久保田直己 不撤不散
  • Home
  • Blog
  • Music
  • Politics
  • About

外資系用語集

18/3/2017

0 コメント

 
Picture
Photo by Alesia Kazantceva on Unsplash

外資系勤務経験の無い方々にとって、外資系企業の日本法人で当たり前のように使われている言葉が、理解できないケースが多々あるのではないかと思われる。そもそも組織構造が日本企業と根本的に異なるため、言葉の本当の意味を押さえずに単純な和訳だけで理解したつもりでいると、足元をすくわれることになってしまう。
ここでは、初めて外資系に転職する方や、外資系クライアントを担当することになった代理店営業の方などを想定して、解説してみたい。(外資系の中でもIT業界に特化していることはご容赦ください。)
なお表記は、英略語(英フル カタカナ) とする。

Admin (Administrator  アドミ)
主に総務系の人たちだが、営業を内勤でサポートするスタッフも含まれる。

Americas(アメリカズ)
なぜアメリカなのに複数形なのか一瞬不可思議に見えるが、北米と南米を合わせた南北米大陸地区を指すため。

AP/APAC(Asia Pacific エーピー/エーパック)
アジア太平洋地域のこと。日本はビジネスの大きさによって、APに含まれたり含まれなかったりする。APに含まれる場合は、日本とHQとの間にAPが入り三層構造になるので、最終的な承認者がいったい誰なのか混乱する事態も発生する。なお何故かAPのオフィスが置かれる場所はシンガポールや香港の場合が多く、東京のケースは稀である。

Base(ベース)
固定された基本給のこと。これに変動するIncentiveが乗っかって実質的な年収になる。

Budget(バジェット)
辞書的に訳すと「予算」ということになるが、営業が達成すべき目標値として使われる場合と、マーケティング部門などが費用として使用できる金額というまったく異なった意味合いで使われるので要注意。

Chapter 11(チャプターイレブン)
米連邦倒産法第11章。米系の企業で最も聞きたくない言葉のひとつ。いわゆる破産である。90年代のネットバブルの時代に飛び交っていた。

Contractor(コントラクター)
契約社員や派遣社員を指す。正社員としてそのままスカウトされることもある。

Country Manager(カントリーマネージャ)
日本法人の代表。しかし日本の会社法の登記による代表取締役社長と異なるケースも多い。実質的には「日本営業所の営業所長」といったところか。

CxO(シーエックスオー)
いわゆるCEOとかCIOとか、各部門の長。CEOと言えども、株主に承認された「経営のプロ」という職制のひとつでもあるので、業績が悪ければ簡単に首が飛ぶ。

Director(ディレクター)
ヒエラルキーの中では、Managerの上、VPの下に当たる。ただし日本企業の事業部長クラスであったり課長クラスであったりと、本当にどこまで「偉い」のか社外から判断するのが難しい。

Dotted Line(ドッテドライン)
外資系で働くことに慣れるまでの最大の謎の一つ。日本法人の中での直属の上司は「Solid Line」になる。直訳すれば「直線」。しかし営業の責任者であればHQの営業役員に報告義務があり、マーケティングならHQのマーケティング役員と常に歩調を合わせる必要がある。これがDotted Lineに当たる。こちらは「点線」。しかもAPが間に入るとDotted Lineが二本になって、いったいどっちが太いのか訳がわからなくなる。Dotted LineとSolid Lineの対応を間違えるととんだ地雷と化す、日本法人の社員にとっての鬼門。

EMEA(Europe, Middle East & Africa エミア)
ヨーロッパ、中東、アフリカを合わせた地域。なおインドから東がAP/APAC、イランから西がEMEAになるケースが殆ど。

Evangelist(エバンジェリスト)
直訳すると「伝道師」。これもよく判らない職務であるが、新しい技術を世の中に広めていくために、セミナーで講演したり、メディアの取材を受けたりする人。

EVP(Executive Vice President  イーブイピー)
Vice Presidentはそのまま日本語にすると「副社長」ということになってしまうが、日本企業の部長くらいの場合が多い。このため規模の大きい米系企業ではVPが百人単位でいるような、VPのインフレ状態になる。さらにVPを階層化するために設けられた職位がEVPである。企業によってはさらにその上にSenior Executive Vice Presidentがいたりして、これも本当に誰が「偉い」のか、よく見極める必要がある。

Freeze(フリーズ)
PCが固まってしまうことをフリーズというが、これは採用凍結のこと。業績が悪化すると発動される。転職で内定をもらい「さて来月から新天地だ」などという時にフリーズ発動となると悲劇である。フリーズが解除されるまで3か月くらい待たされたり、最悪の場合には内定取り消しになる事態もある。日本法人側も人が足りないので採用するわけだから、いろいろと頑張ってはくれるが、最終的にはHQとの力関係で決まる。

FY(Fiscal Year エフワイ)
文字通り会計年度。殆どの日本企業は4月1日が会計年度のスタートになるが、外資ではカレンダー通り1月1日から開始になる場合が多い。これを「FYとCY (Calendar Year)が同じ」という。なお何故か5月1日とか8月1日とか、中途半端な時期にFYが始まる企業もある。

Head Count(Head Count  ヘッドカウント)
社員数のこと。例えば「来期の日本のヘッドカウントは30人」という場合、全社員数は30人までしか承認されない。数字を上げるために営業へヘッドカウントを回してSEが削られるような事態になると悲惨である。

HQ(Headquarters ヘッドクォーター)
ご本社様。

HR (Human Resource エッチアール)
人事部門のこと。採用も評価も業務責任者が行うライン人事が一般的なので、規模の小さな日本法人ではHRをおかず、給与計算などをアウトソーシングするケースが多い。

Incentive(インセンティブ)
固定給以外のいわゆるボーナスだが、Incentiveは業績に連動する。さらに個人の業績と、日本法人やHQの売上の組み合わせになることもあり、モチベーションをアップさせるためのIncentiveの設定・運用はなかなか難しい。

Inside Sales(インサイドセールス)
内勤営業。中小規模の顧客に電話やメールで対応する。

IPO(Initial Public Offering  アイピーオー)
新規公開株。「スタートアップでIPOできれば、ストックオプションがどかんと上がって人生あがり。」そんな夢を見る時代もありました。

Mar Com(Marketing Communication マーコム)
マーケティング部門の中で、イベントや展示会を企画したり、ブローシャを作ったり、年度末に予算があまったらノベルティを作ったり、なにかと楽しい仕事。

Offer Letter(オファーレター)
転職の際の内定書。オファーレターにサインをすると、双方で採用の意思が確定する。オファーレターにサインしたら絶対に行かなければならないと言われているが、実はそんなこともない。またオファーレターが出た直後にフリーズ発動という可能性もある。

Partner(パートナー)
日本で直販のルートを持たない外資系企業にとって、非常に大切な販売パートナーを指すことが多い。欧米でのビジネスモデルが直販主流である場合、むしろHQ側に日本の事情を理解させることが一苦労になる。
欧米の商流が
 ベンダー → ユーザー
と単純なのに比べて、
 ベンダー → 一次販売パートナー → 二次販売パートナー → SIer → ユーザー
なんていうケースが当たり前のように存在する日本の状況に対して、HQ側での顧客管理システムが対応できない事態も生じる。クレームが生じた場合も「いったいどこの誰が言っているのか」が謎となるが、実はユーザーは全然怒ってなかったなんていうこともある。この商流の長さはそうそう簡単に是正できるものではない。

PR(Public Relation ピーアール)
広報部門。広報はマーケティングの傘下だったり、独立していたり、企業によって様々。

Product Marketing(プロダクトマーケティング)
マーケティングの教科書ではプロダクトマーケティングとプロダクトマネジメントは別の機能とされているが、外資系IT企業の日本法人で、組織として二つが分離しているのを観たことがない。要するにプロダクトマーケティングの名を持つ部隊が、新製品ラウンチの準備や価格政策から、プリセールスやサポートなどの営業活動、果ては日本法人内のIT部門まで全部背負い込んでいるのが実情。

Quarter(クオーター)
四半期。第一四半期や第二四半期を1Q、2Qと呼ぶ。四半期ごとに決算になるため、営業は四半期ごとに目標を設定されリセットされる状況に耐えられるタフさが求められる。マーケティングなどコストを使う部門も今四半期に余ったからといって翌四半期に持ち越すことは基本的に認められない。四半期のコスト実績がプランを超えたら当然怒られるし、余らせても怒られる。帳尻を合わせるために、絶妙な職人芸のスキルが必要な世界。

Solid Line(ソリッドライン)
Dotted Line参照。

Stock Option(ストックオプション)
そんな時代もありました。

SVP(Senior Vice President エスブイピー)
EVP参照。

Tele Conf(Tele Conference テレカン)
電話会議のこと。最近では国際電話の料金を節約するために、Skypeなどを活用する企業も多い。シリコンバレー系の企業の場合、現地の午後にテレカンが設定されると、日本時間の朝3時とかになってしまい、まったく睡眠がとれないことにもなる。こうした事態を避けるため、HQ側に日本の事情を良く理解しておいてもらうリレーション作りも重要。

Time Zone(タイムゾーン)
時間帯。日本より2時間早いメルボルンから、2時間遅いバンコクくらいまでを、だいたい同じタイムゾーンとして、テレカンなどが設定される。

VP(Vice President  ブイピー)
EVP参照。
0 コメント



返信を残す

    Categories

    すべて
    Business
    Music
    Social

    RSSフィード

不撤不散
HOME        BLOG        MUSIC        POLITICS        ABOUT
All copy right reserved.  Since March 18 2017.
  • Home
  • Blog
  • Music
  • Politics
  • About