久保田直己 不撤不散
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ブートレグ広告の変遷と共謀罪

24/6/2017

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Nishi Shinjuku,Tokyo - Bootleg,  HeavenPhoto by Josh Wilburne on Unsplash

3月に「ブートレグ流通の変遷」というタイトルでブート流通について書いたが、過去のブートの扱いは今ほど堂々とはしていなかったはずだとの記憶が、もやもやと燻り続けていた。
​そこで手元に残っている古雑誌で、いくつか確認してみることにした。
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これは、1984年のFool’s Mateでの広告。この雑誌はいつの間にかビジュアル系専門誌になってしまったが、当時はプログレやポスト・パンクが中心だった。
メジャーレーベルの広告は表紙裏くらいで、あとはほとんどの広告がブート屋である。
その中でブートに対して「プライベート盤」という表現が使われていた。

次に同じ1984年のDOLL。
​こちらはパンクに焦点を当てた月刊誌で、広告は自主制作盤が中心。なかには手書きのものまである。
ここで見つけたのは「プライベート・ビデオ」なるブートの広告。
​「プライベート盤」の派生語みたいなものだろう。
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更に12年経過した1996年のrockin’ on。今でこそメジャーな音楽誌になっているが、当時の広告はグラビアのカラーページを除けば、他は全部ブート屋といってもいい状態だった。
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もう1996年ともなれば媒体は完全にCDへ置き換わっているため、ここでは「コレクターズCD」という言葉が使われている。
「プライベート盤」といい「コレクターズCD」といい、後ろめたさが醸し出されていて趣き深い。
​やはり今ほど開き直った商売ではなかった。
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さて、ここから本題。これまでブートのような著作権侵害は親告罪だったので、権利者が訴えなければ摘発されることはなかった。
ところが著作権侵害は、この度成立した共謀罪(いわゆるテロ等準備罪)に含まれているので状況が一変した。
ブート制作・販売は明らかに不法行為である。
とは言え、さすがにどう見てもテロ行為の準備とは思えない。
しかし二人以上の集団が準備行為を行えば、それだけで共謀罪の構成要件を十分満たすのである。
しかも共謀罪は親告罪とは到底考えにくいので、捜査当局がその気になればいつでも摘発できる。
では共謀罪の対象となりえるのはブート屋だけなのだろうか。
共謀罪における「組織的犯罪集団」の定義は結局曖昧なままで可決されてしまった。
ブート屋はもとより、音楽ファンが二人以上で無断録音や撮影の計画を相談すれば、たとえ実際に録音や撮影を行わくてもそれだけで法的には共謀罪として摘発可能になっているのである。
実際のところ、共謀罪の運用は暴対法に近いような形で、ある程度国民世論に受け入れられるようなところから開始されるだろう。
しかし共謀罪は、到底テロとは無縁な様々な分野で、いつでも権力者が恣意的に運用できる。
そしてこのような法の成立を許してしまったのは、他でもない自民党に投票した有権者自身である。
実はブート屋の間抜けぶりを笑っている場合ではない。
​ライブ会場で写真を撮ってSNSにアップしたいなら、そのたびに自分の投票行動をよく思い返しておくべきである。
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