8月に先行予約しておいたCD "Yardbirds '68" が到着した。 jimmypage.comに直接オーダーしておいたので、アマゾンなどの一般流通に先駆けての入手だ。 CDは二枚組で、一枚目はライブ、二枚目は未発表のアウトテイク集になっている。 ライブ音源は1968年3月、ニューヨークのアンダーソン・シアターでのもので、過去に本人たちの許可なくリリースされた曰く付きの "Live Yardsbirds!" と同じ内容である。 ライブのメンバーは、ジミーのほか、キース・レルフ(ボーカル、ハープ)、ジム・マッカーティ(ドラム)、クリス・ドレヤ(ベース)の計四人。 "Live Yardsbirds!" についてはジミー・ペイジが激怒して回収させたという逸話が残っているが、この件について相当腹に据えかねたのであろう。 今回のリリースはジミー自身がプロデューサーを担当している。 新しいCDの音質はクリアで、各楽器はステレオにミックスし直されているが、ドラムは一塊になったままなので、恐らくマスター・テープもそれ以上分離されたものがなかったのだろう。 またギターは鋭角的な音に改善されているが、ベースの輪郭がはっきりしないままだ。 ジミーの作業をしての結果であるから、これが限界と思われる。 なお、ライブのセット・リストは次の通り。
このメンバーでのライブは1968年7月7日が最後になっており、同年10月15日、英サリー大学にて、後にレッド・ツェッペリンとなる4人のメンバーでニュー・ヤードバーズを名乗った初のライブを行っている。 さらに、レッド・ツェッペリンとして10月にファースト・アルバムを録音しており、結果的にその半年前の "Yardbirds '68" は、ツェッペリン移行へ向けたヤードバーズの最後の姿を捉えた形になった。 ところで、一曲目の "Train Kept A Rollin" では "Dazed and Confused" のブリッジで知られるリフから開始され、続く "Mr, You're A Better Man Than I" ではジミーのワウ・ペダル全開のソロが展開される。後にレッド・ツェッペリンのライブでも定番となる "Dazed And Confused" では、既にジミーがバイオリンの弓を使用したギター・ソロをとっているが、当たり前ながらロバート・プラントと繰り広げたようなギターとボーカルの絡みはない。 ジミーの溢れんばかりのアイデアが詰め込まれているが、キース・レルフの力量がまったく着いていっていないことが明確にわかる。 さらにジム・マッカーティのドラムもよれており、ライブ全体を通じてスネアがもたつきまくっている。音質がクリアになるほど、ジミー以外のメンバーの演奏力の欠如が目立ってしまうのも、残酷なものだ。 後半の "White Summer" はジミーの独壇場で、後のレッド・ツェッペリンの楽曲として既に完成した姿を見せている。またCD 二枚目に含まれる "Tangerine" の原曲 "Knowing That I'm Losing You" も、ロバートのボーカルを加えれば、レッド・ツェッペリンのバージョンだと言われても納得してしまう完成度である。 はっきり言って、この二枚組は誰にでもお勧めできるような代物ではない。 しかし初期のレッド・ツェッペリンの音が、どのような経緯を経てできあがってきたのかを確認するためには、貴重な記録である。
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