の小池晃・中央委員会書記局長が鋲打ちの黒レザー!
さすがにこれは驚くわ。
ご本人も堪能されたようで、何よりである。
Photo by Daniel Schludi on Unsplash
しばらく前に1970年のロックの状況について整理したが、今回は一気に10年すっ飛ばして1980年のことを思い出しながら書いてみたい。
1980年はポール・マッカートニーの初来日で幕を開けるはずだったのに、いきなり成田で逮捕され強制送還されるという事態になってしまった。 さらに秋にはジョン・ボーナムが過剰な飲酒で死亡、年末はジョン・レノンが射殺されるという、ロック・ファンにとって悪夢のような年であった。 脱退劇も相次ぎ、キッスからはピーター・クリスが辞め、ローリング・ストーンズではビル・ワイマンが脱退の意志表明をしている。 その一方でポリスやブロンディなどがヒット曲を飛ばしており、80年代ロックの胎動を予感させるものとなっていた。 また日本ではこの年、山口百恵が引退し、替わって松田聖子、柏原よしえ、田原俊彦、近藤真彦らのアイドルが次々とデビューしていった。 1980年という区切りはあくまでも便宜的なものに過ぎないが、時代の風景は確実に移り変わっていたのである。(以上、敬称略)
1/7 レッド・ツェッペリン「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」プラチナ
1/11 ボブ・ディラン、第二期ゴスペル・ツアー開始 1/18 キャプリコーン・レーベル破産 1/16 ポール・マッカートニー、大麻所持の容疑で成田空港内で逮捕 1/25 ポール・マッカートニー、日本から強制退去 1/26 エジプトとイスラエルが国交樹立 2/7 ピンク・フロイド、全米でウォール・ツアー開始 2/9 トム・ペティ&ハートブレイカーズ「破壊」全米二位 2/18 ビル・ワイマン、ローリング・ストーンズから脱退の意志表明 2/19 ボン・スコット死去 2/23 クイーン「愛という名の欲望」全米一位四週 2/29 韓国で金大中氏が公民権を回復 3/22 ピンク・フロイド「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」全米一位 3/23 U2、アイランドと契約 3/29 ブライアン・ジョンソン、AC/DCとして初ライブ 4/1 松田聖子「裸足の季節」でデビュー 4/5 ジェネシス「デューク」英一位 4/19 ブロンディ「コール・ミー」全米一位 4/23 アメリカ軍がイラン人質救出作戦に失敗 4/29 ブラック・サバス、ロニー・ジェイムス・ディオとのツアー開始 5/18 韓国で光州虐殺 5/18 ピーター・クリス、キッスから脱退 5/24 日本のモスクワオリンピック不参加が決定 5/31 「マッカートニーII」英一位 6/13 ポール・マッカートニー「カミング・アップ」全米一位 6/14 ビリー・ジョエル「グラス・ハウス」全米一位、ピーター・ガブリエル「III」英一位 6/17 レッド・ツェッペリン、最後となるツアー開始 6/21 田原俊彦「哀愁でいと」でデビュー 6/28 ロキシー・ミュージック「フレッシュ・アンド・ブラッド」英一位 7/5 ローリング・ストーンズ「エモーショナル・レスキュー」英一位二週 7/7 レッド・ツェッペリン、西ベルリンで最後のライブ 7/12 オリビア・ニュートン・ジョン&ELO「ザナドゥ」英一位二週 7/19 モスクワオリンピック開幕、日本やアメリカなど67ヶ国のIOC加盟国がボイコット 7/19 クイーン「ザ・ゲーム」英一位二週、ビリー・ジョエル「ロックンロールが最高さ」全米一位二週 8/1 デフ・レパード、初の米国公演 8/2 「ディーペスト・パープル」全米一位 8/9 AC/DC「バック・イン・ブラック」英一位 8/15 ジョン・レノン「ダブル・ファンタジー」のレコーディング開始 8/19 新宿西口バス放火事件 9/6 ジャム「スタート!」英一位 9/13 ジャクソン・ブラウン「ホールド・アウト」全米一位 9/17 ポーランドで独立自主管理労働組合「連帯」結成 9/20 ケイト・ブッシュ「魔物語」英一位 9/22 イラン・イラク戦争勃発 9/25 ジョン・ボーナム死去 9/27 デヴィッド・ボウイ「スケアリー・モンスターズ」英一位二週、ポリス「高校教師」英一位四週 10/4 クイーン「地獄へ道連れ」全米一位 10/5 山口百恵の引退コンサート 10/8 ボブ・マーレー、ステージで転倒、これが最後のステージに 10/11 ポリス「ゼニヤッタ・モンダッタ」英一位四週 10/17 ジョン・レノン「スターティング・オーヴァー」リリース、ブルース・スプリングスティーン「ザ・リバー」リリース 10/21 巨人の長嶋茂雄監督、退任 11/4 巨人の王貞治選手、現役引退 11/4 米大統領選でロナルド・レーガンが現職のジミー・カーターを破り当選 11/16 ブロンディ「夢見るNo.1」英一位二週 11/17 ジョン&ヨーコ「ダブル・ファンタジー」リリース 11/21 スティーリー・ダン「ガウチョ」リリース 11/22 アバ「スーパー・トゥルーパー」英一位九週 12/2 ジョン&ヨーコ、ダコタ・ビルで最後のフォト・セッション 12/4 レッド・ツェッペリン解散発表 12/6 スティーヴィー・ワンダー「ホッター・ザン・ジュライ」全米三位 12/8 ジョン・レノン銃殺事件 12/12 近藤真彦「スニーカーぶる〜す」でデビュー 12/20 ジョン・レノン「スターティング・オーヴァー」英一位 12/27 ジョン&ヨーコ「ダブル・ファンタジー」全米一位七週
音楽以外に目を向けると、世界中で戦後の冷戦体制が断末魔の叫びをあげ始めた年であった。
例えば全斗煥・軍事政権による光州虐殺、西側諸国によるモスクワ五輪ボイコット、ポーランド自主労組「連帯」結成などが起こっている。 更に10年の時間をかけて、韓国の本格的な民主化やソ連崩壊を、私たちは目撃することになった。 一方、日本はバブル景気で国を挙げて浮かれた結果、10年後にはバブル崩壊後で回復不可能な痛手を負う羽目になるのである。
Photo by Humphrey Muleba on Unsplash
いつの間にか21世紀も20年あまりが経過し、2020年になろうとしている。
ロック史上でエポックメイキングとなった1970年からちょうど半世紀である。 この年、不仲が伝えられていたビートルズからとうとうポール・マッカートニーが脱退し、遂にビートルズは解散してしまった。 そして年末近くになるとジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンが27才という若さで相次いで亡くなっている。 1960年代の終焉ともいうべき象徴的な出来事だ。 しかし解散したビートルズからはポール、ジョン、ジョージがソロ・アルバムを発表しており、またブラック・サバス、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイドらがアルバムをヒットさせている。 70年代ロック黄金期の始まりである。 世界情勢に目を向けると、アメリカによる北ベトナム爆撃再開やカンボジア介入で、インドシナ戦争が出口の見えない泥沼と化していた。 東欧では「プラハの春」が踏みにじられ事実上の終焉を迎えた一方、南米のチリで史上初の選挙によるアジェンデ社会主義政権が誕生している。 (なおアジェンデ社会主義政権は、CIAと結託した軍部ファシストの軍事攻撃を受け、1973年に崩壊してしまった。) 日本では、よど号ハイジャックや三島由紀夫割腹など衝撃的な事件があったものの、前年の東大・安田講堂陥落から学生運動が急速に収束し、大阪万博で浮かれる能天気な世相が蔓延し始めた。 その一方で沖縄では嘉手納がアメリカの軍事戦略拠点として固定化され、また米兵による女性轢殺が発火点となって、抑圧された沖縄の怒りがコザ暴動として炸裂した。 沖縄を日本とアメリカが踏みつける構図は、50年を経た現在もまったく変わっていない。
1/4 ビアフラ戦争が終結
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あの1970年から50年後の2020年、私たち日本人はオリンピックだのカジノだのと浮かれていられる状況にあるのだろうか。
50年前の音楽を聴きながら、この閉塞した社会にどうしたら風穴を開けることができるのか、考えてみたいものだ。 |