Immediateレーベルの "Blues Anytime" シリーズは私もアナログで愛聴し、その後CDで買いなおした経験があるので、同情申し上げるしかない。 ちなみにこのCDは、ジミー・ペイジやエリック・クラプトンらが60年代に自宅録音に近い形で残したブルースのセッション集で、今となっては非常に貴重な音源である。
CDは1982年に商用化された後、音楽用途で急速に普及が進み、早くも1986年には販売数がアナログを超えるに至った。
80年代当時から、CDの物理的な寿命は25~30年くらいではないかと言われていたことを記憶している。 そして今年は、初期に販売されたCDの30年目を過ぎた頃だ。 私自身が購入したアナログ盤として一番最後となったのは Gun's N Roses の "Appetite For Destruction" で、その直後にCDで買いなおしている。
まずこれをチェックしたところ、今の時点では無事だった。
また、1988年にリリースされた Living Colour の "Vivid" 以降は、CDのみの購入になっている。
こちらも無事。
そして90年前後から、アナログ盤で所有していた音源をCDで買いなおすという行為に走ったのであった。 このうちの何枚かをチェックしたところ、Led Zeppelin の "II" で剥離が始まっているのを発見。 ラベル面、データ面共に、端から虫食い状に穴が開いている。
この状態ではまだ再生が可能だった。
なお Led Zeppelin であればいくらでも買いなおしが効くので、被害としてもまだましな方である。 問題はCDが廃盤になっていたりブートだったりと、もはや買いなおしが効かない場合だ。 例えば、Wet Willie の "Left Coast Live"。
この盤は高校生だった70年代に愛聴していたレコードの一枚だが、CDは1989年に発売された際に買いそびれてしまっていた。
その後再発されることがなく、ヤフオクなどでの出品も見当たらないため、中々入手することができなかったが、数年前にスウェーデンの中古盤サイトでたまたま発見して購入できた。 こういう類のものは剥離で崩壊されてしまうと本当に困るが、取り合えずこの一枚は無事だった。 さて、CD単品をある程度ピックアップしてチェックした後は、ボックスセットの状態を確認することにした。 数あるボックスセットの中でも、個人的に最も貴重なのは Derek and the Dominos の Layla 20周年記念盤である。 これは1990年に販売されたものなので、既に29年が経過している。
予想もしていなかった事態だが、ボックス内のスポンジが経年劣化し、粉状になって崩れ落ちていた。
不幸中の幸いでCD自体は問題なく、また崩れたスポンジが融着するような状態にもなっていなかった。 セットのCD一枚目は現在も通常の販路で容易に購入することができるものだが、二枚目と三枚目はアウトテイクやセッション音源なので、腐食は本当に困る。 (余談だが、できれば2020年になったら、50周年記念盤として再発してほしい。)
湿気や直射日光を避けることがCDを剥離から防ぐ予防策になるようだが、いずれにせよ物理的な媒体である以上、CDの経年劣化は避けられない。
最も確実な対策は、バックアップを取っておくことであろう。 ただし著作権法第30条に違反しないように、あくまでも個人使用のためと気を付けなければならない。 さらに数百枚、数千枚のCDのバックアップ作業は現実的でないので、メジャー・タイトルは買いなおせると割り切って、貴重盤に絞るしかない。 もはやこうなってくると、情報システムのバックアップとあまり変わらない気がしてくるが、仕方ない。
2 コメント
山根祥稜
10/3/2019 18:20:56
ついに始まったかCDの崩壊!?!?( ̄□ ̄;)!!
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通りすがり
6/3/2022 17:02:58
聴けなくなる前にHDDなどへのバックアップは取ったのでしょうか。気になります。
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