久保田直己 不撤不散
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災害対策に無関心な総理大臣

8/7/2018

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Photo by Cristi Goia on Unsplash

西日本を中心にした連日の豪雨で、河川の氾濫や土砂崩れなどが広範囲に発生し、死者65名、安否不明45名に達する大災害になってしまった(2018年7月8日正午現在)*。
しかしこの災害が正に進行している最中の7月7日、総理大臣・安倍晋三はあろうことかほぼ丸一日私邸へ戻ったまま、災害救援の陣頭指揮に立つことはなかった。翌7月8日もほぼ相変わらずだ。
そもそもこの人物は、災害で国民の生命や財産、生活が破壊されている時に、関心を示してこなかった経緯がある。

2014年2月14日から関東や東北地方で降り始めた雪は記録的な積雪量になり、後に気象庁から「平成26年豪雪」と命名される雪害をもたらした。
とりわけ積雪量の多かった山梨県では、すべての鉄道が運休となり、また中央自動車道や中部横断自動車道、主要国道の通行止めも加わって、県全体が孤立状態になった。
こうしてすべての物流が停止したことで山梨県内では食料や燃料が底をついてしまった。
富士河口湖町のホテルでは数十名の宿泊客が隔絶された環境で孤立する事態にもなっている。

この雪害の際、総理大臣は何をしていたのか、当時の「首相動静」で振り返ってみたい。
首相動静(2014年2月15日)
【午前】公邸で過ごす。
【午後】2時25分、報道各社のインタビュー。31分、ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子で金メダルを獲得した羽生結弦選手を電話で祝福。54分、東京・富ケ谷の自宅。
首相動静(2014年2月16日)
【午前】東京・富ケ谷の自宅で過ごす。
【午後】5時49分、東京・赤坂の天ぷら料理店「楽亭」。支援者らと食事。8時5分、自宅。
なんと15日には五輪の羽生結弦選手に頼まれもしない電話を掛けたあげく、さっさと私邸へ帰宅。翌16日も私邸から出ることはなく、夕方赤坂で支持者らと天ぷらを食べただけであった。

半年後の2014年8月20日、前日からの大雨で、午前1時半から午前4時にかけて広島市内の数か所で大規模な土砂崩れが発生した。
これは後に「広島土砂災害」と呼ばれている。
直接の死者は74名に達し、災害関連死の3名を加えると、死者総数は77名となる大災害である。
さらに行方不明者の捜索は一か月に及ぶこととなった。

そして大災害から一夜明けた20日朝、総理大臣はなんと閣僚らとゴルフに出かけたのである。
官邸に戻り、危機管理センターで対策会議を持ったのは昼近くになってからであった。
首相動静(2014年8月20日)
【午前】7時26分、山梨県富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」。森喜朗元首相、茂木経産相、岸外務副大臣、加藤官房副長官、萩生田光一自民党総裁特別補佐、山本有二同党衆院議員、笹川陽平日本財団会長、日枝久フジテレビ会長とゴルフ。9時22分、同県鳴沢村の別荘。10時59分、官邸。11時、危機管理センターで古屋防災相、西村内閣危機管理監。菅官房長官同席。23分、報道各社のインタビュー。

2018年7月5日、西日本での豪雨が報道される中、自民党は閣僚と若手議員の交流と称した大宴会を開いていた。
出席者の一人である参議院議員の片山さつきは、「安倍総理  初のご参加で大変な盛り上がり!」とツイートで報告している。

今日は27回目の #赤坂自民亭 @議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、#安倍総理 初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは#上川法務大臣 #小野寺防衛大臣 #吉野復興大臣 党側は #岸田政調会長 #竹下総務会長 #塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい! pic.twitter.com/LHIKcBFowE

— 片山さつき (@katayama_s) 2018年7月5日

​なおこの日は、翌日にオウム真理教関係者7名の一斉死刑を控えていたことが後日判明するが、死刑執行に署名を終えた法務大臣・上川陽子も楽し気に宴会に参加している。
当然、総理大臣も死刑の件は知っていたはずである。よくも大宴会を開いたうえ、バカ騒ぎの写真をSNSで公開できたものだ。

ところで「首相動静」によると、さすがに7月6日は一日中公務に費やされているが、驚くべきは7日と8日の行動だ。
首相動静(7月7日)
午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
午前9時43分、公邸発。同44分、官邸着。
午前10時1分から同16分まで「7月5日からの大雨に関する関係閣僚会議」。
午前11時35分、官邸発。
午前11時49分、東京・富ケ谷の私邸着。
午後は来客なく、私邸で過ごす。
午前0時現在、私邸。来客なし。
首相動静(7月8日)
午前8時31分、東京・富ケ谷の私邸発。同42分、官邸着。同9時2分から同22分まで、非常災害対策本部会議。
午前9時48分から同10時42分まで、ポンペオ米国務長官の表敬。
午後1時から同23分まで、韓国の康京和外相の表敬。
午後2時16分、官邸発。
午後2時29分、私邸着。
7日はわずか15分ほど会議を開いて私邸に戻り、その後公に姿を現すことはなかった。
8日も20分の非常災害対策本部会議の後、米国務長官と韓国外相に面会したら、早くも午後2時過ぎには私邸へ帰宅している。
まだ1,000万人近い国民に避難勧告が出され、多くの人々の安否が気遣われる最中である。
NHKの報道によると、総理大臣は「時間との戦いだ」と語ったそうだが、公邸に詰めることすらしないで、いったいどの口から言うのであろうか。

2018年3月、自民党の憲法改正推進本部は、大規模災害などに対応する緊急事態条項を憲法改正案に盛り込む方針になったという。
しかし、相次ぐ災害で苦しむ国民には関心を示さない連中が、本当のところ緊急事態条項で何を狙っているのか。
災害時のこの政府の対応をよく見て、有権者はしっかり考えた方がいい。

(* 2018年7月15日現在、死者209名、行方不明21名、避難者に身を寄せている人5,200名に達している。)
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LOVE
18/2/2021 23:09:35

payopayochin

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