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1972年のファミリーマート1号店、1974年のセブンイレブン1号店が開店して以来、既に50年以上が経過し、コンビニは日本の小売業の有力な業態として全国津々浦々、完全に定着した。
現在では、各種公共料金の支払いや証明書発行、ATM設置、宅配便の集荷など、小売業の枠を超えた社会インフラとしても重要な機能を担っている。 さらに震災や豪雨などの大規模な天災が発生した際には、ヘリによる食料供給といった、本来的には政府が担うべき役割まではたすようになった。 また、まだ広くは知られていないが、現在のネット社会における民主主義を支えるためのインフラとしても、重要な位置を持ち始めている。 いわゆるネットプリントのことである。 ネットプリントは、PCやスマホから文書や写真を登録し、全国のコンビニ店舗のマルチコピー機で簡単にプリントアウトできるサービスだ。 単価は一枚20円程度なので大量印刷には割高であるが、数枚印刷する分には非常に便利である。 元々はスマホで撮影した写真を印刷するなど、プリンターを個人で所有しない人たちが利用することを狙ったものと思われる。 各コンビニチェーンのうちセブンイレブンは富士ゼロックスと、ファミリーマートやローソン、サークルKなどはシャープとパートナーシップを組んでいる。 一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会の調べによると、2017年5月時点での全国のコンビニ店舗数は54,999軒に及ぶため、複合機メーカーにとってもネットプリントは重要な市場となっていると言えよう。 さて、ネットプリントがなぜ民主主義のプラットフォームになっているのか。 一言で言えば、プラカードの印刷である。 7月1日の秋葉原における安倍首相の演説に対して、「安倍辞めろ」「帰れ」との大コールが沸き起こったのは記憶に新しい。 そしてそこでは、巨大横断幕と共に、数多くのプラカードが掲げられた。 この場所で同じようなプラカードが並んだことに対して、組織的な工作ではないかとの陰謀論までSNSに書き込まれたが、何のことはない。 デザインに長けた人たちがプラカードを制作してネットプリントにアップロードし、その情報がツイッターなどで拡散され、多くの人がコンビニでプリントアウトして持ってきただけの話である。 そして7月9日、森友疑惑や加計疑惑から逃げるかのように欧州へ飛び立った安倍首相の不在の間、日本全国で一斉に「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」が企画された。 この行動では更に数多くのプラカードが「勝手」に作成され、SNSとネットプリントを通じて拡散、共有されていった。
なかには、作家で法政大学教授の中沢けい氏自ら作成し共有したものもある。
2011年のチュニジア民主化では、FacebookやTwitter、YouTubeなどのSNSが大きな役割を担ったと伝えられている。 さらに現在の日本では、SNSにコンビニという社会インフラが複層的に絡み合うことになった。 政府与党側は先の参院選で巨額の費用を投じ、リアルタイムでSNSを分析する外部のサービスを利用したとの報道があった。 しかしそんな費用を持たない民衆は、自らの知恵をもって容易に乗り越えていく。 為政者には有権者を「あんな人たち」などと舐めてかかる余裕などない。
追記 (22:00 9/7/2017)
事前の予測を遥かに上回る大規模なデモになった。 朝日新聞:「安倍1強」の政治に反対、新宿で抗議デモ 8千人参加 毎日新聞:緊急デモ「安倍内閣は退陣を」新宿に「8000人」集う 神奈川新聞:「安倍政権にNO!」新宿で大規模デモ
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