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10月15日、ビートルズの最後のアルバム「レット・イット・ビー」のスペシャル・エディションのボックス・セットがリリースされた。
オリジナルのリリースは1970年なので、ちょうど50年目ということにはならず、「50周年記念盤」にはならなかったが、いずれにしても半世紀ぶりに曰くつきの音源が公開されたことになる。 ビートルズのアルバムで巨大ボックス・セットとしてリリースされるのは4作目になり、2017年の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」、2018年の「ホワイト・アルバム」、2019年の「アビー・ロード」に続くものである。 いずれも非常に大きなセットだったが、今回の「レット・イット・ビー」もディスク6枚と、100ページを超えるハードカバーのブックレットで構成される大がかりなものとなっている。
日本盤の裏面では、内容の構成が分かる。
なお内容物は、動画でも紹介されている。
今回のセットには、ポスターや絵葉書などは着いておらず、ブックレットとディスクを収めた2つのハードカバーで構成されている。
しかし、ブックレットの写真は感涙もの。
また、日本盤には、ポールのコメントや、各曲の詳細を解説したライナーが付属している。
肝心のディスクだが、オリジナルのリミックスに加え、デモやリハーサルの音源などから構成されている。
そして驚くべきことに、ボーナス・トラックも含めてボックス・セットに収録されている57曲が、全曲フル・コーラスで公開された。
57曲が試聴できるYouTubeのリンクは、ここから。 さて「レット・イット・ビー」といえば、ポール・マッカートニーがフィル・スペクターによるオーヴァーダビングを毛嫌いしていたことを思い出さずにはいられない。 ポール・マッカートニー自身、ライナーのまえがきで、この点に触れている。 ぼくらがつくったアルバムは、最後の仕上げのために、レコード・プロデューサーのフィル・スペクターに手渡された。
既に半世紀の時間が流れたためか、ポールは言葉を選んで穏やかな言い回しをしているが、ケヴィン・ハウレットによる回想の中では、当時のポールの態度に関して、非常に強い言葉が並んでいる。
1970年4月1日にオーケストラのオーヴァーダブがおこなわれた時点で、ポールはまったくそうした事態を把握していなかった。
その「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」だが、ボックスにはオリジナル・アルバムのものと、デモ版を聴くことができる。
この両方を聴けば、ビートルズのメンバーの手によらないボテボテのアレンジが、フィル・スペクターによって加えられたことがよくわかる。
もっとも、既に2003年にリリースされたアルバム「レット・イット・ビー...ネイキッド」でも、フィル・スペクターによるアレンジを徹底的に排除してリミックスされており、制作の時点でポールが望んでいたであろう音を聴くことができる。
今回のボックス・セットは誰にでもお勧めできるものではないが、「ネイキッド」と併せて歴史的価値の高い資料となった。
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