Photo by David Menidrey on Unsplash ちょうど一年前「2017年 ライブ三昧を振り返る」と題した記事を書いたが、2018年もジャンルを問わず、片っ端からライブを観に行くことになってしまった。 いきなり縁起のいい話ではないが、近年はレミーやクリス・スクワイヤなどライブを観た直後に亡くなってしまうミュージシャンも出始めている。 往年のミュージシャンの場合、「もうこれが最後かもしれないな」と考えると、財布が許す限りライブを観に行かざるを得ない。 あまり不吉なことを言いたくはないけれど、こんなことをやっていられるのも、多分あと5年くらいであろう。 何しろ今年元気に来日してくれたポール・マッカートニーだって、もう76才なのである。 ポール・スタンレー ビルボード東京 1/13(土) 2017年のジーン・シモンズに続いて、2018年はポール・スタンレーとエース・フレーリーがそれぞれソロで来日した。 ポール・スタンレーは自身のバンド「ソウル・ステーション」を率いての来日で、キッスの曲は一切演奏せず、モータウンを中心にしたソウル・ナンバーを披露。 彼のボーカルの線の細さが気になるところではあったが、たいへん楽しいライブであった。 なお2019年にはキッスとしての大規模なワールド・ツアーが予定されている。 ポール・ウェラー 横浜 Bay Hall 1/20(土) オールスタンディングの会場にふさわしく、ジャムやスタイル・カウンシル時代の曲も含めたノリのよいステージを観せてくれた。 還暦直前ですっかり白髪になってしまったが、額の血管がぶち切れそうになりながら歌う姿は若い頃から何も変わっていない。 アーチ・エネミー 六本木 EX THEATER 2/20(火) 頻繁に来日してくれるアーチ・エネミーだが、2018年の来日は通算18回目となった。 ボーカルがアンジェラ・ゴゾウからカナダ人のアリッサ・ホワイトグラズに替わってからでも4回目である。 アリッサはデス・ボイスからクリーンなシャウトまで多彩な歌い方ができる人であった。 スティーヴ・ハケット 川崎 Club Citta 4/7(土) スティーヴ・ハケットもこのところ頻繁に来日してくれる。 前回はすべてジェネシスの楽曲だったが、今回は前半がソロ・アルバムからのセットで、後半がジェネシスというマニア向けの構成。 それにしても "The Musical Box" や "Supper's Ready" を全編通して演奏するとは思わなかった。 ギズモドローム 渋谷 オーチャード・ホール 4/9(火) スチュワート・コープランドやエイドリアン・ブリューらによるスーパー・バンド。 特にスチュワートが大活躍で、ドラムのみならずギターも弾きまくり、実に半分近くの曲でギターを手にしていた。 発売されたばかりのアルバムはもちろんのこと、ポリスやキング・クリムゾンの曲も演奏する大サービスであった。 キャメル 川崎 Club Citta 5/19(土) 18年ぶりの来日で、名盤「ムーンマッドネス」完全再現を売り文句にしたライブ。 長期療養から復帰したアンディ・ラティマーの体調が心配されるところだったが、2時間以上にわたるステージを連日こなした。これぞプログレ。 PUFFY ビルボード東京 7/18(水) 長年聴いていたのに、なかなかライブを観る機会に恵まれず、実は初めてのPUFFY。 デビューから20年以上経ち、当然ながら彼女たちもすっかり大人になったが、肩の力を抜いたいいライブだった。 掛け合い漫才のようなMCも最高。 ソフト・マシン ビルボード東京 7/28(土) 結論からはっきり言ってしまうと、2018年のワースト・ライブだった。 全盛期からのメンバーであるロイ・バビントンは指が全然動かず、ベースでリフがまともに弾けない。 ギターのジョン・エサリッジもやたら速弾きをするものの、"Hazard Profile" ではアラン・ホールズワースのパートを弾かず、ゲストのゲイリー・ハズバンドにキーボードで代役させる始末。 さすがにこれには客席から失笑がもれていた。 ドラムのジョン・マーシャルは高齢で背中が曲がり、もはや歩くのもやっとという状態だったので、たぶんこれが最後の来日になるかもしれないが、再度来日してももう観に行かないと思う。 ソニックマニア 幕張メッセ 8/17(金) この数年、夏はフジロックかサマーソニックのどちらかに必ず足を運ぶようにしている。 どちらを選ぶかの判断基準は極めて単純で、爆音が楽しめるかどうかだけである。 そんなわけで2018年の夏は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン 目当てでソニックマニアの一択になってしまった。 ラウドパークでさえ爆音とは感じられない耳になってしまっているが、さすがにマイブラは凄まじかった。 いや、爆音どころか轟音。深夜の徹夜状態の体にはきつすぎて、吐き気を催すほどの音量だった。 なお後日、ジョーズ・ガレージでこの日のブートを買ってしまったのは内緒である。 ソンズ・オブ・アポロ 恵比寿 Liquidroom 9/12(水) ビリー・シーン、マイク・ポートノイらによる超絶技巧のハードロック・スーパーバンド。 ギターもベースもダブルネックで押し通し、奏法だけでなく体力まで超絶だった。 これでビリー・シーンは還暦である。恐るべし。 また、マイク・ポートノイが終始笑顔であったのも印象的だった。 リアム・ギャラガー 武道館 9/13(木) ノエルのサマーソニックでのライブから一か月後にリアムが来日。 いつまで兄弟喧嘩を続けているのか知らないが、まあいい。 二時間以上のライブが多い中で、あっさりと80分くらいで終了してしまった。 まあいい。 ジョー・ペリー 品川プリンス ステラボール 9/18(火) 2017年のスティーヴン・タイラーのソロ来日に続いて、ジョーもソロで来日。 ボーカルにエクストリームのゲイリー・シェローンを迎え、さらにスペシャル・ゲストはエアロスミスでの同僚のブラッド・ウィットフォード。 最新のソロ・アルバム "Manifesto" からの楽曲に加え、 "Toys in the Attic" や "Sweet Emotion" などエアロスミスの曲もふんだんに演奏してくれた。 ジョーの演奏自体はかなり雑であったが、それも含めてのジョーなので文句は言うまい。 デイブ・スチュワート&バーバラ・ガスキン 青山 月見ル君想フ 10/21(日) ハットフィールズ & ザ・ノースなどでの活躍で知られるカンタベリーの大御所。 小さな会場で、デイブの足元の席を確保することができた。まさにかぶりつきである。 デイブとバーバラのほかに若手のギタリストであるベレン・マシューズを同行させていたが、最新アルバムでのドラマーのギャビン・ハリソンの参加は無し。 この手の音楽での打ち込みはあまりにも残念である。 次回はぜひフル・バンドで来日してほしい。 デフ・レパード 武道館 10/24(水) 3年前の来日に行きそびれてしまったので、今回は個人的に雪辱戦であった。 Hysteriaツアーと称するだけに、アルバム "Hysteria" の曲を中心に、アンコールの "Photograph" までヒット曲のオン・パレード。 特に還暦を過ぎたのに、30代くらいにしか見えないフィル・コリンの鍛え上げたマッチョな体型には驚かされた。 最強のロック・ショーである。 ゴング ビルボード東京 10/31(水) 数年前に原宿のアストロホールで観てから、デヴィッド・アレンもジリ・スミスも亡くなってしまった。 しかし今回はゲストでスティーヴ・ヒレッジが参加とのことなので、これは行くしかない。 なお正直に言うと、他のメンバーはまったく知らない人たちばかりであった。 ステージのバックには初期三部作「ラジオ・ノーム・インヴィジブル」のイラストに合わせたサイケな映像が終始流されており、バンドが原点回帰を狙っているのは判った。 それでもデヴィッド・アレンの強烈なビジュアルとスピリットが欠落した喪失感はあまりにも大きく、とても穴埋めできるものではないことも改めて実感。 ポール・マッカートニー 東京ドーム 11/1(木) この数年、毎年のように来日しているポールだが、飽きずに毎回観に行っている。 プログレ系のライブでは観客がほぼオッサンばっかりという現状の中で、老若男女あらゆる層が来ているポールはさすがと言うしかない。 最後のアビー・ロード・メドレーには、毎度泣かされる。 2CELLOS 武道館 11/19(月) 2CELLOSは今までオーチャードやフジロックのグリーンステージで観てきたが、今回は彼らにとって初めての武道館である。 前半はオーケストラを従えてのアコースティック・セットで、後半がAC/DCやアイアン・メイデンなどのいつものカバー版となっていた。 楽器がエレクトリックだとは言え、チェロの演奏に武道館の音響は悪すぎる。 フジロックの野外での演奏もかなり辛かった。 MCで「次は東京ドーム」だとはったりを噛ましていたが、できればオーチャードのような音響がしっかりしたホールにしてほしい。 ボン・ジョヴィ 東京ドーム 11/26(月) 1990年の大晦日に東京ドームで観て以来、実に28年ぶりのボン・ジョヴィであった。 ニューアルバム "This House is not for Sale" の曲に往年のヒット曲を散りばめての演奏である。 たぶんデビュー当時からファンであったのだろう女性たちが「きゃあ、ジョーーーン!!」と叫んだり泣いたりするのも微笑ましい。 アメリカのスタジアム・ロックの王道だ。 キング・クリムゾン 渋谷 オーチャード・ホール 11/27(火) 前回の来日に同様に、オーチャード・ホールでの観戦となった。 来日初日となるこの日はなんと "21st Century Schizoid Man" を演奏しなかったが、セットリストは以前ならあり得なかった曲 "Moon Child" や "Fallen Angel"、"Lizard" などを含む、全経歴にわたるものだった。 なお、その後のセットリストでは "21st Century Schizoid Man" を演奏する代わりに "Larks' Tongues In Aspic Part II" を外したりと、連日かなり曲が入れ替わっていたらしい。 これは全公演観ろというフリップ翁のメッセージなのかもしれない。 岸谷香 ビルボード東京 12/17(月) 2017年に続いて、2018年のライブの〆もビルボードでの岸谷香になった。 今回は若手の女性メンバーのバンドによるアコースティック・ライブである。 岸谷さんのステージは、とにかくMCが面白い。 2019年5月にはツアーを行うとのことなので、お勧め。 ところで岸谷さんは今年51才だが、プリンセス・プリンセスの頃からテンションが全然下がっていないし、20代のバンド・メンバーにも全く負けてない。
もしかすると、これはあと20年はいけるかもしれない。 冒頭の「あと5年」説はとりあえず取り消しておく。
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