Photo by Om Malik on Unsplash 1月6日、ドナルド・トランプに扇動された極右のデモ隊が連邦議会議事堂を襲撃した。 この攻防戦の最前線にいた警察官たちが所属する議事堂警察労働組合が1月27日、声明を発表し、報道で一般に知られている状況よりもはるかに暴力的で危険であったことを告発している。 日本では憲法第28条で労働者の団結権、交渉権、団体抗議件(争議権)が認められているが、警察職員、消防職員、海上保安庁職員、自衛隊員、刑務所職員はその例外となっている。 したがって警察官が労働組合を結成することは認められていない。 公益財団法人国際労働財団の報告によると、アメリカ合衆国ではおよそ40の州で警察官労働組合の団体協約が存在し、団体交渉が認められている。 これに対し共和党は、教員やバス運転手など公共事業を担う労働者の権利を弱体化させる立場から、警察官労組を攻撃している。 一方CNNなどが報じているところによると、黒人男性ジョージ・フロイト氏がミネアポリスの警察官に虐殺された件で警察労働組合員が集結し、虐殺に加担した警察官を支援する行動を取った。 警察官による人種差別などの不正行為に対する処罰がなかなか進まないのも、警察官労働組合が非常に強い力をもっているからだと指摘されている。 こうした背景を考慮すると、警察官労働組合による声明を鵜呑みにすることは極めてナイーブな態度であるという前提をつけておく必要があろう。 しかしそうした前提のもとでも、警察官たちが極右デモ隊から加えられた暴力の深刻さや、彼らの上司たちの無能ぶりについては、一聴しておく意義があると思われる。 話を連邦議会襲撃に戻したい。 襲撃した連中が水牛のコスチュームを纏っていたり、首から勤務先の社員証をぶら下げていたことで身元が判明し即座に解雇になったりなど、あまりにも常軌を逸した姿や行動に目を奪われがちであるが、前述したように現場での暴力は悲惨極まりないものであった。 この実態について1月26日、議事堂警察長官代理であるヨガナンダ・ピットマンが証言に応じており、その内容はNew York Timesのアーカイブで確認できる。 さらに翌27日に発表された議事堂警察労働組合の声明は、ピットマンの証言に新たな情報を追加する形となった。 これらピットマンの証言と警察労働組合の声明から得られる情報の詳細は、Raw Story誌が7つのポイントにまとめているので、以下に訳出してみたい。 1. 議会議事堂警察のトップは攻撃について十分に認識していた ピットマンは証言で次のように話している。 1月4日までに、警察は1月6日の事態が、2020年に開催されたこれまでの抗議のいずれとも異なることを知っていた。 ピットマンは警察が事件に向けた適切な準備を怠り、さらに事前に州兵の助けを求めなかったことを認めたが、なぜこのような失敗が起こったのか、未だに明らかになっていない。 なおピットマンによると、1月6日は1,200人の議会議事堂警察官しか勤務に就いておらず、数万人の抗議の群衆による包囲に対応するには少なすぎたという。 2. しかし警察官たちはこれらの認識を知らされていなかった 「トップ・チーム全員(サンド元議会警察長官、ピトルナン現議会警察長官代理、トーマス副課長)、何が起こるのかを知っていたくせに、私たち警察官に対する発砲も含む暴力の可能性に備えることができなかったと開き直っている。 こうした態度は、まったく良心的でない」と組合は声明の中で指摘している。 「彼らが暴動の前に当直の警官へこの情報を伝えなかったという事実は許しがたい。」 3. 約140人の警察官が負傷した 「議事堂警察と首都警察の警察官は、約140人が負傷した」と組合は述べている。 なお、これまで怪我の程度は明らかになっていなかった。 4. 何人かの警察官は重態となっている 「攻撃される前にヘルメットを提供されず、脳挫傷を負った警察官がいる。 ある警察官は、肋骨の2つのひび割れや、椎間板の2か所を破壊された」と労働組合委員長のガス・パパサナシューは述べた。 「1人の警官は失明し、また別の1人は金属製のフェンスの杭で刺された。」 これらの怪我は今まで報告されていなかった。 包囲戦で負傷した翌日に死亡した警察官ブライアン・シックニックの死のみが報告されていただけである。 5. 労働組合は、攻撃の最中の指導者からの通信崩壊を主張している 「ピットマン長官代理は暴動中の問題として無線通信を挙げているが、暴動の前や暴動の最中の本当の通信崩壊は指導部の沈黙だった。 彼らは事前に重要な情報を警官たちと共有することができなかったし、十分な準備もせず、まさにその日の計画に基づいて警察官たちに装備もさせず、リードできなかった。 これは "警察全体" の失敗ではなく、指導部の失敗だった」とパパサナシューは語った。 6. 議会議事堂警察の階級の間で深い不満が充満している 「警察官たちは怒っている。 私は彼らを責めない。 トップ全体が私たちを失敗させたのだ。 彼らは責任を問われなければならない。 彼らの怠慢は命にかかわるのだ。」とパパサナシューは続けた。 「私たちの組合は長い間、より多くの訓練、より多くのスタッフ、より良い装備を提唱してきたが、トップによって繰り返し握りつぶされた。 しかし、ピットマン長官代理は現在ようやく、1月6日の議会議事堂の保護の失敗につながったこれらの明白な失敗を非難するようになった。」 7. 一人の警察官が攻撃後に自殺で死亡した シックニックの死に加えて、別の警察官が攻撃後に自殺したと報告された。 1月27日、複数の関係筋が、首都警察のジェフリー・スミスも事件の後に自殺したと報告した。 民主的な手続きの破壊に加担したのは誰か。
ドナルド・トランプ、共和党、極右、そして警察トップの連合体であるのは明白だ。
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