久保田直己 不撤不散
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ビジネスの場での日本人と英語

22/4/2018

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Photo by Dylan Gillis on Unsplash
 
ビジネスシーンにおける日本人の英語について、いつかブログに書こうと考えていたが、ちょうどいい機会が訪れた。
ツイッターで次のような投稿を発見したのである。
​投稿者の氏名は控えるが、ある大手予備校の英語講師とのことであった。
授業では「ミーナサァン コニチワ」と片言の聞き取りづらい日本語を話して「ほら、イライラするでしょ?
​英語の発音なんてどうでもいいとか言う人は相手をイライラさせてるのに、外国人だからしょうがないとか言って努力しない(以下自粛)」と言っている。(ママ)

​私たちの母語である日本語をわざわざ勉強してくれて、片言とはいえ日常で使用する努力を怠らない外国人を見下して嘲笑う態度。
典型的な人種差別の一形態であり、人として到底許されるものではない。
こうした人物が若い人たちに対する教育に従事していることに戦慄する。
 
また、この人物は英語の講師でありながら、国際的な場での英語の使われ方に接した経験がないのだろうとの疑念を抱かざるを得ない。
発音が完璧であるに越したことはないが、日本人がLとRを使い分けられないのはどうにもならない。
似たような例だが、フランス語では ”H” を子音として発音されることがないため、フランス語圏の人にとって「ホテル」の発音が難しく、どうしても「オテル」になってしまう。
”~nation” と表記される単語の発音も簡単ではないようで、「~ネイション」ではなく「~ナスィオン」とフランス語風に発音される場面も何度か目撃した。
母音や子音の発音だけではない。日本人が英語を話す際には、どうしても日本語風味のイントネーションになってしまう。
インド人はヒンズー語、中国人は中国語のイントネーションを引きずる。
当たり前のことだ。

仕事柄、世界各国からマーケティングや営業の責任者が集まっての喧々諤々の会議に数多く参加してきたが、それぞれがそれぞれの英語を話すし、それを取り立てて指摘するような場面に遭遇したこともない。
そもそも言うまでもなくイギリスとアメリカでは英語とは言え大幅に異なるし、オーストラリアとニュージーランドの間でも母音の発音が微妙に違う。
アメリカ国内でもニューヨークの連中の機関銃のような速度の英語は、西海岸のベイエリアの住人は聞き取れないことがあると言う。
日本語は一方言であった江戸弁を「標準語」として定めているが、英語に「標準語」はないのだ。
​
余談であるが、日本人が文法上間違いやすい点は、ヨーロッパの人たちも同様に間違えるということも、多くの例で見てきた。
例えば “looking forwards to“ の後は名詞になるため、動詞であれば “looking forwards to meet” ではなく “looking forwards to meeting” としなければならないが、ヨーロッパからのメールで前者のような表記になっているのは珍しいことではない。
また ”discuss” は他動詞であるため ”about” を付けないというのもTOEICなどの試験での頻出問題であるが、これも同様である。
​ビジネスメールで文法が正確であることは大切であるが、完璧である必要もない。

社会人として30年以上にわたり外資系IT業界で働いてきたが、カントリーマネージャー・クラスの人たちの英語が案外べたべたな「日本人英語」であったのが事実だ。
また極端な例ではあるが、本社からのレビューの場で “prospect list” というべきところを「案件リスト」で押し通した強者の営業本部長もいた。
​
いろいろな人が何度も指摘してきたことであるが、実際に英語を使う場面において最も重要なことは細かい発音や文法よりも「何を話すか」に尽きる。
​ましてや差別意識を織り込むことなど論外だ。
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